8月12日は「世界ゾウの日」:ランチアとブガッティが象をエンブレムに選んだ理由とは? | CAR CARE PLUS

8月12日は「世界ゾウの日」:ランチアとブガッティが象をエンブレムに選んだ理由とは?

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ランチアと象
ランチアと象 全 18 枚 拡大写真

8月12日は「世界ゾウの日」だ。東京動物園協会が運営するウェブサイト「東京ズーネット」によると、「世界ゾウの日」は絶滅の危機に瀕しているゾウの保護を世界中で呼びかけるために2012年に制定された。自動車で象といえばランチアブガッティだ。

◆ランチア・レーシングチームの幸運のお守り

ランチア車はラインナップの高性能グレードとして「HF」を設定しているが、そのマークが大文字の「HF」と象のシルエットとの組み合わせだ。創業者の息子でモータースポーツ愛好家でもあったジャンニ・ランチアが、1949年から1955年までランチアのCEOを務めたときに、幸運のお守りとして象を選んだと言われている。

ジャンニ・ランチアは1951年、ランチアのレースへの正式復帰を決定した。1年後の1952年、スクーデリア・ランチア(ランチア・レーシングチーム)が設立され、そのエンブレムには疾走する象が描かれた。資料によっては、象の採用は1953年とも。1954年から55年にかけて、ランチア「D50」シングルシーターがF1で活躍している。

ジャンニ・ランチアが象を選んだ理由は、走り出したゾウは止められないから。これは東洋神話に由来するとされ、鼻を前方に伸ばした姿は、幸運と勝利のシンボルとされる。疾走する象は当初は青色で描かれ、その後赤色で描かれるようになった。

以上がランチアの公式見解だが、チームドライバーの一人が自身のマスコットとしてすでに象を用いていた、ライバルだったフェラーリの“跳ね馬”に対抗して“走る象”にした、という説もある。

◆ランチア・ハイファイ=HFの登場

1960年代になると、ランチアはラリー参戦を再開し、ランチア・レーシングチームのエンブレムは、小さな赤い象と、「ハイ・フィデリティ」の頭文字「HF」との組み合わせに生まれ変わった。

HFのロゴは、1960年のジュネーブモーターショーにおいて、情熱的なランチアオーナーのグループが、ランチアの新車を6台以上購入した人だけが参加できるクラブ「ランチア・ハイファイ」を設立したときに初めて導入された。HFの文字は、『フラミニア・ピニン・ファリーナ・クーペ』、『フラミニア・スポーツ・ザガート』、『フラヴィア・クーペ』など、ランチアのスポーツモデルに付けられた。

1963年2月、チェーザレ・フィオリオがHFランチア・レーシングチームを設立した。チームのロゴは、黒地に白の大文字「HF」と、マスコットとして走る4頭の赤い象、その下に赤地に白の大文字「SQUADRA CORSE」で構成されている。このときに象とHFが合体した。

ランチアHFの成功は数知れない。60年代後半より『フルヴィアHF』が国際ラリーで活躍し、1974年から76年にかけて『ストラトスHF』がWRCで優勝、1987年から92年にかけては、4WD、8V、16V、エボリューションと、様々なバージョンで優れた性能を発揮して、『デルタHF』が6年連続でWRCのタイトルを獲得した。HF仕様はラリー参戦資格(ホモロゲーション)を得るために市販され、ランチア車のスポーツ仕様として評価を得る。

◆定番となったちっちゃな象

1990年代前半にランチアはWRCから撤退するが、1990年代後半に、ランチア『Y』(イプシロン)の若者向けホットモデルとして「エレファンティーノ」(小さな象)が設定される。Yがロングセラーになるとともにエレファンティーノも定番モデルとなり、2010年代中頃まで販売されていた。

◆超高級車、ブガッティのフロントに輝く

象で有名は車は1920年代のブガッティ『タイプ41ロワイヤル』もある。世界最高の高級車、貴族と王族のための車。それが創業者であり設計者であるエットーレ・ブガッティがタイプ41ロワイヤルでめざしたものだった。排気量は12.7リットルあり、それまでの高級車のベンチマークを凌駕していた。エットーレは亡き兄レンブラントに敬意を表し、彫刻家だったレンブラントがデザインした象のオブジェが、ラジエーターキャップのマスコットとして使用された。

《高木啓》

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