日産『e-NV200』ベースのFCV車を発表!…仏シンビオフセル
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シンビオフセルはパリに本社を置く、ヨーロッパにおける水素電池のリーディングカンパニーとして知られる。これまで、ルノー・カングーの電気自動車『カングーマキシZ.E.』をベースにしたFCV『カングーZE-H2』と、電気自動車に組み込みができる、燃料電池キットシステムの設計、製造、販売を行ってきた。
実際にフランス国内では、フランス郵政公社で採用された例もあり、実用化が進んでいる。今回の発表により日本国内への普及も期待される。
この日披露されたのは、日産自動車が製造・販売する電気自動車『e-NV200』をベースにしたFCV『シンビオFCV』だ。タクシー車両向けの提案を考えているため、ニューヨークタクシーに導入された実績のあるNV200をベース車両に選んだのもうなずける。
シンビオFCVは外部からの充電と水素の充填のどちらでも走行できるため、プラグインハイブリッド水素燃料車といえる。ベース車両に水素貯蔵タンクと燃料電池スタックを追加し、バッテリーや駆動用モーターは電気自動車として搭載していたものをそのまま使う。ただし、駆動用のバッテリーは追加搭載されていて、総電力量は24kWhから36kWhに変更されている。
航続距離は500km以上。700気圧の水素燃料タンクは、車両後方の床下に搭載され、3.6キロ充填が可能だ。燃料補給は3分で完了しフル接続状態になる。ベース車両と比べても、車内の広さがほとんど変わらないのが特徴だ。また、ボンネット内もほとんど変更はなく、燃料電池システムの部品を追加しただけだ。構造としては特別ではないが、小型化させるのに苦労したという。
シンビオFCVは航続距離が長く、都市部の大気を汚染することなく走行できる。同社は、毎日走行するタクシーには最適と考えていて、新たな業務用車両の市場を開拓していく方針だ。一般に、水素燃料車というと、水素ステーションなどインフラの問題が出てくるが、タクシーや路線バスであれば、走る範囲がある程度決まってくるので、そこまでの障壁にはならない。加えて、電気でも走れる点は大きな利点だ。
電気と燃料電池のハイブリッドとしたのは、必要に応じて安価なエネルギーを選べるようにするためだ。夜は電気料金が安いから電気で、日中は水素で、と選べる柔軟性があり、ランニングコストを重要視するタクシー向けによく考えられたシステムだ。また、電気自動車とは異なり、どのような天候下でも安定した走行距離を確保できることも重要だ。
会場には、シンビオフセルの株主で、ミシュランやエンジーといったフランスを代表する企業や、フランス政府関係者も参加し、この分野への力の入れようを感じる記者発表となった。フランスで実績のあるシンビオフセル。新たなFCVの日本投入で、国内のFCV市場が活気づくことに期待したい。
《カーケアプラス編集部》
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