【編集部員が行く!突撃ショップレポート】プロのお仕事お見せします!!…カーラッピング体験編 最終回
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その後も“無限シワクチャ地獄”に陥るものの、フィルムの収縮性を利用して、何とか切り抜けていく。新谷さんと二人三脚のラッピング施工の行末は? これを読むとカーラッピングの面白さが分かっていただけるはず!
それでは、カーラッピング編・最終回をご覧ください。
◆フィルムの「持ち方」、「力加減」に苦戦…
台紙から剥がされ、ボンネットの上に置かれているフィルム。ちゃんと著者が持った方だけがクシャクシャになり、何がなんやら分からない状態になっている。
無理やり元に戻そうとするが、そのせいで無傷だった他の部分にもシワが生じていく。台紙を剥がす前は小学生の肌くらいツルツルしていたフィルム表面が、ものの数秒のうちに貫禄あるシワ顔に。玉手箱もびっくりの速さで、一気に“老け込んで”しまったのだった。
新「やっちゃいましたねー!」
ま「やっちゃいました…」
そんなやり取りの後、新谷さんはヒートガンを手に持ち、シワの部分に熱風を当て始める。すると、さっきまでシワシワだったフィルムが、一瞬でもとのツルツル状態に戻っていった。この光景はいつ見ても不思議だなと思うのと同時に、「これを美容に応用できたら、ノーベル賞もんなんだろうな…」という何も生み出さない考えが頭に浮かんだのだが、すぐにリセットし作業に意識を戻す。
シワを伸ばした所で「リベンジ」とばかりに、もう1度フィルムをボンネットに置き直してみたのだが、結果は変わらず…。その姿を見た新谷さんから、こんなアドバイスがおくられる。
「問題は『持ち方』と、『力のかけ方』です。今、指でつまむように“点”で持っているのですが、それをもっと手の平全体を使って、“面”で持つようイメージしてください。そのうえで、端をピンと伸ばし、そのまま置いてみましょう」
このアドバイスの即効性はバツグンで、指導を受けた後は一発で最初の難関をクリア。ようやく、本格的な貼り作業に移ることができた。
◆仕上がりをイメージして貼りの作業を行う
この後は、現在覆いかぶさっているだけのフィルムの端を、しっかりとボンネットのフチに貼っていくのだが、ここで意識していることを新谷さんが教えてくれた。それが「後処理のことを考えて、貼っていく」という点だ。
それはどういうことかと聞くと、こんな答えが返ってきた。
「工程を説明した時、最後に『後処理』を行うと言いましたが、カーラッピングの完成度はここで決まるんです。“面”の部分は、誰でも貼ることができます。難しいのは“角”の処理。『いかに角が処理しやすいように貼っていくか』ということを考えながら、作業を行っていきます」
つまり、プロは仕上がりから逆算して、この貼りの作業を行っていくのだ。1秒先の作業もまともにできない著者にとっては、はるか彼方に感じる完成イメージを新谷さんは常に頭に描き、作業を進めているということだ。
そして、具体例を一つ教えてくれた。
「貼りの段階でボンネットの角に、深くフィルムをかけるか、浅くフィルムをかけるかによっても、仕上がりが変わってくるんですよね」
下記の2つの写真をご覧いただきたい。上の写真は、深くフィルムをかけたもの。下は、浅めのものだ。これが後ほどの作業に影響してくるのは、その際に改めて説明するが、この段階から計算された施工が進められる。
◆不器用ですから…
一方、目先の作業に必死なシロウトは、どんな動きをしていたかというと…。
触れる場所、触れる場所、すべてのフィルムをシワシワの状態にするモンスターと化していた。その原因は明らかだ。
「伸ばそうとして、力が入りすぎです。広い面を一気に貼ろうとしすぎているので、ちょっとずつ貼っていきましょう!」
改めて自分と新谷さんの写真を見ると、その差は歴然だ。写真を見ても、ポンコツの手にはムダな力が入っているのが分かる。もちろん、フィルムをひきちぎろうとしているわけではない。これほど力んでいる状態で、好結果を出している人間を、今まで一人も見たことがない。
結論から言います。この作業に関しては、ほとんど新谷さんにやってもらいました! 貼る部分だけにシワが生じるならまだしも、著者がやると、せっかく貼った部分にもなぜかシワが出てくるのです。
そういえば、ずっと図画工作の類が苦手だった著者。先日、久しぶりに見た小学校時代の通知表には1学期「1」、2学期「2」、3学期「2」って書いてあったな。やはり人間の本質は変わらないのかもしれない。
◆面の処理でも力が入りすぎ
さあ、どうですか? 徐々に仕上がってまいりました(仕上げてもらいました)!
