クルマの美しさは細部に左右されることも多い。例えばヘッドライトが黄ばんでいるとクルマ全体がくすんで見える場合もある。そこで愛車を蘇らせるヘッドライトのリペア作業を実践してみよう。
◆洗車しているのにクルマがくすんで見える
定期的に愛車を洗車しているのになんだかクルマがくすんで見える、そんな経験したことある読者も多いのではないだろうか。その原因としてボディは美しくても細部が汚れていたり色落ちしているケースがある。
その代表的なものがヘッドライトのくもり・濁りだ。近年のクルマには樹脂製のヘッドライトが使われているので、経年劣化で樹脂表面のコーティングが落ちたりひび割れを起こして、白く濁ったり黄ばんでくるのが原因。こうなってしまうといくらボディが美しくても、どこかみすぼらしい雰囲気がぬぐえなくなってしまうもの。しかもヘッドライトのレンズ面が曇ってしまうので、照射する光の光量にも影響を与える。安全性も左右しかねないので早期にメンテナンスしておきたい。
◆樹脂やコーティングが劣化する
そもそも、ヘッドライトが白く濁ったり黄ばんでしまう原因はヘッドライトに樹脂(ポリカーボネート)を用いているから(古いクルマはガラスのレンズを用いていたので劣化が起きにくかった)。紫外線を受けて徐々に樹脂がダメージを受けて濁りや黄ばみを発生させてしまうのだ。新車の時は透き通ったクリアさを持っていたヘッドライトがガサガサの状態になってしまうのはそのためだ。しかし、樹脂パーツを使っている以上この劣化は避けられない。ならば、定期的にリフレッシュを施してクリアな状態をキープしておこう。
そもそもヘッドライトが白く濁ってしまう原因は日光に含まれる紫外線に晒されたり、ヘッドライトの熱を受けることで樹脂が劣化するため。劣化を食い止めるためにヘッドライトの表面にはコーティングが施されているが、これも時間とともに劣化してひび割れを起こしたりはがれてしまうのだ。これらの樹脂パーツ表面の劣化がヘッドライトを濁らせている主な原因なのだ。
◆リペアDIYキットを使ってみる
白く濁ったり黄ばんでしまったヘッドライトをリフレッシュするには劣化した樹脂表面(コーティングを含む)を除去することになる。研磨剤やサンドペーパーなどを自ら用意して表面の傷みを削り落とす方法もあるが、研磨したままだとすぐにまた劣化が始まるので、クリアペイントなどを施す必要がある。これらの作業はそこそこの上級ワザなので、この手の作業が初めてのDIYユーザーにはハードルが高いだろう。
そこで用意したいのがヘッドライトのリペア専用に用意されているアイテムだ。誰もが手軽にヘッドライトの劣化をリペアできるDIYキットが数多く用意されているので一度試してみると良いだろう。
1液性や下地+コーティング剤に分かれたアイテムなど、さまざまなタイプのヘッドライトリペアキットが用意されているが、基本的な仕組みとしてはほとんどの場合が同じ。まずは傷んだヘッドライト表面を削り取ってクリアにし、再度劣化が進みにくいようにコーティングを施すというもの。しかし劣化したヘッドライト表面を削り落とす研磨剤にもさまざまなスタイルがある。いわゆるコンパウンドや研磨剤入りのスポンジなどを使って磨きを施す場合と、コーティング剤を含んだ1液で磨きとコーティングを同時にこなすタイプなど、種類や施工方法もメーカーやアイテムごとにさまざま。
◆美しさと耐久性か、簡単な作業か
そんなリペアキット選びには大きく分けて2つの方向性がある。ひとつは手間を掛けて仕上がりの美しさと耐久性を求めるもの、一方は簡単作業の手軽さを重視したキットだ。これはユーザーの好みで選べば良いだろう。
ただし、筆者が過去実際に作業した経験から、リペアキット使って一時はクリアなヘッドライトが蘇っても、時間の経過とともに再び黄ばみや白く濁ってしまうのは避けようが無い。そのため一定期間の後、再度リペアの作業が必要になることを憶えておこう。
いずれにしてもヘッドライトリペア専用のアイテムを選んでおけば、研磨しすぎてヘッドライト表面をキズつけてしまうこともなく、コーティング剤もヘッドライトに最適なものがキット化されているので、取り扱い説明書の通りに作業を進めればリフレッシュ作業が完了するので安心だ。作業もそれほど難しくはないので、週末クルマを洗車するついでに実施してみても良いだろう。
ヘッドライトリペアは需要も高いため、各メーカーのリペアアイテムも日進月歩で進化している。いずれのアイテムもヘッドライトをクリアにする能力はしっかり確保している。あとは耐久性と作業性の違いになる。これは使って見ないとわからない部分も多いので、お気に入りのアイテムを見つけるべく試してみると良いだろう。
比較的手軽なDIY作業でヘッドライトをリフレッシュできるリペアキット。見た目にも美しくヘッドライトの照度も蘇らせるリペアなので要注目だ。濁りが気になったら定期的な処理を心がければいつもクリアで美しいヘッドライトがキープできる。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。