【プロショップ直伝!】フロントスピーカー攻略法! Part.3「“インナー”か“アウター”か」 | CAR CARE PLUS

【プロショップ直伝!】フロントスピーカー攻略法! Part.3「“インナー”か“アウター”か」

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 “アウター”でスピーカーを取り付けた例。製作:ブリーズ(奈良県)。
 “アウター”でスピーカーを取り付けた例。製作:ブリーズ(奈良県)。 全 2 枚 拡大写真
カーオーディオにおいての最重要ユニットと言えば、フロントスピーカーだ。これに何を使い、どのように鳴らし、どうコントロールするべきかまでを、1つ1つ掘り下げて解説している。第3回目となる今回からは、いよいよ“使い方”について考察していこうと思う。

まずは、「“インナー”か“アウター”か」をテーマに話を進めていく。講師役を務めてくれたのは、奈良県の実力ショップ、“ブリーズ”の木村さんだ。早速、木村さんにお聞きした話をご紹介していこう。


■“インナー”、“アウター”とは、ドアに付けるスピーカーの、取り付け方を表す言葉。

はじめに、今回のテーマである、“インナー”と“アウター”、それぞれの言葉の意味を解説しておきたい。これらはともに、セパレート2ウェイスピーカーにおいて中・低域の再生を担当する、“ミッドウーファー”の取り付け方を表す言葉である。

“インナー”とは、“インナーバッフル”のことであり、ドアの内張りパネル内にスピーカーを収める取り付け方のことを指す。“インナーバッフル”とは本来は、スピーカーを固定するための土台となるパーツの名称なのだが、それを使って装着する状態のことが総じて、“インナー”と呼ばれているのだ。

対して“アウター”とは、“アウターバッフル”とも呼ばれていて、“インナー”との対義語として存在している。ドアの内張りパネル面とスピーカーの取り付け面を揃える取り付け方のことを指している。

それでは、木村さんにお聞きしたお話をご紹介していこう。最初に、“インナー”の利点から教えていただいた。

木村「利点は以下の3点に集約できます。取り付け加工費が比較的に少なくてすむこと、内張りパネルをキズ付けないこと、純正のスタイルを崩さないこと。とにもかくにも、見た目を変えたくない場合には、“インナー”でキマリですね」


■“インナー”で鳴らす際の最重要課題は、足場の強度。

次には、“インナー”で取り付ける場合のコツをお聞きした。

木村「もっとも重要なのは、“インナーバッフル”の強度です。スピーカーに良い仕事をしてもらうためには、足場がしっかりしていることがとにかく重要なんです。であるので、“インナーバッフル”の素材は、金属がベストだと考えています。メタル系であれば耐久性も高く、ネジも緩みにくく、そしてその上で強固です。スピーカーの踏ん張りが利きますから、ロスなく音楽を再生できるんですよ。

なお、木製の“インナーバッフル”を使うときでも、メタル製のスペーサーをかませることで、より足場を固めることが可能になります。“XXXX(フォーエックス)ライティング”と“M&M DESIGN”から、『PCD変換スペーサー』という製品が発売されていますが、これを使うのも1つの手ですね。当アイテムはそもそも、市販の“インナーバッフル”と市販スピーカーとの互換性を高めるための製品でもあるのですが、スピーカーをガッチリと固定しようと思ったときにも有効なんです。

他には、“できるだけ立ち上げて、取り付け面を内張りパネルの際まで持ってくる”ことも、1つのセオリーです。こうすることで、スピーカーから発せられる音が内張りパネル内に入り込みにくくなります。音がダイレクトに車内に届きやすくなるんですよ。

ただし、注意点もあります。パネル内に広い空間があって立ち上げる量が増え過ぎたとき、“インナーバッフル”が筒状に長くなってしまうんですね。そうなると弊害が生まれます。裏側の音エネルギーが筒の中で暴れて、スピーカーの動きにストレスを与えてしまうんです。立ち上げ量が増えたときには、それについての対策も必要となります。ただ高くすればいい、ということでもないんです」


■音の良さを追求するなら、“アウター”が断然有利。

続いては、“アウターバッフル”のメリットとデメリットを一気にお聞きした。

木村「メリットは取りも直さず、スピーカーから発せられる音を、ダイレクトに、ロス無く車室内に届けられることですね。このメリットは相当に大きい。音にこだわるのなら、“アウター”が断然有利です。

しかしながらデメリットもあります。主には以下の2つです。1つ目が、取り付けに手間がかかること。そして2つ目が、内張りパネルを加工しなくてはならないこと。とはいえこれらを許容できるのなら、“アウター”をお薦めしたいですね。

他には、足で蹴ってしまう心配が出てくることもデメリットですが、これについてはグリルを装着することで対処が可能です。グリルを付けることで少なからず音が遮られてしまうことにもなるのですが、音を遮る率がごくごく少ないタイプもありますし、心配するほどではないと思います。スピーカーを守る観点では、なんらかのグリルは装着したほうがベターでしょうね」


■音にこだわるならば、“角度付け”も検討すべき。

最後に、“アウターバッフル”でドアにスピーカーを付ける際のコツをお聞きした。

木村「角度を付けると、より“アウター”のメリットが伸長すると、私は考えています。振動板の向きをリスナー側に振る、という作戦です。裏側の音エネルギーの処理がしにくくなる等のデメリットを考えて、角度を付けることに懐疑的な見方もあるのですが、当店では、さらなる音質向上を望まれる場合には、角度を付けることをお薦めしています。

ただし、角度を付けるのにも限度はあります。付け過ぎるとスピーカーが出っ張り過ぎてしまいますし、裏側の音エネルギーを処理するのも難しくなっていきますから。ですので、どの程度の角度にするか、ここの見極めがとても重要になりますね。

しかしながら、適度な角度で装着できた場合には、裏側の音エネルギーの影響がむしろ小さくなることもあるんですよ。スピーカーの取り付け面が、アウターパネルと平行ではなくなりますから、裏側から放たれた音の跳ね返りが少なくなるんです。“定在波”(平行面の間で発生する音響的な弊害)が発生するリスクも減少しますし。

角度を付けるという作戦は、音を良くするための最終手段になり得ると思います。トライする価値は高いのではないでしょうか」


木村さんからお聞きした話は以上だ。ドアにスピーカーを付けるには、“インナー”と“アウター”という2つのスタイルがあり、それぞれにさまざまなノウハウが存在している。そして、どちらのスタイルを選ぶにせよ、手間をかけることで結果は変化していく。

良いスピーカーを選んだなら余計に、取り付けにも十分に手をかけたい。そうすることで、スピーカーの性能を十二分に引き出すことが可能となるのだ。

さて、次回は、「“パッシブ”か“マルチ”か」をテーマにお贈りする。乞うご期待。

《太田祥三》

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