夏場の車内は高温となり、熱中症が発生しやすい。特に危険なのはロックした状態で子どもやペットを車内に残したまま運転手が不在になるケースだ。気象庁と地方気象台は、2025年7月18日に関東甲信地方、北陸地方、東北南部の梅雨明けを発表。今後も晴れる日が続けば全国的に気温が上昇し、厳しい暑さが予想される。
夏場エンジン停止後の車内は15分で危険レベル
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は、コンビニやスーパーなどの駐車場に子どもを車内に残した状況を想定して熱中症の危険度を測定したところ、気温35℃の炎天下に駐車した車内の暑さ指数は、窓を閉め切った状態でエンジン停止後、わずか15分で人体にとって危険なレベルに達したという。

車内にキーを残した状態でロックされ外側から開錠できない「キー閉じ込み」のトラブル件数も増えてる。
関西2府4県における「キー閉じ込み」のJAFロードサービス救援件数は2024年4年~2025年3月の1年間で16,775件発生。2024年7月~9月の夏季では、関西2府4県で4,306件、大阪府内では1,670件だったという。救援現場での聞き取り調査によれば、子どもやペットだけが車内にいる状態で意図せずロックされてしまったケースが少なくないようだ。

絵本で「子ども」に注意喚起
キー閉じ込みの防止対策として、子どもが自ら助けを呼ぶ方法を学べる絵本(『ぶたすけのラッパ』ポプラ社刊)がある。この絵本は「#たすけてブーブー」プロジェクトから生まれた企画で「楽しみながら大切なことを教えてくれる」「閉じ込められた時のクラクションの重要性を自然に学べる」といった声があるようだ。

同プロジェクトに、新たに自動車メーカー10社(いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、BYD ジャパン、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業)が協賛。各社では置き去り防止安全装置やシステム開発など車内のハード面での取り組みを進めていることもあり、車中置き去り事故を一件も起こさない社会をつくっていきたいという想いから賛同に至ったという。今後、自動車メーカー各社による活動啓発のサポートや寄付など、様々な支援を予定している。
「キー閉じ込み」にならずとも、夏場の車内で熱中症が重症化すると、命の危険に関わる事故につながる可能性がある。乳児、幼児といった子どもやペットだけでなく、高齢者においても体温調節機能が低下するため注意が必要だ。運転手や同乗者、車内に残された子どもなどが危険を認識して防止することはもちろん、置き去り防止システムなども活用して、事故やトラブルを未然に防ぐことが大切だろう。