【潜入レポート】日々“技術” “知識”を追い求めるカーディテイリングの求道者達…その舞台裏 | CAR CARE PLUS

【潜入レポート】日々“技術” “知識”を追い求めるカーディテイリングの求道者達…その舞台裏

イベント イベントレポート
日本国内のみならず海外からの参加者も出席
日本国内のみならず海外からの参加者も出席 全 11 枚 拡大写真
プロだからこそ、最新の知識や技術を“装備”することは重要!
日々の鍛錬がプロをプロたらしめる要因の一つとなる。

ではクルマのプロ達は、どのように、その装備を自らにまとわせているのだろうか?日々、行われているセミナーや勉強会もその方法の一つだ。ここに参加することで、鋭い刀をさらに鋭く研ぎ、より強固な装備品を揃えることができる。

今回は、カーディテイリング業界で行われたあるセミナーの様子をお届けする。

◆今年で7回目を迎えた恒例セミナー

神奈川県川崎市で、業務用のカーケア用品の販売などを手がけているアスナルが主催する「カーディテイリングセミナー」。今年7回目を迎えるこのセミナーは、多くのディテイリング業界関係者が集まる恒例イベントとして知られている。

“プロの日常”を覗くため、著者も会場となった相模原市の市立産業会館に足を運び、取材をしてきた。今後の自動車業界の流れを掴むために活用されるセミナーと、出展者によるガレージセールで構成されたプログラムを目的とし、会場には全国から142人のカーディテイリング関係者らが集結。東北や九州といった関東圏以外から参加した関係者に加え、今年は海外からも出席者が集まるほどの盛況ぶりを見せた。11社・団体が出展したガレージセールも常に人だかりといった状況だ。

ガレージセールで新たな資材や商材を探す参加者達

会の目的は「自動車アフターマーケットの活性化」。その意図は、冒頭のアスナル・宮崎慎也社長の言葉からも滲みでる。

「マイナスをゼロに戻す修理分野とは違い、カーディテイリングはゼロをプラスにする商売。新たな付加価値を提案することができれば、明るい未来が待っている業界だと私は考えています」

そう話す宮崎社長は、今回のセミナーでディテイリング分野の話だけでなく、人材採用や福祉機器に関わるものなどバラエティーに富む内容を用意した。「カーアフターマーケット全体を意識した」(宮崎社長)という話を聞くと、業種ごとの垣根が低くなっていることを実感する。その意気を感じる参加者も、メモを片手に、食い入るように話に耳を傾けていた。

「カーアフターマーケットの活性化」を目指しセミナーを主催したアスナルの宮崎代表

では、どのようなセミナーが実際に行われたのか?その概要を簡単にではあるが紹介する。

◆セミナー1「人を“どんどん”採用できている中小企業がやっていること」

スリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎社長が登壇。離職率が高い飲食業界を例に、人材採用・育成に関わるセミナーを実施した。「indeed」を使用したローコスト採用法など、人材に関わる具体案をデータや実例を交えて詳細に説明。

スリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎代表は、人材採用・育成に関するセミナーに登壇

◆セミナー2「インテリアリペア『ダッシュボード・レザー・クロス』補修の実演」

エムズファクトリーの松尾浩司社長による実演セミナー。ビニールレザーの需要増大など、最近のトレンドを踏まえ、作業工程の説明が行われた。ルームクリーニングとリペアを組み合わせることで単価が上がるなど、ビジネスの秘訣(ひけつ)も語られた。

目の前で実演形式のセミナーも実施

◆セミナー3「ヴォクシー/ノアのドット対応フィルムの実演」

アネストの木村誠男氏によるドット対応フィルム施工の実演セミナー。「浮いてしまう」など、多くの施工店を苦しめるガラスのドット部分への施工方法を、下処理から実作業まで、丁寧にレクチャー。独自の方法がいくつも披露された。

最新の技術や知識が伝授される

◆セミナー4「透過率測定器のうそと本当・カーフィルム国家技能認定について」

日本自動車用フィルム施工協会の井上和也理事が登壇。2003年の改正道路運送車両法の施行以降に、透過率測定器の下振れ表示
により引き起こされる「PT―50問題」に切り込みながら、今後のウインドウフィルム施工の厳格化などが訴えられた。

カーフィルムに関する“鋭い見解”も

◆セミナー5「クルマで障がい者の自立した移動手段を!『ハンドコントロール』について」

ニコドライブの神村浩平社長が、取り外し自由な手動式アクセルブレーキ「ハンドコントロール」を紹介。障がい者がクルマに乗るための障壁などの説明とともに、自由にクルマを運転できるツールの有効性が話された。実車に装着し、運転する様子も披露された。

「世界中の人が自由に移動できる社会」を目指すニコドライブの神村浩平代表

◆最先端の情報が満載

セミナーの題材として取り上げられるということは、裏を返すと現在のトレンドや、問題点、あるいは今後重要となってくる事が反映された話題とも言える。

今回のセミナーを聞いて宮崎社長の「アフターマーケット全体を意識した」という意味も理解できた。業種を問わず講師として招き、クルマに関わるものはもちろん、畑違いの分野からも知識を得て欲しいという意図が織り込まれている。

『ヒントはどこに転がっているか分からない』

そんな格言めいた言葉は、クルマでビジネスをする人にとっても同じ。この話を会社や自分の店に持ち帰り、明日からの糧にするのだ。

◆ディテイリングの求道者達に今後も注目

新たな資材などの情報を求める参加者が集まったガレージセールも大盛況。セミナーの最後に行われた、商材を争奪するじゃんけん大会では、皆童心に戻ったような顔で参加しているのが印象的だった。

商品説明も丁寧に行われる

ガレージセールには各社自慢の商品が並ぶ

恒例のじゃんけん大会も大盛り上がり

アスナル開催のセミナーは、業界の恒例行事の一つとなっている。これからも工夫を凝らした内容で、業界を盛り上げるための一翼を担うことは間違いないだろう。
そして、全国でクルマに関わるセミナーや勉強会なども多数行われている。そこに参加する人々は、いわば求道者。飽くなき探究心で己の道を極めようとする人々を、カーケアプラスではこれからも追い続ける。

《間宮輝憲》

この記事の写真

/

特集