【イベントレポート】子どもが描く“夢のクルマアートコンテスト”表彰式
イベント
イベントレポート
「トヨタ夢のクルマアートコンテスト」は、世界最大規模の子供向けアートコンテスト。15歳以下の子供が応募可能で、「カテゴリ1(7歳以下の部)」「カテゴリ2(8~11歳の部)」「カテゴリ3(12~15歳の部)」の3つのカテゴリごとに、金賞(1人)・銀賞(2人)・銅賞(3人)、審査員奨励賞(4人)の計10人が選ばれる。さらに特別賞として「豊田社長賞」(選出:豊田章男社長)、「夢のクルマ技術賞」(選出:ディディエ・ルロワ副社長)、「Makes Me Smile!Award~オンライン投票賞」の3賞が別途選ばれる。
2004年よりスタートし、今年で11回目。今年は、世界79の国・地域から、自由な発想で描かれた約83万作品の応募があった。昨年10月から本年3月にかけて世界各国で「ナショナルコンテスト」が開催され、その優秀作品が4月に日本で開催された「ワールドコンテスト」での審査対象となり、審査委員長の豊田章男社長のもと、美術・自動車専門家の外部有識者が審査し、入賞作品を決定した。
表彰式には、受賞者である30人の子供達とその家族・保護者が、世界から参加。21日から来日しており、22日にはトヨタ会館・トヨタ堤工場(豊田市)見学にも参加している。明日24日には、モノづくり体験(くるま育、Mobilmo)、浅草観光、着付け体験、フェアウエルパーティーも行われる予定で、この機会に、日本の文化にも触れてもらおうという“おもてなし体験”にもなっている。
受賞者はカナダ、タイ、パナマ、ロシア、ウクライナ、台湾、ブラジル、トルコ、ケニヤなど国際色豊か。それだけに表彰式も華やかで、それぞれの国の民族衣装を着てきたファミリーも目立った。発表の際には、受賞国の皆が歓声をあげる一幕もあるなど、非常に楽しい体験になったに違いない。
表彰式は、パーティのような賑やかな挨拶で開幕。続いてトヨタ副社長のディディエ ルロワ副社長が登壇し、「困っている人や動物を助けると言った解決策を持ったクルマ、家族や友達への愛情にあふれたクルマ、純粋に楽しい旅を叶えるクルマなど、いろいろな思いや希望が込められた“夢のクルマ”の作品をいつも楽しみにしています。ありがとうございます」と、参加者への感謝を伝えた。
そして各賞の発表。「夢のクルマ技術賞」「豊田社長賞」、各カテゴリの発表、そして「Makes Me Smile!Award~オンライン投票賞」の発表順で、各賞および各カテゴリの金賞は以下のようになった。
●夢のクルマ技術賞……「音符カー/Note Car」ファタヒラ・ファイサル・リズキアワンさん(インドネシア/14才)
音符の形をしており、音楽を奏でながら、プロペラで動くクルマ。トヨタの「クルマづくり」にインスピレーションを与えた作品に贈られる賞で、さらにトヨタ試作部が、原画を基に模型として再現した。「コンセプト通りに走ることにこだわりつつ、楽しんで作ることができた」とのコメントもあり、嬉しさのあまり壇上でファタヒラさんが涙ぐむシーンもあった。
●豊田社長賞……「お母さんのクルマ/Mother's Car」マシエル・エステル・サルゲロさん(ボリビア/4才)
豊田社長みずからが選ぶ賞。「『お父さんがお母さんのためにクルマを買ってくれました』というあたたかいメッセージに心惹かれました。お母さんの移動を自由に、楽にしたい。家族みんなで、笑顔で愉しみたい、という思いやりの気持ちを感じます」とのコメントが豊田社長から寄せられた。またトヨタでは、同作品を“VR絵本”として再構築。実際にマシエルさんに見てもらい、その世界に入り込んでもらうデモを行った。
