その補強、本当に効果ある?  “しなるボディ”が実は走りに効く理由とは? | CAR CARE PLUS

その補強、本当に効果ある?  “しなるボディ”が実は走りに効く理由とは?

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その補強、本当に効果ある? “しなるボディ”が実は走りに効く理由とは~カスタムHOW TO~
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ボディは様々な大きさや厚みの鉄板を組み合わせて作られている。自動車メーカーでは鉄板ロールをプレスしてパーツを作り、それらを重ねてスポット溶接して組み立てていく。

このスポット溶接とは鉄板は複数枚重ねて、その上下を端子で抑える。その間に高圧電流を流すことで瞬間的にその電気が流れた部分の鉄板を溶かして溶接する方法。ドア周りなどを見るとスポット溶接のあとを見ることができる。

ボディ剛性をアップさせると同じと主な方法は2つ。このスポット溶接の数を増やすか、バーなどを追加するのかということになる。

スポット溶接の箇所を増やすと、鉄板同士を結びつける部分数が増えるのでボディ剛性が高くなっていく。だが、手間がかかる。該当箇所の塗装を剥がしてスポット溶接して再塗装しなければならないし、ドア周りなどは良いが複雑な形状の場所は自動車として組み立てられてしまってからではスポット溶接が追加できないこともある。

また、スポット溶接の間隔があるということは、そこで力を逃がしているという意味もある。無闇にスポット溶接を増やしていくと硬いだけのボディになってしまうこともある。

レーシングカーではスポット溶接をたくさん追加して、さらにロールバーや補強バーを溶接で追加したりする。それは高いグリップのタイヤによる入力を受け止め、高い速度やハイパワーによってボディが歪むことを防ぎ、ドライバーの意思通りに走らせるために行う。

しかし、やりすぎるとむしろ走りにくい。ボディはある程度しなることで曲がったり、振動を吸収したりしているが、硬すぎるボディはむしろ曲がりにくくなる。さらにタイヤへの負担も増えてタイヤも減りやすいということもある。そのあたりは経験値が重要。なので、レーシングカーでもボディはノウハウを持つファクトリーに外注したりすることも多い。

ストリートカーのチューニングでも同じようなことは起こりうる。ありとあらゆる補強パーツを付けまくった結果、ガッシリ感はあるが曲がりにくい。妙に街乗りでもサーキットでもアンダーステア傾向、というクルマに乗ったこともある。

ボルトオンでネジ留めの補強パーツでも効果を発揮するということでもあるのだ。実際、NISSANのノートNISMOはベース車に対して多数のボルトオン補強が加えられている。S15シルビアもターボモデルだけトランク内に補強パーツが入っていた。

タワーバーやブレースバーなどの補強パーツは安価でも確かな効果を持つ。それだけにどこをどれだけ補強するかは慎重な判断が必要だ。

もちろん製造メーカーに聞くのも手だが、あちらとしてはもちろん全部付けるのがベストと答えがち。では、どうすればいいのか。オススメは低い位置からつけること。タワーバーなどは意外とハンドリングのバランスに影響が大きい。サブフレームやメンバーの補強、それらとボディの接続部の補強パーツなどはデメリットが起きにくく、ハンドリングがリニアになる効果などが大きいのだ。

そして、そういった弊害が極めて少なく近年増えているのが振動吸収系の補強パーツだ。ヤマハ発動機が製造する「ボディダンパー」やアイシンが製造する「Motion Control Beam」などがある。

ボディに取り付けるダンパーで、微細な振動やボディの歪みを適度に抑えることでハンドリングを良くするというもの。ボディが硬くなるわけではないが、ハンドリングは良くなる。ハンドルを切ってから曲がり始めるまでのタイムラグが短くなり、リニアに反応するようになる。修正舵が減るなどの効果があり、普段乗りから高速道路まで疲れにくくなったりする効果が高い。

サーキットでもタイヤに対するボディからの力がスムーズになるので走りやすくなるという。某レーシングドライバーは自分がタイムアタックで乗るチューニングカーには基本的に付けられるクルマはみんな取り付けるようオーダーをしているという。数kg重くはなるがそれでもメリット方が大きいというのだ。

こうした新たなチューニングパーツも登場して、ボディチューンも変わってきている。

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《加茂新》

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