【自動車豆知識】クルマを買うのはいつが安い? | CAR CARE PLUS

【自動車豆知識】クルマを買うのはいつが安い?

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クルマを購入する時にはあれこれ悩むもの
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クルマを買う時って、あれこれ悩んで楽しい気分になりませんか? カタログを見比べたり、どんなオプションを付けようか、何色にしようかとか。

また、現実的なところですと、予算をどれぐらいにしようとか、下取はいくらぐらいになるかなど、お金にまつわる悩みも出てきますよね。

そこで今回は、みなさんのクルマ購入のお役に立てるよう、筆者の経験から、いつ買うのがオトクなのかを解説したいと思います。あくまで個人的な経験則に基づくものですのであしからず。

◆時期によって値段が違う?

クルマを購入しようとしている人にとって、いつ買うのがトクなのかは最も気がかりなところ。中には、時期が関係するの? と思う人もいるでしょうが、実際にいつ買うかはかなり重要な要素となります。

自動車ディーラーのショールームの前を通った時に、「決算」の赤いノボリがはためいているのをご覧になったことがある人は多いと思います。では、それって何月のことだったか憶えていますか? よく思い出していただくと、9月か3月だったのではないかと思います。特殊な会社でなければ、クルマ屋さんの上半期と下半期の決算は9月と3月に当たります。決算期には期の実績の帳尻を合わせなければならず、特に3月は年度の締めとなりますから、無理をしてでも数字を挙げなければならないのが実情です。

一般的な小売業では「ボーナス商戦」や「クリスマス商戦」という時期がありますが、最近のクルマ業界ではあまり耳にしなくなりました。バブルがはじけて20年以上経ちますが、その後、長く続いた不景気の時期を経て、ボーナスが出るから高い買い物をするという時代ではなくなってしまいました。クリスマス商戦にしても冬のボーナス商戦と同様です。買う側のきっかけが減ってしまったことによって、決算期へのウェイトが大きくなっていることは事実だと思います。

クルマ屋さんは、この悪しき習慣を脱却して時期による販売台数のバラツキを抑えたいと考えていますが、連綿と続く歴史がユーザーの意識にも「3月=安い」を植え付けていて、なかなかうまく運ばないのが実情です。

◆クルマ業界のジレンマ

別件になるので、詳しくはまた別の機会に譲りますが、ユーザーとして知っておいても損はないことなので、期末とクルマ屋さんの関係について簡単に説明します。クルマ業界には長期に渡って、一種のジレンマがあります。期末で実績の帳尻を合わせなければならない現状がありますが、本当のところは、決算期に販売台数が増える構造には大きな弊害があるので、販売の平準化をしたいと考えていることです。

会社経営的に、毎月安定した実績にしたいということもありますが、それ以上に現実的な問題もあります。クルマには車検や保険がつきものですが、クルマが売れることによって、これらの満了の時期まで決算期に固まってしまい、繁忙期が異様なまでの忙しさになるのです。

車検や保険が満了になると、更新しなければ乗れなくなるというのが他の商品との違いで、忙しい時期を避けて更新しよういうわけにいかないのが悩ましいところです。また、通常月との仕事量があまりに違いすぎることで、人員のバランスを保つことが難しいことも挙げられます。

いずれにしても、ユーザーにとってあまり関係のないことのように思います。しかし、忙しいことによって仕事が雑になったり、ミスが生まれやすくなることも現実としては起こり得ることです。そういった点では十分に注意が必要ですので、少しこのことを気に留めておくといいと思います。

◆どうして決算だと安くなる?

少し話がそれましたが、決算期の9月や3月にクルマが安くなるのは何となく理解できたかと思います。では、どうして安くできるのでしょうか? ただのさじ加減だけでは限界があるはずですし、限界値が一緒であれば、先ほどの事情からすると販売台数をより均一化したいはずです。それでも台数の違いが大きく出るのは、決算期には安くできる理由があるからです。

クルマに限らずですが、商品には仕入れの値段があり、いくらで販売していくら儲けるかということで商売は成り立っています。クルマも同じで、自動車ディーラーはトヨタや日産といったメーカーからクルマを仕入れます。つまり、仕入れの値段が下がるか、それ以外の要素が加わらない限り限界値は変わりません。筆者の経験上ですが、決算期だけ仕入れの値段が下がるということはほぼ無かったと思います。ですから、大きく影響を及ぼすのは「それ以外の要素」ということになります。

では、決算期になるとどんな要素が加わるのでしょうか。簡単にいってしまうと、自動車メーカーから販売支援のためのお金が注入されるのが最も大きな原資です。また同じような原資で、販売の契約台数によってインセンティブの単価が変わったり、通常の月よりも単価が高くなったりするので、売る側もそれを利用して拡販に努めます。つまり、その分いつもより値引ができるようになるわけです。

自動車メーカーも、期や年度で販売台数の合計が決定しますから帳尻を合わせようとします。何台かの台数の違いで大きくインセンティブの額が変わるので、例え赤字でも条件を飲むケースも多くなります。とにかく、お金がばらまかれまくるのが期末の自動車販売の業界です。

◆業界の習慣を利用する

こうして、鶏と卵の話のように、期末に帳尻を合わせようとしたり、また、そのためにお金をかけるようになるという悪循環が起こっています。まさにココにつけ込むのが、最も安くクルマを買うコツのひとつであるといえます。筆者の印象として、この業界の習慣を打破するのは、正直、不可能だと思います。ですから、クルマが一番安く買えるのは、3月か9月という時期による値段の違いは無くならないでしょう。

クルマを購入する時には、買い時があるのは間違いないことだと思いますが、ひとつの知識として決算期、特に3月が安いということは頭に入れておいて損はないはずです。

《カーケアプラス編集部》

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