【カーオーディオ・マニア】伝統ある国産ブランド「ダイヤトーン」の歴史を紐解く…スピーカー交換のススメ! | CAR CARE PLUS

【カーオーディオ・マニア】伝統ある国産ブランド「ダイヤトーン」の歴史を紐解く…スピーカー交換のススメ!

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ダイヤトーン・DS-SA1000
ダイヤトーン・DS-SA1000 全 3 枚 拡大写真
「スピーカー交換」を強力におすすめする短期集中連載をお贈りしてきたが、今回がいよいよ最終回だ。前回に引き続き、国産メーカーのラインナップを具体的に見ながら、市販スピーカーの現状解説を行っていく。

取り上げるブランドは「ダイヤトーン」。同ブランドからリリースされている製品は、どのような特長を持っているのだろうか…。


■かつては“放送局用モニタースピーカー”で名機を多々輩出。その後は民生用製品でもヒットを飛ばす。

「ダイヤトーン」は、伝統ある国産有名オーディオブランドのうちの1つだ。この機会にまずは、その歴史を紐解いてみよう。三菱電機が「ダイヤトーン」を商標登録したのは1946年。そこから同ブランドは主に、スピーカー開発で強みを発揮してきた。歴史の初期では、放送局用の“モニタースピーカー”で傑作を多々輩出。1958年には放送局モニター『2S-305形』をデビューさせ、1961年には同じく放送用モニタースピーカー『2S-208』を完成させている。

その後は民生用スピーカーでも実力を示すようにもなり、1970年には、初のベストセラー機となる『DS-251』が誕生。それに続いて1973年にはその改良形となる『DS-251MKll』が完成し、『DS-251』形の累計生産台数が20万台を突破。その後は、1980年に『DS-505』を、1985年に『DS-1000』を、そして1992年には『DS-20000』といった名機を次々とリリースしてきた。

だが…。1990年代終盤から『ダイヤトーン』の名前は、一旦市場から消えてしまう…。

しかしながら、2005年に大型3ウェイスピーカー『DS-MA1』を発表し、華麗なる復活を果たす。そして2006年には車載用ダイヤトーンスピーカー『DA-SA3』を、2007年には車載用スピーカーのフラッグシップモデル『DA-SA1』を登場させ、カーオーディオの世界に「ダイヤトーン」ありを鮮烈に印象づけた。

そして2011年には、独自開発した振動板の新素材“NCV振動板”を初採用した、新型車載用スピーカー『DS-G50』を発表する。同素材の誕生で、ツィーターとミッドウーファーの振動板に同一素材を使えることとなり、車載用「ダイヤトーン」スピーカーは、新たな一歩を踏み出した。


■最新モデルはエントリーモデルである『DS-G300』。

さて、このように現在は、車載用スピーカーの実力ブランドとしての活躍が華々しい「ダイヤトーン」。その最新のラインナップを紹介していこう。まずフラッグシップ機、『DS-SA1000』(税抜価格:67万円)があり、それに続いて『DS-G500』(税抜価格:16万円)、エントリーグレードとして『DS-G300』(税抜価格:8万円)、以上の3機種を擁している。なお、これらとのマッチングの良いサブウーファー『SW-G50』(税抜価格:8万円)も用意している。

それぞれについて、特長を解説していこう。まずはエントリーモデルである『DS-G300』から。当機は車載用「ダイヤトーン」スピーカーの中で、もっとも新しいモデルである(2017年秋に発売開始)。

エントリーグレードとは言いつつも、税抜価格は高めの設定だ。しかしながら、これよりも低価格なエントリーグレードスピーカーと比べて高性能であることは事実だ。解像度、情報量といったスピーカーに求められる基本性能が優秀で、低音のキレ味もよく、かつエネルギー感も十二分。クラシックからロックまで、音楽のジャンルを選ばず、それぞれ繊細に、重厚に、ノリ良く楽しむことができる。

その上で、「エントリーグレード」というに相応しく、高い取り付け性能も有している。例えばミッドウーファーは、取り付け奥行寸法が60mm。70mmを切ってくると取り付け可能な車種が増えてくるのだが、そこからさらに10mm短いわけなので、ドアの内張りパネルを加工せずして装着できる車種は、相応に多くなっている。

そして、ツィーターにおいては、スタンドが付属されているので、ダッシュボード上にポンと置くような、イージーインストレーションも可能だ。しかも、首振り機構も備えているので、取り付けた後からの角度調整もやりやすい。使い勝手的には、十分にエントリーグレードに収まっている。


■さらにグレードが上がっていくごとに、サウンドクオリティは別次元へ…。

続いては、ミドルグレードスピーカーである『DA-G500』についてみていこう。実は当機も、ミッドウーファーについては取り付け性がなかなかに高い。こちらも取り付け奥行き寸法は60mm。内張りパネルを加工せずに取り付けられる車種がなかなかに多くなっている。ただし、ツィーターについてはある程度の大きさがあり、しかもスタンドを付属していないので、埋め込み加工が前提となる。

とは言ってもこのクラスのスピーカーともなると、ユニットの性能をフルに引き出すためには、それ相応に手をかけた取り付け方をしたいところだ。その観点でいうと、ツィーターは埋め込み加工をしたほうが、より性能を発揮しやすくなる。このレベルのスピーカーを使う場合には、その点は割り切るべきであろう。

そうして導き出されるサウンドは、エントリーグレードのスピーカーとはひと味もふた味も違ってくる。より音楽の世界に引き込む力が強くなり、心地良さのレベルも高まる。

そして、フラッグシップスピーカーである『DA-SA1000』ともなると…。当機は、押しも押されもしない“ハイエンド”モデル。聴こえてくる音の密度、きめ細やかさ、そしてエネルギー感、こういった基本性能が通常のスピーカーとは別次元にあり、その上でサウンドに芸術性が加わってくる。なんとも豪華な音世界を堪能できる。

このような音質性能を実現できているキモはいくつかあるのだが、まず挙げるべきは、ツィーターの振動板素材。これに、振動板としてもっとも理想的な素材とされているうちの1つ、“B4Cプレミアムボロン”が使われているのだ。ちなみにこれを成形するには相当な技術力が必要で、「ダイヤトーン」は独自のノウハウを駆使してそれに成功している。

ミッドウーファーにおいては、「ダイヤトーン」ならではの素材である“NCV”の進化形である“NCV-R”を使い、そして最適化された“ソリッドライン構造”を採用することで、“フルピストンモーション駆動”を実現した。要は、通常のミッドウーファーでは、高域側の再生をする際に、振動板が波打つような動き(分割共振)をしてしまうのだが、当機ではそれが起こらない。これまでの2ウェイスピーカーのミッドウーファーでは、ある程度の分割共振はやむを得ずとされていたのだが、当機はその常識を破ってみせたのだ。

おいそれと手を出し難い価格の製品であることは確かだが、このサウンドは聴いてみるだけでも価値がある。ご興味があれば、取り扱いショップに問い合わせてみよう。

「ダイヤトーン」スピーカーについての解説は以上だ。製品構成はシンプルであるが、幅広い層に親しまれている「ダイヤトーン」スピーカー。安心感の高いモデルをご所望ならば、「ダイヤトーン」スピーカーを選んで後悔することはないはずだ。


スピーカーを換えれば、確実に今より音が良くなる。ご興味があれば、カーオーディオプロショップの門を叩き、ぜひともこれに挑戦していただきたい。新しい世界が開けることは、間違いない。

“音が良い”って素晴らしい!『スピーカー交換」のススメ! 第9回「具体的製品解説 ダイヤトーン編」

《太田祥三》

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