カーオーディオシステムをアップグレードすることに関心を抱くドライバーは一定数いる。しかし、それを実行に移そうとする人の数はそれほど多くない。当連載ではその一因がなんとなくの“わかりづらさ”にあると仮説を立て、その払拭を目指して展開している。
◆「最大出力」と「定格出力」の数値が大きいことには利点がある。しかし…
現在は、「外部パワーアンプ」に関する事柄について解説している。今回は、カタログを見ると目にすることとなる「スペック」について、各項目の意味を説明していく。
最初に「最大出力」と「定格出力」について解説していく。まず最大出力とは「瞬間的に供給できるマックスの出力量」のことを指し、定格出力とは「設定された歪み率以内で連続的に取り出せる出力量」のことを指す。ともに単位には「W（ワット）」が使われる。
というわけでこの2つは似ているものの、まったく別のスペックだ。なので複数の製品のカタログを見比べる際には、混同しないように注意したい。なお、数値が大きいほどパワフルなモデルであると判断できるが、この数値を持って音質性能の良し悪しは推し量れない。クルマのエンジンの排気量や馬力と同じく数値が大きいほど余裕を持って音楽を再生できる。この点は利点となるが、とはいえ音の質や音色の傾向はこれらの数値からは読み取れない。なのでこれらの数値は、参考適度に見るにとどめたい。
◆「最大出力」と「定格出力」を見ると、そのモデルの“使い勝手”が見えてくる!?
ところで「最大出力」と「定格出力」はともに「〇〇W×〇ch（〇Ω）」、というように表記されることが多いが、「×〇ch」のところを見るとその「外部パワーアンプ」が「何chモデル」なのかを知れる。そして「（〇Ω）」を見ると、そのモデルが「何Ωのスピーカーを鳴らせるのか」が分かる。
ちなみにカー用のスピーカーの多くは「4Ω」なので、外部パワーアンプも基本的には4Ωのスピーカーを鳴らせるように設計されている。しかし中には「2Ω」のスピーカーも鳴らせるものもある。で、ここにて2Ωのときの数値も記載されているのなら、そのモデルが2Ωのスピーカーも鳴らせるものであると分かる。
また、例えば「×4ch」と記載されていてさらには「×2ch」という記載もある場合には、つまり半分のch数のときの最大出力と定格出力も記載されているのなら、そのモデルが「ブリッジ接続」に対応していることを読み取れる。
◆「周波数特性」では再生可能音域を知れるが、音の良し悪しまでは分からない…
なおブリッジ接続とは、2ch分の出力を使って1つのスピーカーを鳴らすという接続法のことを指す。その接続法の具体例は以下のとおりだ。
外部パワーアンプのA chのプラス側の出力端子とサブウーファーのプラス端子とをケーブルで繋ぎ、Bc hのマイナス側の出力端子とサブウーファーのマイナス側の端子とをケーブルで繋ぐ。このように2つのchを“橋渡し”して接続するのが「ブリッジ接続」だ。こうすることで、よりパワフルにスピーカーを鳴らせるようになる。
続いては、「周波数特性」について説明しよう。これはつまり、どれだけ広い帯域にわたってフラットな特性をキープできるかを示すものだ。単位には「Hz（ヘルツ）」が使われる。要は、その外部パワーアンプが音程的にどこからどこまでを実用上問題なく再生できるかを知れるというわけだ。
で、この範囲が広い方が安心感は高まるが、その範囲をどのようなクオリティで再生するかまでは推し量れない。なので当スペックを持って各製品の優劣は判断しかねる。ましてや好みに合うか否かも分からない。なので当スペックも参考程度に見るにとどめて、最後は試聴して判断したい。
今回は以上だ。次回はその他のスペックについて説明していく。乞うご期待。