ここからは面の処理。ということで『カーラッピングに使用する道具紹介コーナー ~その2~』をお届けします。この時に活躍するのが、こちらの『スキージー』だ。用途に応じて、厚手のものから薄手のものまで数種類ある。これを口にくわえながら、フィルムを貼っていく光景は、カーラッピング現場の“あるある”という気がする。
まずは、手でプレス(凹凸)部分の形を作って、その後、スキージーで面の部分を圧着していく。この時、空気の抜け道を作りながら、しっかりと貼っていくのがコツだ。
ちなみに著者はこの作業でも、「力が入り過ぎですね」という注意点を指摘された。一体こいつの脳みそは、自分の手にどんな指令を送っているのだろうか? 「メノマエノ、クルマヲブッツブセ」という指示が出てるとしか思えないほどの力みっぷりだ。
◆カーラッピングの完成度を左右する後処理
さて、ここからは「カーラッピングの完成度」を決める、後処理に入っていく。余ったフィルム部分を、ボンネット内側に巻き込み、その処理が行われている。
ちなみに先ほど説明した、フィルムを角に“深く”かけるのか、それとも“浅く”かけるのかの違いだが…
深くかける→すでに最初から、フィルムが角を巻き込んでいる状態なので、ここで難しい後処理をする必要はない
浅くかける→まだフィルムが角を巻き込んでいないため、この段階でしっかりとした処理が必要になる
という違いがでてくる。つまり、最初の段階から“深く”かけておけば、ここの処理が楽になってくる。これが「貼る段階で後処理のことを考えておく」と言っていた真意なのだ。
ここまで来るとゴールは目前!
内側に巻き込んで…
巻き込んだ部分のフィルムに対して、一気に90度以上の熱をかけ、素材となる塩ビを固める作業「ポストヒーティング」を行い…
カッターで余計な部分を切り取って…
ガラスクリーナーで表面をキレイにすると…
ラッピングカーの完成でーす!!
はい、かっこいいです! やはりワンポイントでも、雰囲気がこれまでとは一変。もちろん、このフィルムを剥がしてまた新たなカラーを楽しむこともできる。カーラッピングの楽しさをしっかりと感じられる仕上がりとなった。
◆「100点」を目指して
なんとか完成を迎えた、母ちゃん号へのカスタム。著者の不器用っぷりを差し引いても、やはり難しい施工が行われていることを痛感した。さらに感じたのが、完成イメージを常に頭に置き、「よりかっこよく仕上げたい」というプロの想いだった。
「カーラッピングで100点を出すのはとても困難なこと。でも常に100点を出せるような作業を心がけています」
新谷さんのこんな言葉にも、その想いが溢れ出ている。そして、こんな未来をショップでは描いている。
「とても楽しいカスタムなので、より多くのユーザーに施工してもらって、カーラッピングがさらに定着してくれると嬉しいですね」
ちなみに著者の仕事っぷりを採点してもらったら「かなり甘めに見て65点!」だそう。「及第点か!?」と思いきや、「カーラッピングをやりたいと面接を受けにきたらどうします?」という質問には、すぐさま「書類(審査)で弾きます」という答えが返ってきました。著者の才能が発揮される施工は、何か無いものなのだろうか…。
今後も愛車を守る、彩る、そんな現場の内側を皆様に少しでも知ってもらえるよう、カーケアプラス編集部はバシバシとショップに潜入し、その様子をお伝えします。個人的には「すげー才能あるじゃん!」って言ってもらえる施工を見つけるのも目標です。 全国のプロショップのみなさ~ん! 「うちにおいでよ」っていう方がいれば、ドシドシ編集部まで連絡くださいね!
◆今回お邪魔した店舗◆
『アクティブガレージ』
カーラッピングのほか、ガラスコーティング、カーフィルム、プロテクションフィルム、電飾・パーツ・アクセサリーの装着など、愛車をトータルでコーディネートしてくれるカスタムショップ。技術力はもちろん相談力、提案力で“世界で一台の愛車”に仕上げてくれる実力ショップ。
〒133-0044 東京都江戸川区本一色3-42-8
TEL:03-5661-6477
ここからは、ほ~んの一部ではありますが、アクティブガレージさんでの施工集をご覧ください!
《まみー》
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