【カーオーディオ・マニア】フロントスピーカーをどう鳴らす?… 第3回 “インナー”か“アウター”か | CAR CARE PLUS

【カーオーディオ・マニア】フロントスピーカーをどう鳴らす?… 第3回 “インナー”か“アウター”か

特集記事 コラム
“アウター”で取り付けられたドアスピーカーの一例(製作ショップ:ワープス)。
“アウター”で取り付けられたドアスピーカーの一例(製作ショップ:ワープス)。 全 1 枚 拡大写真
フロントスピーカーに何を選び、それをどう鳴らすのかを考えることは、カーオーディオを趣味とするときのもっとも楽しむべきポイントの1つとなる。その楽しみ方について多角的に掘り下げる短期集中連載をお届けしている。

今回は第3回目として、「“インナー”か“アウター”か」をテーマにお贈りしていく。


■スピーカーを内張りパネル内に収めるか、出すか…。

最初に、“インナー”と“アウター”という言葉がそれぞれ何を意味しているのかを解説していこう。ここでいう“インナー”と“アウター”とは、ドアスピーカーの取り付け方に関しての言葉だ。“インナー”とは、ドアスピーカーをドアの内張りパネル内に収めるインストールスタイルのことを指し、対して“アウター”とは、スピーカーの取り付け面を内張りパネル面まで立ち上げる取り付けスタイルのことを指している。

では、それぞれのメリットとデメリットについて解説していこう。まずは“インナー”から。

とその前に、これが行える条件について触れておきたい。“インナー”というスタイルを実践できる条件とは、言うまでもなく「スピーカーが内張りパネル内に収まる大きさであること」である。なお、ここで問題となる“大きさ”とは、“厚み”だ。窓ガラスを降ろしたときのガラスから内張りパネルまでのクリアランスの中に収まる“厚み”でないと、“インナー”で取り付けることは不可能だ。高級スピーカーになるほど“厚み”が増す傾向があるが、使いたいスピーカーが愛車のドアパネル内に収まらないほど“厚い”場合には、選択肢は“アウター”しかなくなるというわけだ。

さて、“インナー”というスタイルで取り付ける場合のメリットについて考えていこう。メリットは主に2点ある。1つは「取り付け費用を抑えられること」。内張りパネルを改造しないのでその分のコストがかからない。そして2つ目のメリットは「インテリアの見た目を変えないですむこと」である。純正のままのルックスをキープしたいと考えるときには、選択肢はおのずと“インナー”でキマリ、となるわけだ。


■音的に有利なのはズバリ、“アウター”。しかし難易度は高い…。

ただ、“インナー”には“アウター”で取り付けるときと比べての不利点もある。それは1点に集約される。「スピーカーから発せられる音が、多少なりとも内張りパネル内に回り込んでしまうこと」である。“インナー”でスピーカーを取り付ける場合、スピーカーの取り付け面と内張りパネルとの間に少なからずすき間ができる。結果、そのすき間から音エネルギーが内張りパネル内に回り込むこととなり、多かれ少なかれエネルギーロスが起こってしまう。また、内張りパネル内に回り込んだ音エネルギーがパネルを共振させるといった弊害がもたらされる可能性も浮上する。

当然ながらそれらについての対処法も存在しているので、プロショップが“インナー”でスピーカーを取り付ける場合、弊害が音に表れることはほぼないと思って大丈夫だ。しかし、対策をしないですむのならそれに越したことがないのも事実だ。なので、音に有利なのはどちらなのかと問われれば、答えは“アウター”、なのである。

とはいえ、“アウター”にもデメリットがある。“インナー”でのメリットが、そのまま“アウター”のデメリットとなるのだ。つまり、「コストがかさむこと」、「インテリアの見た目が変わること」が“アウター”の不利点となるわけだ。

さらにいうと、加工の難易度も上がるので、ハンドメイドではなかなかキレイに“アウター”を仕上げるのは難しい。難しさのポイントは、「スピーカーを大胆に立ち上げる必要があること」と、「内張リパネルと美しく一体化させること」この2点だ。


■“アウター”では、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーのヌケが悪くなる…。

その2点について詳細に解説していこう。まず、「スピーカーを大胆に立ち上げる必要が出る」ことでどう難しくなるのかと言うと…。

スピーカーをドアに取り付けるときに、“インナーバッフル”という取り付けスペーサー兼音響パーツが必要だということを前回説明した。“アウター”化する際には、この“インナーバッフル”を厚く作る必要がある。そうすることでスピーカーを内張りパネル面まで立ち上げるのだ。しかし“インナーバッフル”が厚くなると筒のような形状となるので、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーのヌケが悪くなる。“アウター”は本来、音的には利点が大きいのだけれど、処理を誤ると違った弊害が発生する可能性があるのだ。要は、製作するのにコツが必要となる、というわけだ。

「内張りパネルと美しく一体化させること」については、パネル面と高さをジャストに合わせることや、正確に内張りパネルをくり抜かなければならないこと、そして仕上げに技術が必要となること(生地貼りやペイント等の技術)等々が難しさのポイントとなってくる。

ただ、このことは逆にメリットともなり得る。美しいデザインで仕上げることができれば、純正の見た目よりカッコ良くフィニッシュさせることも可能だからだ。LEDを使って光らせたり、色味を加えてよりカラフルに完成させることもできる。なによりオリジナルのデザインとすることで、個性を演出することも可能となる。

さて、ドアスピーカーの取り付け方には、“インナー”と“アウター”とがあること、そしてそれぞれのメリット、デメリットをご理解いただけただろうか。コスト、効果、見た目等々を総合して、自分にとってはどちらがベストなのか、楽しみながらじっくりと検討しよう。もちろん、最初は“インナー”で鳴らし、後々のステップアップとして“アウター”化させるのもアリだ。

今回はここまでとさせていただく。次回は、ツィーターの鳴らし方について考察する。お楽しみに。

フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第3回「“インナー”か“アウター”か」

《太田祥三》

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