千葉県では8月13日、記録的な大雨となり、気象庁は19時30分、千葉市や市川市、船橋市、市原市など12市に「レベル5大雨特別警報」を発表した。さらに21時55分には千葉市と市原市に「レベル5土砂災害特別警報」が発表された。
レベル5は、災害がすでに発生しているか切迫している状況を示す。豪雨では道路が短時間で冠水することもある。特に注意したいのが、冠水した道路に自動車で進入することだ。国土交通省やJAFは、冠水路に安易に進入せず、迂回するよう呼びかけている。
●冠水路は見た目で水深を判断できない
冠水した道路では、水深を外から正確に判断することが難しい。濁った水の下にある道路の状態も見えず、マンホールや側溝などの危険を確認できない場合がある。
JAFは冠水したアンダーパスを想定し、セダンとSUVを使った走行テストを実施している。水深30cmでは、セダン、SUVとも10km/hと30km/hで30mの冠水路を走り切った。しかし、セダンが30km/hで走った場合、10km/hより巻き上げる水が多くなり、エンジンルームに大量の水が入った。
水深60cmでは、セダンは10km/hで走行したものの、31m地点でエンジンが停止した。SUVは10km/hでは走り切ったが、30km/hではわずか10mでエンジンが停止した。浸水時の衝撃で車体が一瞬浮き、ハンドルを取られる現象も確認された。
同じ水深でも速度が高くなるほど、車両が巻き上げる水が増える。エアインテークからエンジン内部に水が入り、エンジンが停止する危険も高まる。

●EVなら冠水路に強い、とは限らない
JAFは2024年、EV、ハイブリッド車(HV)、ガソリン車を使った冠水路走行テストも実施した。
水深30cmを30km/hで走った場合、3種類とも走り切ったものの、EVでは車体下部のアンダーカバーが外れ、ボンネット内部に水が入った。HVでも部品の脱落とボンネット内部への浸水、ガソリン車では車内とボンネット内部への浸水が確認された。
水深60cmでは、30km/hと40km/hで走ったEVに複数の警告灯が点灯。HVは40km/hで走り切った後にエンジンが停止し、ガソリン車は40km/hで走行中、28.5m地点で停止した。
JAFは、EVについても「エンジンがないから大丈夫」と考えて冠水路に進入するのは危険だとしている。
●水圧でドアが開かなくなる危険も
冠水路で自動車が停止すると、乗員が車内に閉じ込められる危険もある。
JAFがセダンとミニバンを使って行ったテストでは、水深60cmの場合、水圧によってセダンの運転席ドアを外側から開けるために通常の5倍近い力が必要になった。ミニバンでは、男性の力でも外側からスライドドアを開けられなかった。アンダーパスなど周囲より低い道路では、水位が急激に上昇する可能性がある。車両が動かなくなってから脱出しようとしても、水圧によってドアが開かなくなるおそれがある。
国土交通省も、水深が車両の床面を超えると車内への浸水や電気装置の故障、エンジンやモーターの停止などが起きる可能性があるとして、冠水路を走行しないよう注意を呼びかけている。

●SUVでも「この深さなら走れる」と判断しない
車高の高いSUVなら冠水路を走れるとは限らない。JAFのテストでも、水深60cmを30km/hで走ったSUVはエンジンが停止している。また、実際の豪雨ではテストコースと違い、水深が一定とは限らない。水が流れている場合や、路面に段差や穴がある場合もある。
冠水路を前にして、「水深が浅そうだから」「前の車が通ったから」「SUVだから」といった理由で進入するのは危険だ。豪雨時にはアンダーパス、鉄道のガード下、地下へ向かう道路など、周囲より低い場所をできるだけ避ける必要がある。
JAFは、実際の冠水路では水深も水中の状況も分からないため、冠水路に遭遇した場合は安易に進入せず、可能な限り迂回するよう呼びかけている。トヨタ自動車も豪雨時にはアンダーパスや電車のガード下など高低差のある場所への進入を避けるよう案内している。マツダも冠水道路やアンダーパス、地下駐車場など周囲より低い場所を避けるよう呼びかけている。
豪雨時の自動車移動では、「どこまでなら走れるか」を判断するのではなく、冠水した道路には入らないことが重要だ。


