出光興産とBSサミットが研究会を発足…「SS×車体整備」の異業種連携が示すアフターマーケットの新たな生存戦略 | CAR CARE PLUS

出光興産とBSサミットが研究会を発足…「SS×車体整備」の異業種連携が示すアフターマーケットの新たな生存戦略

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出光興産とBSサミットが研究会を発足…「SS×車体整備」の異業種連携が示すアフターマーケットの新たな生存戦略
出光興産とBSサミットが研究会を発足…「SS×車体整備」の異業種連携が示すアフターマーケットの新たな生存戦略 全 3 枚 拡大写真

自動車整備業界が直面する「人材不足」と「車両の高度化」という構造的な課題に対し、新たな連携の動きが表面化した。出光興産株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明、以下「出光興産」)とBSサミット事業協同組合(本部:東京都中央区、理事長:石井英幸、以下「BSサミット」)は、自動車整備業界の課題解決に向けた研究会を発足し、連携・協業の可能性について検討を開始すると発表した。 オートアフターマーケットのハブ化を推進するBSサミットと、給油を中心としたサービスステーション(SS)からモビリティサービス拠点への進化を目指す出光興産。双方の切実な課題感とリソースが交差する本取り組みの背景を紐解く。

1社単独では乗り切れない「整備・修理の高度化」と「人材不足」

今回の連携の背景にあるのは、業界全体を覆う深刻なリソース不足と技術的ハードルの上昇である。自動ブレーキなどの先進安全技術の普及や、車両の電子制御化が急速に進展する中、整備工場には従来以上の高度な技術と最新設備への対応が求められている。一方で、2023年度における自動車整備士の有効求人倍率は5.46倍という異常とも言える高水準に達しており、整備人材の確保は極めて困難な状況に陥っている。自動車の進化に伴う整備・修理の高度化と人材不足が同時に進行する現在、もはや1社単独でこれらの環境変化に対応し、地域の整備機能を維持・提供し続けることは限界を迎えつつある。強みを持つ事業者同士が垣根を越えてアライアンスを組み、リソースを補完し合うエコシステムの構築が急務となっているのだ。

「オートアフターマーケットのハブ」を目指すBSサミットの次の一手

全国の整備事業者を中心に構成されるBSサミットは、高度な整備技術と知見を有している。同組合はこれまでも「オートアフターマーケットのハブ」となることを目指し、損害保険会社やロードサービスアシスタンス会社、カー用品大手の株式会社オートバックスセブン、さらには自動車メーカーやインポーター、カーコンビニ倶楽部など、多岐にわたるプレイヤーとの連携を積極的に深めてきた。 そして今回、BSサミットの新たなパートナーとして結びついたのが「サービスステーション(SS)業界」大手の出光興産である。全国規模の顧客接点を持つSSとの連携は、BSサミットの組合員工場にとって入庫経路の多様化をもたらすとともに、よりエンドユーザーに近い場所での高品質な整備サービスの提供を可能にする戦略的な一歩と言える。

出光興産が抱える構造的課題と、SS網維持への危機感

一方の出光興産側にとっても、今回の連携は自社の直面する構造的課題を打破するための重要な試金石となる。同社は現在、主軸である燃料油需要が減少局面に転じるという厳しい事業環境にある。この環境変化を受け、全国に広がる特約販売店へのサポートを通じ、燃料油以外のビジネス(油外収益)をいかに構築・強化していくかが喫緊の課題となっている。同社はSSが本来持っていた強みである「自動車整備」や「車両美装」などの機能を再強化し、SSをモビリティサービスの拠点へと進化させる方針を掲げているが、既存のSSネットワーク単独で、昨今の高度化する整備需要をすべてカバーし切ることは容易ではない。地域住民のカーライフを支える約6,000カ所のインフラを将来にわたって維持・存続させるためには、自社の枠組みを超え、高い専門性を持つ外部プレイヤーとのアライアンスや新たなビジネス構築が不可欠という課題認識に至っている。

両陣営が語る、次世代モビリティ社会に向けた決意

今回の研究会発足にあたり、両陣営はそれぞれ次のようにコメントを寄せている。

出光興産の執行理事 販売部長である原口克己氏は、「出光興産は、中期経営計画(対象年度:2026-2030年度)において、apollostationのブランド価値向上とお客さま接点の深化を通じ、給油を中心としたサービスステーションからモビリティサービス拠点への進化を目指しています。本取り組みを通じ、自動車整備業界を支える皆さまと知見を共有し、それぞれの強みを生かしながら、地域のお客さまのカーライフを支える仕組みづくりに貢献していきます」と、SSの役割変化と地域貢献への意欲を語る。

一方、BSサミット事業協同組合の石井英幸理事長は、「BSサミットは、出光興産と連携のうえ、整備業界の課題解決に向けた研究会を発足し、今後さまざまな分野における連携・協業の検討を通して、安全・安心なモビリティサービスの提供を目指します」と述べ、多角的なアライアンスを通じた業界課題の解決に意欲を見せている。

「圧倒的な顧客接点」×「高度車体整備技術」がもたらすシナジー

今回の研究会発足は、出光興産にとって「自社ネットワークだけではカバーしきれない高度な整備・鈑金インフラへの接続」、BSサミットにとって「全国規模のリアルな顧客接点へのアクセス」という、互いの課題を補完し合う明確なメリットが存在する。車両の進化により、軽微な外装のダメージでもエーミング等の高度な処置が必要になる時代において、SSの店頭で拾い上げた顧客のニーズを、いかにシームレスかつ確実な技術を持つ専門工場へ繋ぐか。地域のカーユーザーが今後も安心してカーライフを送るための仕組みづくりとして、異業種タッグによる新たな整備ネットワークの構築がどのように具体化していくのか。今後の研究会での議論と協業展開の行方に、アフターマーケット業界全体の熱い視線が注がれている。

《カーケアプラス編集部@市川直哉》

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