ホンダの「信号情報活用運転支援システム」でスムーズな運転が本当にできるのか…新型 フリード で検証
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システムは、新しい交通インフラである路側の「高度化光ビーコン」と、クルマ側の専用受信機との間で通信することで成り立つ。クルマ側にはさらに受信した情報を処理して表示するためのデバイスが必要で、その機能を最初に搭載したのは今年5月に発売された改良新型の『アコード』だった。新型フリードの採用は、それに続く第二弾となる。
◆3つの機能
このシステムで実現するのは大きく「信号通過支援」「赤信号減速支援」「発進遅れ防止支援」の3つ。このうち「信号通過支援」は、前方の交差点を青信号で通過できそうな時は、それを可能にする推奨速度範囲をメーター内に表示。ドライバーがその速度を維持して走行すれば信号が赤に切り替わらないタイミングで走行できるようになる。
「赤信号減速支援」は次の信号の到達時に赤に変わると判断された際に、アクセルをオフにするようことを目的に表示する。「発進遅れ防止支援」は、信号待ちで停止しているときに赤から青に変わるタイミングをグラフで示す。これらの情報はいずれもスピードメーター内にカラー液晶で表示される。
この機能を新型フリードの試乗会会場となった横浜・みなとみらい地区で試してみたが、情報を受信して表示はするものの、その効果を身をもって体験するまでには至らなかった。というのも、情報の提供区間がかなり短かったことと、表示がメーター内に行われるため、それを確認しながらアクセルをコントロールするのが意外と難しかったからだ。
◆まずは普及が大事
2016年3月末時点で首都圏など25都道府県の約5700か所に設置されてはいる(19年までに全国へ広げる計画)が、どれもが交差点を中心にスポット的に用意されている段階であり、受信してから速度を合わせる方法では思うようにこの機能を活用するまでには至らない。
たとえば国道のような幹線道路で、ある程度長い区間「高度化光ビーコン」が整備されていく必要があるだろう。またクルマ側もメーター内ではなく、ヘッドアップディスプレイなどを併用でもしないとドライバーがすぐにこの情報を認識するのは難しい。
とはいえ、こういった機能は普及が進むことが大前提。あくまでオプション扱いではあるが、販売台数が多い新型フリードなら普及に大きく貢献するのは間違いない。インフラ頼みのサービスではあるものの、信号情報を活用してスムーズな交通の流れを作り出そうとする、ホンダの本気度を感じられる装備と言っていいだろう。
《会田肇》
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