第27回全国レンタカー事業者大会が10月24日、石川県金沢市のホテル日航金沢で開催された。本大会は一般社団法人全国レンタカー協会の主催で行われ、災害時にレンタカーが果たすべき社会的な役割についても議論された。
◆被災者への黙祷・災害時に必要なレンタカー
大会は北陸信越地区レンタカー協会連合会の会長である岡島義英氏の開会の辞および被災者への黙祷で大会はスタートした。その後、一般社団法人全国レンタカー協会の岩崎貞二会長が挨拶の中で「レンタカーの台数は100万台を越え、約8000億円の市場に成長した。あと1年もすると1兆円産業になり社会性がもっと求められる。能登半島災害時にレンタカー業界は地域の事業者を中心にできる限りのことをしてくれた。しかし我々業界としてはまだまだやれることがあるはずだ」と問題提議した。
その後、大会のハイライトのひとつとして、地元から講師2名の講演が行われた。はじめに石川県土木部次長の宮本義浩氏による講演「令和6年能登半島地震による被害と今後の復興について」が行われた。この講演では、2024年1月の能登半島地震および9月の豪雨災害の被害の詳細と、その復興に向けた今後の取り組みについての説明があった。宮本氏は、と時どき声をつまらせながらも能登半島の創造的復興に向けた決意と協力の必要性を語った。
つぎに、能登半島の重要な産業のひとつである輪島塗で復興の未来を見据える株式会社田谷漆器店の代表である田谷昂大氏(33)が「能登の現在と未来『輪島塗の魅力を知る』」と題した講演が行われた。美しい漆器に盛られた1月1日のおせち料理の写真とその直後に体験した家族の脱出と避難、そして倒壊家屋のなかで生き残った一人暮らしの祖母の災害への備え。能登地方の伝統工芸である輪島塗の商売再開の宣言を、どのような気持ちで1月2日に行ったのかなど、能登の、輪島塗の未来について熱く語った。
◆インバウンド需要にどう対応するか
多数の来賓の中で、国土交通省大臣官房審議官(公共交通政策、物流・自動車局)小林太郎氏は国として取り組む交通空白地帯廃止の取り組みへのレンタカー業界の期待と重要性を述べた。また観光庁 観光地域振興部長 長崎敏志氏は「インバウンド観光客のリピーターたちは、団体ではなく個人旅行が主となりレンタカーでまだ知らないニッポンを探しに来る」と観光業におけるレンタカーが今後もっと重要になると連携の重要性を語った。石川県知事 馳浩氏は、「大会の終了後は2次会、3次会、そしてお土産と石川を楽しんで、お金を落としていただき、復興に協力してほしい」と大会を石川で開いてくれたこと、多くの事業者が石川に来てくれたことに感謝を述べた。
全国レンタカー協会専務理事の中村浩一氏が一般社団法人全国レンタカー協会の事業報告を行った。レンタカーの台数はおそらくすでに110万台を越えている。乗用車はすでに33%がエコカーだがハイブリッド中心で、電気自動車は運用の難しさからまだこれから。インバウンド利用の拡大で客単価も上昇傾向。インバウンド客は右折時や駐車場内、そして慣れない雪道など事故は増加傾向にあるが、死亡事故は年に0~3件程度と多くない。国際免許証の確認の難しさが現場の負担になっていること。そして2025年からのマイナンバーカード免許証への備えなど、過去1年間の業界の動向や取り組みについて発表した。
◆社会的な役割を果たすこと
大会決議として石川県レンタカー協会の会長代行である田中宏造氏が以下の内容の決議を提案し、出席者一同が同意した。
●レンタカー事業を適正に運営し、安全安心なレンタカーサービスの提供に努めること
●レンタカー事業の社会的な役割を果たすこと
●交通事故防止活動を一層推進すること
とくに、レンタカー事業者が災害時にできることやるべきこと、インバウンド観光客含む地域の観光産業への貢献など、地域や社会との連携による役割は重要との認識を新たにした。
大会終了後には懇親会が行われ、和やかな雰囲気の中で業界関係者の親交が深められた。御陣乗太鼓保存会によるパフォーマンスは圧倒的で懇談の会話をとめて魅入り、終了時は大歓声に包まれた。
次回の全国レンタカー事業者大会は2年後に札幌で行われる予定。