“本格”カーオーディオのススメ! Part.4『フロント3ウェイ』にトライ!<後編>
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■内蔵パワーアンプの2ch分だけで、『3ウェイ』を緻密にコントロールできるユニットがある…。
『フロント3ウェイ』が何故に“本格”であるのかを、前回にじっくりとご説明させていただいた。しかしながら、“本格”であるがゆえに、ハードルの高さも最上級だ。前回解説したとおりに、“マルチアンプシステム”でこれを行おうとすれば、パワーアンプは最低でも計6ch分(サブウーファーまで導入すれば、さらにもう1ch)必要であり、“DSP”も導入しなくてはならず、ケーブルまで考えたら、相当な出費になってしまう。スピーカーの取り付けにおいても、費用がかかる。
しかしながら、もう少し手頃なやり方が存在している。それはどのような方法なのかというと…。ズバリ、メインユニットに『ダイヤトーン サウンドナビ』のハイグレードモデル『NR-MZ200PREMI』を用いる、という作戦だ。
これを用いると、どのように手頃になるのかをご説明していこう。まずは、外部パワーアンプが必要ない。しかも、『ダイヤトーン サウンドナビ』の内蔵パワーアンプの2ch分だけで『フロント3ウェイスピーカー』を鳴らすことが可能となる。であるにも関わらず、“マルチアンプシステム”で鳴らすときと同じように、左右の3ウェイスピーカーの1つ1つを個別にコントロールできるのだ。“本格”的な方法とほぼ同様に、『フロント3ウェイ』を運用できるのだ。
これが可能となるなるキモは、『ダイヤトーン サウンドナビ』の“タイムアライメント”機能が、他とはひと味違っているからだ。
■各スピーカーを個別にコントロールできるのに、それを同一chで行える。
通常“マルチアンプシステム”では、プロセッサー内でクロスオーバーをかける。つまり、音楽信号をパワーアンプに送る前段で帯域分割して(トゥイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファー用に音楽信号を分割して)、その上でそれぞれの信号に個別に“タイムアライメント”をかける。このように運用するので、パワーアンプが6ch分必要になるのだが、『ダイヤトーン サウンドナビ』の“タイムアライメント”機能では、トゥイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファーのそれぞれの信号に個別に“タイムアライメント”がかけられるのに、その信号を、同一ch内で処理できるのだ。であるので、パワーアンプは、左右分(2ch分)あればいいのである。
というわけなので、“外部パワーアンプ”が必要なく、“DSP”も『ダイヤトーン サウンドナビ』に内蔵されている。さらには“DSP”と“パワーアンプ”間を繋ぐケーブルも必要ない。システム費用を、相当に削減できるのだ。
ただし、『フロント3ウェイ』をコントロールできるのは、2機種ある『ダイヤトーン サウンドナビ』の上級機だけ。その『NR-MZ200PREMI』の税抜価格は24万円で、スタンダード機と比べると約7万円の価格差があり(スタンダード機はオープン価格)、その点では費用はかさむのだが、とはいっても、“マルチアンプシステム”でフロント3ウェイを構築するのに比べたら、相当にリーズナブルだ。
■取り付けが簡単な、革新的な『3ウェイスピーカー』がある!
さらに、スピーカーの取り付け費用をぐっと削減する方法もあるのでご紹介しよう。それは、フロントスピーカーに「MTXオーディオ」というアメリカンブランドの『イメージプロ・シリーズ』を使う、という方法だ。
写真をご覧いただけばわかるとおり、当シリーズのスピーカーは、トィーターとミッドレンジが専用のエンクロージャー(ケース)に収められている。なので、Aピラーを改造してスピーカーユニットを埋め込む、ということをせずに、ダッシュボード上に“ポン”と置くような形でインストールを完了できるのだ。
ちなみに、『イメージプロ・シリーズ』は、3ウェイコンポーネントスピーカーを3タイプラインナップしている。もっともリーズナブルなモデルの税抜価格は、5万5000円。もっともハイグレードなモデルでも13万8000円だ。
ただし、スピーカーは好みが分かれる部分でもあるので、他に使いたいスピーカーがあればそちらを買うしかないのだが…。
とは言っても、『イメージプロ・シリーズ』はサウンド的に、個性が強いというタイプのスピーカーではない。至ってスタンダードな音色を聴かせてくれるスピーカーである。その上で、『3ウェイ』であるメリットは十分に発揮されるモデルだ。リーズナブルに『3ウェイ』の魅力を楽しみたいと思ったら、これを選ぶ価値はある。ご参考にしていただきたい。
さて、“本格”をテーマにお贈りしてきた当特集はいかがだったろうか。“本格”カーオーディオは、それなりにハードルは高くなるのだが、楽しみ甲斐が大きいことも確かだ。そしてその一方で、“本格”を手軽に楽しむ方法もある。どっぷりと“本格”にハマってもいいし、合理的に“本格”を楽しんでもいい。
カーオーディオは案外、幅広い楽しみ方ができる趣味である。お近くで信頼できるカーオーディオ・プロショップを探して、自分なりの方法で、ライトに、またはヘヴィに、それぞれのスタイルで楽しんでいただきたい。
《太田祥三》
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