【6輪生活】今20代の若者に「250ccスーパースポーツバイク」がウケる理由
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◆カワサキNinja250が火をつけた
足元を見れば、2017年の1~7月の出荷台数では前年比116%と市場全体が復調傾向にある。その中でも軽二輪車は同146%、販売ベースでは119%(全国軽自動車協会連合会データ)と好調だ。直近で軽二輪車の販売を押し上げた要因のひとつが、4月にホンダが発売した250ccスーパースポーツ『CBR250RR』だ。発表後3日間で年間販売計画台数3500台を上回る3714台を受注したことで「バカ売れ」と話題になったのも記憶に新しい。
このCBR250RRはいわゆる“足グルマ”的なモデルではなく、スポーツ走行に適した高性能モデルで、価格も70万円台後半からと高価だ。しかし、実はこの「250cc」「スーパースポーツ」こそが今、20代を中心に若者の心を惹き付けているのだという。
このブームの先駆けとなったのが、カワサキが2013年に発売した『Ninja250』だ。40代~50代が中心といわれるハイエンド/スーパースポーツ市場の中で、このNinja250は29歳以下の販売が44%、30代で26%(2013年当時)と、驚くべき販売比率を打ち立てた。カワサキによると、「スタイリッシュでスポーティなデザインと上級モデルさながらの高級感が人気の主な要因。女性でも扱いやすく、初心者からリターンライダーまで幅広い層から人気」だとして、「高出力で燃料タンク容量も多い為、ロングツーリングからサーキット走行まで、多彩な楽しみ方が出来るのも今の若者達にとって魅力的に感じていただけたのでは」と分析している。
◆10~20代がスーパースポーツを選ぶ理由
そしてこのブームにさらに火をつけたのが前述のホンダCBR250シリーズ、そして8月9日に限定車を発売したばかりのヤマハ『YZF-R25』だ。ヤマハによると、このYZF-R25は2014年12月の発売から今年6月までの累計で1万4000台を販売しており、特に昨年あたりから好調が続いているのだという。各社のスーパースポーツが出揃ったことでシェアの食い合いが予想されたが、それぞれが堅調に販売を維持している。そしてカワサキ、ホンダの例と同様に若者の販売比率が高く、10代~20代だけでおよそ半分を占めるとのことだ。
ヤマハ発動機販売の広報・商品企画グループ 菊地真由美さんによると、「(販売の)半分が10代~20代というモデルは過去を見ても例がありません。これまで『ドラッグスター』や『マグザム』などの250ccは比較的若めで女性層も多かったんですが、それでも中心は35~37歳。自工会の調査データでも52.9歳が平均ですので圧倒的です」と、驚きを隠せないようだ。しかし、250ccといえど様々なモデルがある中、さらに言えばモータースポーツ不振でもある昨今、なぜスーパースポーツタイプが人気なのか。菊地さんはこう語る。
「若いユーザーさんに話を聞くと、走りがどう、とか速さや性能は求めていないんです。ですから(排気量の)ヒエラルキーはあまり関係ないですし、スーパースポーツはカッコいい、バイクっぽい、クリーンなイメージがある、といったように“見た目”が一番の選ぶ理由になっているようです。これまでのように『MotoGPで走ってたから』とか、『レプリカだから』と言ったような需要だけではないのが大きく違います。だからカスタムも、速く走るためのチューニングではなくて、スマホを使いやすくするとか、ツーリングを快適にする、といった便利機能に振ったものが多いですね」
◆健全に楽しくバイクを楽しむ文化を
またSNS文化の広がりも、この流れを後押しする一因と分析する。SNSに投稿する話題を作るためにツーリングへ行く、綺麗な景色の中でバイクの写真を撮る、などバイクに乗るための動機も変わりつつあり、さらにそれが拡散されることで新たな若者の獲得につながっていると見ることも出来そうだ。7万人のフォロワーを抱えるヤマハの公式ツイッターでは、いわゆる“中の人”が、フォロワーとのコミュニケーションを図ったり、クスリとするようなつぶやきを投稿するのがウケているという。さらに「“#ヤマハが美しい”というハッシュタグがユーザーさん達の間で生まれていて、多くの人たちの間でリツイートしてもらっています。公式でも乗っからせてもらっているんですが、その中にはR25のユーザーさんも多くて、若い人への広がりを実感しています」(菊地さん)と、その反響に手応えを感じているようだ。
「ライダーの皆さんが走りに行くきっかけづくりができれば」と、オーナーズミーティングや走行会などのリアルなイベントもおこなう。「若い人たちは皆さん、ちゃんとライダースーツを着て、安全装備もしっかりしている。健全に、楽しくバイクを楽しむという文化を、ここから作って行きたい」。250ccのスーパーバイクが、新たな道を走り始めた。
20代若者に人気、いま「250ccスーパースポーツバイク」が売れる理由とは
《宮崎壮人》
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