ヤマハ発動機はオートバイ用純正エンジンオイル「YAMALUBE（ヤマルーブ）」の模倣品問題に対し、インドネシアでの摘発活動を強化している。
エンジンオイルはエンジン内部で潤滑や冷却、防錆など多様な役割を担い、製品の性能維持に不可欠。福島剛氏（CX事業部）は「だからこそ当社ではオイルを液体パーツと位置づけて、エンジンと同時に純正オイルを開発しています。身体にはそれぞれ適正な血液があるように、品質の悪いオイルをお客さまの大切な愛車に注ぐわけにはいきません。模倣品は、お客さまの安全にも関わる非常に重要な問題です」と述べる。
インドネシアでは約800万台のヤマハ二輪車が稼働し、多くのユーザーが「YAMALUBE」に信頼を寄せているという。過去5年間でヤマハは現地警察と連携し約30件の模倣品摘発に成功した。調査員が一般客を装い販売店を訪問し、成分解析で模倣品を特定。摘発後は販売停止や廃棄、流通経路の情報提供、謝罪広告掲載などを求め、応じない場合は裁判に発展し有罪判決もある。
知財戦略部の袴田ひかり氏は、「小規模販売店を追い込むのではなく、供給元を特定し法的措置で根絶を目指す」と説明する。購入者が真贋を確認できるよう、ボトルラベル下に隠されたQRコードも導入している。中国ではホログラムを用いるなど各国で模倣品排除に取り組んでいる。
ヤマハ純正オイル「YAMALUBE」の世界需要は約1億リットルで、そのうち約4000万リットルがインドネシア市場で消費されている。模倣品摘発は顧客の安全確保だけでなく、事業の収益性向上にも寄与している。インドネシアでの成功をモデルに他国での対策も加速させる方針だ。
