【MINI クロスオーバー 新型】これ1台ですべて賄えるMINI
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「MINIは今変わろうとしている。これまで比較的やんちゃなイメージでコミュニケーションを進めていたが、今後を見据え、MINIをプレミアムなブランドへと転換を図っているのが現在の状況だ」とは、ビー・エム・ダブリュー広報部の前田雅彦さん。
その理由は、「これまでのMINIは全てCセグメントだった。しかし、5ドアをはじめ様々なモデルラインナップが拡大し、更に新しいお客様を増やすために、MINIの中で明確な差別化を図ることにした」。その結果、3ドア、5ドア、『コンバーチブル』はCセグメント。一昨年発表の『クラブマン』とクロスオーバーはボディサイズをアップしDセグメントに投入したのだ。そしてこのセグメントで勝負出来るような内装や質感、デザインを付加することで、CセグメントとDセグメントの両方にMINIブランドを投入し、「更なるお客様の拡充を図っていく」と述べる。
そのサイズは、先代モデルと比較し全長で20mm、全幅で30mm、全高で45mm 拡大。全幅1820mmという数値は、クラブマンや、BMW『3シリーズ』も1800mmなので、更に大きくゆったりとしたクロスオーバーが出来上がった。前田さんは、「競合も含め、このボディサイズを見ればDセグメントと呼ばれるクルマと同じくらいであることが読み取れるだろう」と話す。
クロスオーバーはセグメントアップに伴い、価格も40万円以上上昇(新旧クーパーDクロスオーバーの比較)した。同社MINIディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネジャーの福島絵里さんは、「確かに価格に関してはアップしているが、その分装備が充実し、スペックも良くなっているので、大きな問題にはならないだろう」とコメント。具体的には、ラゲッジスペース後端にベンチの役割を果たすピクニックベンチや、オートマチックテールゲートオペレーションなど付加価値の高い装備が搭載されている。
先にセグメントアップしたクラブマンの評価はどうか。福島さんは、「日本ではとても成功しており、3割ぐらいの売上を占めているが、価格面、サイズがネックになっているということは聞こえてきてはいない」という。また、「子供がいる家庭で、3ドアや5ドアではサイズ的に少し小さすぎるので、セカンドカー的な使われ方が多かった。しかし、クラブマンはこれまでの3ドアや5ドアと違い、一台で賄える」とし、DセグメントでのMINIはファーストカー需要に対する答えであることを明言。同時に、「Dセグメントの方がCセグメントより市場が大きいこともあり、そこに参入するのだ」と前述の前田さんのコメントを裏付ける。
サイズについても、「MINIと聞いていたが実際に見たら大きかったという声はある」と認めながらも、「昔であればやんちゃなイメージ、現在はマチュアなイメージなど、強いブランド力に加え、ボディカラーも他社にはないカラフルな色を取り揃えているので、“MINI”という名前は大きさだけを語っているのではない」という。そして、「MINIを所有する嬉しさや楽しさなど、喜びを感じられるお客様も多いので、そういう点でのMINIブランドは強いと思う」と福島さん。
その強さは、「こだわりだ」。それはカラーバリエーションやボディとルーフカラーの組み合わせに始まり、装備の組み合わせなど、「お客様がこだわりを持って組み合わせを考えられる。これは他社とは大きく違うところだ。こういったこだわりを持ったブランドのクルマを持ちたい。それを持つことで自分もこだわりを持った人間だということがアピール出来る。そしてMINIは単なるクルマではなく、自分の相棒や友達という立ち位置になると思う」とMINIブランドの特徴を語った。
《内田俊一》
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