キーワードは洗車!…オートバックスセブンの新業態「Smart+1」のオープン初日に訪問!!
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そのオープン当日に、カーケアプラス編集部は店舗を直撃訪問! 新業態で目指すものやシステム、今後の展望などを、オートバックスセブン・チェン企画部の山添龍太郎部長にたっぷりとお話を聞いてきた。
◆“究極の利便性”を求めオープン
強い寒波と冬型の気圧配置の影響で西日本の日本海側を中心に大雪が降ったこの日。大阪も朝から雪がちらつくなか、オートバックスセブンが手がける新業態の店舗が堂々とオープンした。国道171号線を茨木市から箕面市方面に進むと、左手に緑色の下地に白文字で「Smart+1」と書かれた大きな看板を発見。これが店舗の目印だ。
オープンほやほやのお店は、全面ガラス貼り。外からも店内が覗け、とても入りやすいといった印象を受ける。店舗のすぐ隣にあるピットは3台まで車両を収容でき、記者が到着した時も洗車の作業が行われていた。夕方以降にもさらに予約が入っていて、開店初日から期待の高さがうかがえた。
「お客様に究極の利便性を提供したい。1度この店を訪れたら、他の店には行きたくないと思ってもらえるくらい便利なお店を目指しています」
同店舗の狙いを、山添さんはこう語った。この“究極の利便性”の提供こそ、同店が一番に目指しているところ。そしてその思いは実際に店舗で提供されているサービスに色濃く表れている。
◆これまでのノウハウを活かしつつ、新たなイメージを提供
提供されるメニューは手洗い洗車に加え、エンジンオイル交換、車内清掃、タイヤ交換、バッテリー交換など。広く知られているオートバックスの店舗と違い、カー用品も置かれていなければ、整備、車検といったメニューもない。ワンストップでクルマに関するものがすべて揃うという従来のイメージを覆す、まさに新業態の店舗だ。
とはいえ“らしさ”も随所にうかがえる。例えば、手洗い洗車は低価格で受け付けており、誰でも気軽に楽しめる設定にされている。低価格の実現には「既存店でも洗車をやってるので、そのノウハウをそのまま使う事ができたのが大きい。他のメニューも同じ。商品の提供の仕方を変えても、今までの強みを活かせる」と、これまでに培ったものがベースとなっている。
◆大きな特徴の一つが「会員制」と「予約制」
さらにスマートプラスワンの大きな特徴として「会員制」と「予約制」が導入されていることがあげられる。予約制は待ち時間を無くすことなどに効果があり、利便性があがるイメージはつく。では、会員制はどのような形で活用されるのだろうかと質問をすると、こんな答えが返ってきた。
「会員制にすることでお客様のことをよく知って、そのお客様に必要な商品だけを提供できるようになる。基本的にお客様は商品選びをしなくてよくなる。時間のロスが大幅になくなります」
例えば、そのための具体的なサービスに「洗車とオイル交換の時期を通知」というものがある。洗車は2カ月サイクル、オイル交換は6カ月サイクルでお客様にメンテナンスの時期が通知されるというサービスで、「お客様は商品をいつ買ったらいいのか分からないことも多い。それなら分かるようにしてあげよう」という思いから導入された。余計なことを考えず、お客様に“手際よく”そして“かしこく”時間を活用してもらう。これが店名の「スマート」に込められた思いだ。
◆クルマだけでなく、お客様もリフレッシュできる環境を準備
そして、もう一つ気になる「+1」という言葉の意味。そこに込められた思いも明確だ。クルマだけでなく、お客様にもリフレッシュしてもらいたいという付加価値の提供に由来している。
実際に店舗に入ると、業務に関わるものは受付くらいで、あとは、テーブルやリラックスチェアー、カフェスペースなどお客様がくつろぐためのスペースとして利用されている。利用者はパンやコーヒーを無料で楽しめ、各種雑誌も取り揃えられている。キッズスペースには、おもちゃやテレビが用意されているほか、ボルダリングも楽しめる。作業中の待ち時間は退屈しがちではあるが、その時間すらうまく利用してもらえる工夫が、そのスタイリッシュな空間には溢れている。
そういえば取材中、こんなやり取りが行われている場面を目撃した。雑誌のラインナップを見ていた関係者同士が「これって20代の人がターゲットのものが多くない?」「色々な年代の人に読んで貰えるように選んだんですけど」「もう少しバラエティーがあってもいいよね」と話をする姿だ。プラスワンの提供は、業務以外の部分にも繊細な気配りをすることによって実現されている。
◆お客様が商品を選ばない
カー用品がないだけでなく、店名にもオートバックスという名前が使用されておらず、一見すると全く別の会社が運営している店舗にすら見える。ここには「これまでオートバックスを利用していなかった新たな顧客層にも利用してもらいたい」という期待が込められている。そして、新たなブランド像の確立に向け、山添さんは「これまでは商品を選ぶのが当たり前だった。しかし、これからは選ばないのが当たり前といった商品提供が出来るようになれば」と今後、目指していく形を口にした。
スマートプラスワンの理想のイメージは、お客さんが「いつものあれで」と言えば、望んだ商品が出て来るといった店と顧客の関係を作ることだそうだ。そして「そういう環境を作るため、利便性を求めこの店舗に着手した」と教えてくれた。お店とお客様の信頼関係。それはお互いがお互いのことを知っているからこそ構築される関係だ。
今後、茨木市だけでなく、別の場所でも同様の店舗を展開する構想もあるという。“クルマの総合商社”ともいえる大企業が打ち出す新たな試み。今回の取材のなかで、山添さんの口から何度も発せられた「究極の利便性」を実現するためのシステムが完成した時、新たなカーライフの価値観が提示されることになるのかもしれない。
《カーケアプラス編集部》
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