変化が続く自動車アフターマーケットにおいて、各業種や業態間での相乗効果を生むために、様々な連携や協力が進んでいるが、リサイクルパーツ業界においても直近で大きな動きがあったことをご存じだろうか。
2025年2月20日(木)から、一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会に加盟している12団体と各団体の所属会員が利用する自動車リサイクル部品在庫の共有システム会社が、お互いの部品共有システム同士のデータ連携を開始。団体・流通システムの垣根を超え、在庫点数が約500万点にも上る国内最大級の自動車リサイクル部品の在庫共有ネットワーク「オールリサイクルパーツネットワーク(以下、ARPN)」が本格稼働した。
翌21日(金)には、東京都内でARPNの会員交流会が行われ、一般社団法人一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会の川島理事長が「多くの課題がありながら、ようやくスタートすることができたARPNですが、稼働初日は、概ね流通も問題無く順調なスタートを切れました。これからが本当のスタートです。各団体のシステムの違いを理解した上で、自動車リサイクル部品業界をどう盛り上げていくか。それぞれをおもんぱかる心が大事だと思います」と語り、ARPNの稼働で自動車リサイクルパーツ業界のさらなる発展に期待を寄せた。
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会員交流会では、川島理事長のほか、各団体のトップの挨拶や各グループの運用規定の発表が行われた。運用規定については、共通のシステム取引の運用のほか、受発注関連、クレーム、返品処理、保証関連など9つの規定について解説された。
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リサイクルパーツの健全な発展の起爆剤に
自動車リサイクルパーツは新品部品の利用と比較して、CO2削減効果と安価に修理できるという利点があるものの、昨今の配送費用などの高騰により、遠方の部品を取り寄せる場合、運賃がかさみ、全体の費用が上がってしまうことから、近隣地域から部品を調達するいわゆる“地産地消”の必要性が高まっている。しかし、これまでは各団体が利用する在庫共有システムのデータ連携ができていなかったため、リサイクル部品を活用する場合の選択肢が限定されてしまうという課題が顕在化していた。
そこで、この課題を解決するために、各自動車リサイクル部品団体同士がお互いの在庫を公開し合い、近隣地域の供給量を増やすことで一致。今回のARPNが実現することとなった。なお、ARPNには、自動車リサイクルパーツ業界では国内で唯一、経済産業大臣の認可を受けている事業協同組合で、国内の在庫点数においては約30%、売上においては約40%のシェアを占めるNGP日本自動車リサイクル事業協同組合も参画していることから、その注目度は高まっている。
会員交流会に参加していた会員からは「やっとNGPと繋がることができてうれしい。早速パーツを注文した」との声もあり、ARPNにNGPが参画している意義がうかがえた。
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このような仕組みが構築されることで、自動車整備工場や車体整備業・部品商などへのリサイクルパーツの納品率の向上や納期の短縮が実現し、コスト削減や作業時間短縮、ひいてはカーユーザーの満足度向上にも繋がることが期待される。本格稼働後の今後の運用にも注目していきたい。