●カテゴリ1(7歳以下の部)金賞……「トヨタ知識パラダイスカー/Toyota Knowledge Paradise Car」ルヴィンディア・トゥシャディ・イントララトネさん(スリランカ/7才)
「より良い未来を築くためにクリーン環境やシェアリング、健康や教育、感性といった知識をみんなに提供する」というコンセプトのクルマ。ルヴィンディアさんは将来医者を目指しており、そういった気持ちが現れた作品だった。「受賞できてとても幸せ。これを機会に、日本とスリランカとの絆が深まればいいなと思ってます」とのコメントを寄せている。
●カテゴリ2(8~11歳の部)金賞……「スーツケースカー/The Suitcase Car」ホン・ユー・ライアンさん(カナダ/10才)
スーツケースに折りたたんでしまえるような、ポータブルカー。地球の環境と災害を心配して、空気と水で動いて、人を助けるクルマを考えたという。「この絵のメッセージは、お父さんもほめてくれたし、本当に本当に(受賞は)嬉しい」(ホンさん)。イラストもユーモラスだ。
●カテゴリ3(12~15歳の部)金賞……「夢の再生/The Recycle of Dreams」ビクトリア・ベゼハ・オリベイラさん(ブラジル/15才)
有機廃棄物を取り除き燃料に変え、排出されたガスは樹木の肥料になるというクルマ。「街を清潔に保ち、樹木の寿命も延びます。私たちの喜び、愛、新しいアイデア、そんな夢を結びつけていくクルマです」と、コンセプトを説明してくれた。「ここに立てて、とても喜ばしいです。両親、家族、支えてくれたみなさんに感謝します。将来はデザイナーになって、世界の人たちに作品を見てほしい。世界の平和を祈っています」と、世界全体に思いを馳せていた。
●Makes Me Smile!Award~オンライン投票賞……「トヨ・テラクリック/Toyo Terra Click」アナ・ガブリエラ・アグードさん(パナマ/7才)
「Makes Me Smile!Award」は、昨年より、世界中のオンライン審査により選ばれる賞として新たに登場した。同作品は「私の夢のクルマはクリックひとつで世界中のどんな場所にでも瞬間移動できます。飢える人には食料を届け、戦争の被害者には手助けし、捨てられた子供たちには愛を与え、字の読み方も教えます。GPSと全世界の翻訳機を装備していて、誰のことも差別しません」と説明されている。世界133の国と地域から多くの投票があり、「アイデアが素晴らしい」「シンプルで力強いメッセージを感じた」と絶賛され1位となった。授賞式のアナさんの衣装も非常に素敵だった。
以上、どの作品もレベルが高く、子供らしい自由さに溢れた内容だったといえる。一方で、社会問題と関連させた作品も多く、「世界各地の子供たちの視点からのさまざまな現実が見えます」と審査員は指摘している。最後にトヨタの宮崎洋一常務役員が登壇。「夢のクルマアートコンテスト」には、すでにトータルで460万作品以上が100以上の国・地域から寄せられていることを明かし、「多くの夢を私たちに届けていただきましたことに、心より感謝申し上げます」と表彰式を締めくくった。
■「第11回 トヨタ夢のクルマアートコンテスト」審査員
海老塚耕一氏(多摩美術大学教授)
長谷川栄氏(金属造形作家・美術館学者)
ピーター・ライオン氏(国際モータージャーナリスト)
牧野圭一氏(京都造形芸術大学教授)
マンジョット・ベディ氏(クリエイティブディレクター)
森本千絵氏(アートディレクター)
脇阪寿一氏(レーシングドライバー)
渡辺達正氏(多摩美術大学教授)
※トヨタ自動車
代表取締役副社長 ディディエ・ルロワ氏
常務役員 宮崎洋一氏
世界の子供が笑顔で提案! トヨタ「第11回 夢のクルマアートコンテスト」表彰式
《冨岡晶》
この記事の写真
/