スタイリッシュなだけじゃない! 空力パーツが走りにもたらす効果 | CAR CARE PLUS

スタイリッシュなだけじゃない! 空力パーツが走りにもたらす効果

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スタイリッシュなだけじゃない! 空力パーツが走りにもたらす驚きの効果~カスタムHOW TO~
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空力パーツとは走行時にクルマに当たる空気を使って、走行性能をアップさせるパーツ。リアウイングなどがその代名詞。そもそもクルマは走行時に空気にぶつかっていく。このときに空気抵抗が発生する。空気の壁にぶつかりながら走っているわけである。

◆空気にぶつかると軽くなる

ボディに空気がぶつかると抵抗になるが、同時にボディは上方向に押し上げられている。4輪のタイヤに掛かっている車重を計測すると、100km/hになるとほとんどのクルマで停止時よりも軽くなる。それだけクルマは上方向に持ち上げられているのである。

それは荷重が抜けることで不安定感にもつながっているし、タイヤが路面に押し付けられる力も減るので、実際にタイヤのグリップ力も減少する。

そこで空力パーツが研究されてきた。フロントバンパー下に取り付けられるリップスポイラーは、ボディ下に巻き込む風を減らすことで、ボディを持ち上げようとする力を減らす効果を持つ。サイドステップはボディ横から巻き込む風を抑える。これもボディが持ち上げられるのを防ぐ効果を持つ。

そしてトランク上に付けられるウイングはいくつか種類があるが、走行風を上方向にはね上げることでボディを押し付けるタイプのスポイラーと呼ばれるものと、翼断面の羽を浮かせるウイングを置き、その下面に負圧を発生させて下方向に力を発生させるものがある。

◆純正パーツでの設定や装着状態が完成車

純正パーツや、グレードによってはこういったエアロパーツが取り付けられた状態で自動車メーカーが完成車として販売することもある。それだけ空力パーツは重要な要素になっている。もちろん、見た目にスタイリッシュさを高めるという目的もあるが、空力効果を謳った純正オプションエアロパーツなども存在しているのだ。

自動車メーカー側で結構派手なエアロ形状にしてやっと100km/hで持ち上げられる力をを抑えて、ゼロアップフォース、またはダウンフォースが発生している状態になるという。

レーシングカーの世界では派手な空力パーツが目に付く。F1などでは300km/hで車重を軽く超え、数トンレベルのダウンフォースが発生しているのだ。

◆空力パーツの効果をバランスさせる

そこまでの空力は不要としても、後付けのエアロパーツでも十分に効果は感じられる。そこで気をつけたいのがその効果をどうバランスさせるかである。

合法エアロパーツを数多く存在する。それをどんな組み合わせで装着するかはオーナーの希望によるが気をつけたいのは、思っている以上に効果がある、ということ。そして、前後のバランスが重要になるということ。

例えばフロントのリップスポイラーで見た目にスタイリッシュにすると、フロントのアップフォースはかなり抑えられる。そうなると相対的にリアは荷重が少なくなる。フロントタイヤのグリップは高まりリアタイヤのグリップはそのままなので、相対的にリアのグリップが下がったようになる。レーシングカーで言うところのオーバーステアな状態になりやすい。という事はすなわちハンドルを切るとぐいぐいと曲がっていき、リアタイヤがスリップすると言うことも考えられる。

場合によっては、高速道路やワインディングを走行するときに、危険な挙動にもなりかねない。

同じように、フロント周りのクリパーツはそのままリアに大きなウィングを装着すると、相対的にリアのグリップが高まり、フロントタイヤのグリップが不足気味になる。シチュエーションによっては思っているよりもクルマが曲がりにくいアンダーステアな状態にもなりやすい。

◆合法範囲の空力パーツでも大きな違い

これらは相当大きなエアロパーツでなければ問題ないと思いがちだが、以前実際にテストをしたが、合法範囲のリップスポイラーやウィングでも十分にそれらが感じ取れるほど車両のバランスは変わってしまう。テストに乗ってもらったプロドライバーによると、フロントにだけリップスポイラーを装着した状態で、サーキット走るのはかなりオーバーステアで操作が難しいとのことだった。

リップスポイラーなどは、特にそのものがダウンフォースを発生させるわけではなく、フロア下に入り込む空気を減らすことでボディ下面と路面との間で吸い付く効果を発生させるものなので、小さなパーツだが思った以上に効果を発揮しやすい。すなわちハンドリングバランスが大きく変わることがある。

エアロパーツメーカーではもちろん自社製品に関しては前後バランスなどを考慮して制作しているので、できれば同じメーカーのエアロ装着する。またフロントだけ、装着リアだけ装着のようにせず、全体にバランスよく装着した方が良いだろう。

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《加茂新》

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