【実践! サウンドチューニング】上級編 Part.2「ハイエンドシステムにおける、クロスオーバー調整の勘どころ。その2」
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先週は、仮の「クロスオーバー」設定の決め方を解説した。次にはそれを基準として、微調整を加えていくわけなのだが、そのやり方を説明していくにあたってまずは、概要をまとめておこうと思う。
さて、「クロスオーバー」調整を煮詰めていくにあたっては、設定していく項目が4つある。1・「カットオフ周波数」、2・「スロープ」、3・「レベル(音量)」、4・「位相」、以上だ。
「カットオフ周波数」とは、例えばトゥイーターであれば、下側の音をカットするポイントのことを差す。ただし、そこから下の音がスパッとすべてカットされるかというと、そうではない。「カットオフ周波数」より下側の音は、緩やかに減衰していくのである。
その減衰率が「スロープ」と呼ばれている。そして、1オクターブ音域が下がるごとに6dB音圧が下がっていく状態の「スロープ」は、-6dB/oct、と表記され、1オクターブ音域が下がるごとに12dBずつ音圧が下がっていく減衰率のことは、-12dB/oct、と表記される。
「クロスオーバー」調整においては、これら「カットオフ周波数」と「スロープ」を決めていくことが中心にはなるのだが、それと併せて、各スピーカー間の「音量」バランスと、「位相」の正・逆も調整していく。
なお、これら4項目は複雑に絡み合うので、1つ1つをズバッと決めていくのは難しい。それぞれを変更すると他の項目にも影響が出てくる。何かを変えたら他の項目も見直さなければならないのだ。さらにいえば、トゥイーター側を変更したらミッドウーファー側も変更する必要が出たりもするし、右chで変更を加えたら、左chの設定も確認しなくてはならない。
また、「タイムアライメント」や「クロスオーバー」といった他の調整機能を変更したときにも、「クロスオーバー」を見直す必要があったりもする。そして「クロスオーバー」を見直した後にはまた、「タイムアライメント」や「イコライザー」を見直す必要も出てくる。ハイエンドシステムにおけるサウンドチューニングは、とにもかくにも難易度が高いのだ…。
さて、今週はここまでとさせていただく。次週以降は、「クロスオーバー」調整においての各操作項目について、ひととおりの操作方法を解説していく。お楽しみに。
《太田祥三》
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