気象庁は5月29日から、防災気象情報の体系を大幅に見直した。大雨や土砂災害、河川氾濫などの警戒情報に「レベル」を明示し、自治体の避難情報との対応関係を分かりやすくしたことが特徴だ。運転者にとって最も重要なのは「レベル4」になるだろう。
河川氾濫、大雨、土砂災害、高潮に関する情報は、これまで警戒レベルとの対応がわかりにくかった。今回の改善により、避難情報の5段階の警戒レベルに対応し、避難の判断をしやすくした。気象庁では、レベル4やレベル3の情報が発表された場合には、早めの避難を呼びかけている。
■危険のレベルを表現
今回の改正のポイントは、情報名だけで危険度が分かるようになったことだ。
従来は、
- 大雨警報
- 土砂災害警戒情報
- 氾濫危険情報
など名称がバラバラで、危険度の比較が難しかった。
新制度では、
- レベル1=早期注意情報
- レベル2=注意 例:レベル2高潮注意報
- レベル3=警戒 例:レベル3大雨警報
- レベル4=危険 例:レベル4土砂災害危険警報
- レベル5=極めて危険 例:レベル5氾濫特別警報
というように、警報・注意報の情報名に「レベル」が直接組み込まれた。
この変更は住民の避難だけでなく、自動車の運転判断にも大きく関わる。近年は豪雨による冠水や土砂災害、河川の氾濫によって車両が立ち往生する事例が相次いでおり、ドライバーにも防災情報を理解して行動することが求められている。

■レベル3は「出発してよいか」を考える段階
新たな防災気象情報では、レベル3は高齢者等避難に対応する警戒段階となる。ドライバーにとっては、「運転できるか」ではなく「運転する必要があるか」を考えるタイミングだと言える。
例えば、
- 山間部へのドライブ
- キャンプやアウトドアレジャー
- 夜間の長距離移動
などは延期を検討したい。
物流事業者や営業車両の場合も、配送ルートや出発時刻の変更を考える段階となる。
■レベル4は「目的地より安全確保」
今回の改正で注目されるのが、レベル4に対応する「危険警報」だ。
- 大雨危険警報
- 土砂災害危険警報
- 氾濫危険警報
などが発表された場合、災害発生の可能性が極めて高い状態を意味する。
ドライバーは目的地への到着を優先するのではなく、安全な場所への退避を優先すべき段階だ。高速道路であればサービスエリアやパーキングエリアで待機する。一般道であれば立体駐車場を備えた商業施設や公共施設への避難も有効だろう。
特に避けたいのがアンダーパスだ。道路冠水は深さ30cm程度でも乗用車の走行が困難になる場合があり、50cmを超えると車両が浮き上がる危険性もある。
■レベル5は「運転継続」が危険
レベル5特別警報は、すでに重大な災害が発生している、または切迫している状況を示す。
この段階では、「あと少しだから進む」、「抜ければ大丈夫」という判断が事故につながりかねない。車内に留まることが危険になる場合もあるため、周囲の状況を確認しながら高い場所や堅牢な建物へ避難しよう。

■高速道路で注意したい「気象防災速報」
今回、新たに創設された情報が「気象防災速報」だ。
- 線状降水帯の発生
- 記録的短時間大雨
- 竜巻などの激しい突風
といった現象を対象とする。
高速道路ではこれらの現象が発生すると、
- 視界不良
- ハイドロプレーニング現象
- 横風による車線逸脱
- 飛来物との衝突
などの危険が急激に高まる。
特に背の高いトラックやバス、キャンピングカーは強風の影響を受けやすく、運行管理者による情報収集が重要になりそうだ。

■カーナビ任せでは危険
近年はカーナビやスマートフォンの経路案内が普及したが、多くのナビは災害リスクそのものを判断しない。
目的地への最短経路が、
- 土砂災害警戒区域
- 河川沿い道路
- 冠水しやすいアンダーパス
を通過する場合もある。
今後は出発前に防災気象情報を確認し、「走れるか」ではなく「走るべきか」を判断することが重要になる。
気象庁の新たな防災気象情報は、避難行動だけでなく、ドライバーのリスク回避行動を支援する情報としても活用できるだろう。豪雨災害が激甚化するなか、「レベル4なら走らない」という判断が、新たな安全運転の常識になりそうだ。


