『カーオーディオ・プロショップ』って、どんなとこ? 前編『カーオーディオ・プロショップ』が存在している“理由”。
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とは言いつつ、カーオーディオ製品は量販店でも買えるし取り付けてももらえる。クルマいじりが趣味であれば、自分で取り付けられなくもなさそうだ。であるのに『カーオーディオ・プロショップ』は、なぜに存在しているのだろうか…。
■創意工夫と、理論と技術を注がなければ、カーオーディオの取り付けは完成されない…。
『カーオーディオ・プロショップ』が存在する理由は、ずばり、2つある。
1・「取り付け」に、専門的な知識・技術が必要だから
2・「サウンドチューニング」に、専門店な知識・技術が必要だから
それぞれについて、掘り下げて考察していこう。まずは「1」について。
ホーム・オーディオの場合は、オーディオ製品を購入して家に持ち帰り、それをラックなどに置いてから配線を繋げばセットが完了する。しかしながら、カーオーディオでは、ポンと付けて終わり、とはならない…。
カーオーデイオ製品の取り付け作業は、単なる“設置”の作業ではない。カーオーディオを“作る”という作業なのである。特にスピーカーの「取り付け」において、その色彩が濃い。
ホームオーディオのスピーカーをイメージしてほしい。スピーカーユニットが箱に取り付けられた状態で売られている。箱も含めてスピーカーであるわけだ。それに対してカーオーディオでは、スピーカーユニットだけで売られている。しかしスピーカーユニットだけでは、スピーカーとしてはまだ“半完成品”の状態だ。そこから、完成品のスピーカーを“作って”いかなくてはならないのである。
ホームオーディオのスピーカーの箱には、各社の創意工夫や理論や技術が注ぎ込まれて完成されている。箱もまた、スピーカーの性能に大きな影響を及ぼす、重要なパーツなのである。カーオーディオのスピーカーにおいてもしかりだ。「取り付け」に、創意工夫や理論や技術が注入されなければならないのである。そうでないと、優秀なスピーカーが完成されないのだ。
■車内で良い音を聴くためには、的確な「サウンド・チューニング」が必須。
次には、「2」について解説していこう。カーオーディオでは、「サウンドチューニング」が非常に大きな役割を負っている。「サウンドチューニング」を行うことで、音質をガラッと変える(向上させる)ことが可能なのだ。逆の言い方をすると、的確な「サウンドチューニング」を行わないと良い音が得られない、ということでもある。それはなぜかと言うと…。
好きな音楽を、好きな音量で楽しめるのが、カーオーディオの利点だ。にもかかわらず、車室内は、リスニングルームとしては状況が劣悪だ。その劣悪たる要素を“補正”しないと、良い音を得られないのである。
どのように劣悪なのかというと、ポイントは2つある。1つは、「リスニング・ポジションが、左右のどちらかに偏っていること」、もう1つは、「周波数特性が乱れていること」。
左右のchにわけて録音した音楽を、左右のスピーカーで鳴らし、結果、音楽を立体的に感じようとするのが「ステレオ」だ。そしてそれを成立させるためには、左右のスピーカーから等距離の場所にリスニングポジションを取る必要がある。クルマの中では、その前提が崩れているのだ。
そしてクルマの中は、周波数特性の乱れが大きい。クルマの中は狭く、形状が複雑だ。そしてその中にはガラスやパネルがあり、シートがある。ガラスやパネルでは音が反射し、シートでは音が吸収される。これらにより、特定の周波数帯の音が変に増幅されたり、キャンセリングされたりというようなことが、いとも簡単にいろいろと起こってしまうのだ。
しかしながら、これらのビハインドを「サウンドチューニング」で払拭することが可能なのである。
ただし、「サウンドチューニング」は結構難解だ。周波数特性の乱れを正すための「イコライザー」を例に取り、ご説明していこう。
現在のハイエンドカーオーディオ製品に搭載されている「イコライザー」のスタンダードスペックは、「左右独立31バンド」だ。右chの音に対して31バンド、左chに音に対して31バンドが用意されている。車内の音響特性の乱れを的確に把握することがそもそも難しい上に、それを正すために、左右合計「62」にも及ぶバンドを適正に運用することなど、至難のワザだ…。
だがしかし、『カーオーディオ・プロショップ』は、そのスキルを備えている、という次第なのである。
以上が、『カーオーディオ・プロショップ』が存在している理由であり、『カーオーディオ・プロショップ』のバリューなのである。
さて、それをご理解いただいたことでむしろ、『カーオーディオ・プロショップ』の存在を、敷居の高いものとして感じ取ってしまった方もいるかもしれない。そう思っていただいては本末転倒…。というわけでこれに続く後編では、『カーオーディオ・プロショップ』が気軽に行ける場所であることを、多角的に解説していこうと思う。お楽しみに。
《太田祥三》
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