【カーオーディオ・マニア】フロントスピーカーをどう鳴らす? 第11回「カロッツェリア研究」
特集記事
コラム
というわけで、フロントスピーカーをどう選びどう取り付けるかについて、ここまでシリーズで計10回にわたって解説してきた。今回はその第11回目として、「カロッツェリア」スピーカーのラインナップを研究していく。
■長きにわたり日本のカーオーディオ文化をけん引してきた人気ブランド。
“カロッツェリア”は、長きにわたり日本のカーオーディオ文化をけん引してきたブランドの1つだ。スピーカーにおいてもエントリーグレードからトップエンドまで幅広くラインナップして、多くのファンを楽しませてきた。
早速、その中身を具体的に見ていこう。“カロッツェリア”のカー用スピーカーと言えばまず、トップエンドシリーズの『TS-1000RSシリーズ』が有名だ。
なお当シリーズが発売開始されたのは、2011年秋。以来約7年にわたり、多くのハイエンドカーオーディオ愛好家たちにチョイスされ続けてきた。
シリーズは3モデルで構成されている。1つが17cmセパレート2ウェイスピーカー『TS-Z1000RS』(税抜価格:28万円)、もう1つが6.6cmミッドレンジ『TS-S1000RS』(税抜価格:12万円、2個1組)、そしてもう1つが25cmサブウーファー『TS-W1000RS』(税抜価格:12万円、1個)である
設計コンセプトは明確だ、「音楽のすべてを空間に描写すること」。そしてそれを実現させるために、主に以下の3つのテーマが追求されている。「トランジェント(過渡特性)」、「ワイドレンジ(広帯域化)」、「不要共振・固有振動の排除」だ。
それぞれについてもう少し踏み込んで解説していこう。まず1つ目では、入力信号の変化に対して振動板が瞬時に反応し、追従し続けることが目指されている。2つ目では文字どおり、各ユニットに広帯域にわたって歪みの少ないフラットな再生能力を付加させようとしていて、そして3つ目では、振動系の各パーツが入力信号に対して忠実に反応するように、そしてそれ以外の共振や素材そのものが持つ固有の振動などの徹底的な排除が目指されている。
こうして『TS-1000RSシリーズ』は、“心を揺さぶる音”の再生が可能なハイグレードなスピーカーとして完成されている、というわけだ。
■トップエンド機とは別コンセプト、別アプローチで“一歩先の高音質”にトライ。
『TS-1000RSシリーズ』に続いてラインナップされているのが、ミドルグレードとなる『TS-PRSシリーズ』だ。こちらは4つのアイテムでシリーズが形作られている。1つが17cmセパレート2ウェイスピーカー『TS-Z172PRS』(税抜価格:8万円)、2つ目が13cmセパレート2ウェイスピーカー『TS-Z132PRS』(税抜価格:7万円)、3つ目が6.6cmミッドレンジ『TS-S062PRS』(税抜価格:4万5000円、2個1組)、そしてもう1つが25cmサブウーファー『TS-W252PRS』(税抜価格:5万5000円、1個)、という顔ぶれとなっている。すべて、2010年の夏に発売開始されている。
なお当シリーズは、トップエンド『TS-1000RSシリーズ』とは異なるコンセプトで設計されている。こちら『TS-PRSシリーズ』では、「一歩先の高音質」を実現させるためのアプローチとして「オープン&スムース」という考え方が掲げられ、それに基づいて各部が設計されているのだ。
当コンセプトにおいて最重要視されているのは、“中音域”。“中音域”がしっかりと耳元まで届くようにして(低い位置に溜まってしまわないようにして)、クリアな中音域再生とシャープな定位感が実現されている。
これを実践する上でのキーポイントは、“2.8cmソフトドームツィーター”にある。このツィーターに比較的に広範囲を受け持たせて、つまり中音領域までを再生させて、こうすることで中音域を耳元まで届かせようとしているというわけなのだ。
ちなみに、『TS-1000RSシリーズ』のツィーターの振動板は、“3.0cmデュアルアークリングダイヤフラム”。『TS-PRSシリーズ』のツィーターはそれとはまったくの別タイプ。異なっているのはコンセプトにとどまらず、各所の設計アプローチにも及んでいる。つまりこの2つのシリーズは、それぞれが独立した存在、と捉えることができる。完全なる別ライン、というわけだ。
■エントリーグレードの充実も、“カロッツェリア”ならではの特長。
そして“カロッツェリア”はさらに、エントリースピーカーも充実させている。『Vシリーズ』、『Cシリーズ』、『Fシリーズ』と3ラインを擁して、初級ユーザーのニーズにきめ細かく対応している。
ちなみに、“カロッツェリア”のエントリースピーカーはすべて、“カスタムフィットスピーカー”とも命名されている。つまり、「“簡単取り付け”がうたわれたスピーカー」というわけだ。幅広い車種に取り付けられるようにミッドウーファーの奥行き寸法が適正サイズに収められていたり、ツィーターのマウントが付属されていたり等々、インストール性を高めるためのさまざまな工夫が施されている。
ところで、トップエンドの『TS-1000RSシリーズ』とセカンドラインである『TS-PRSシリーズ』とが完全なる別ラインスピーカーであると述べたが、“カスタムフィットスピーカー”の各シリーズは、そのいずれかの流れが汲まれて設計されている。最上位モデルの『Vシリーズ』は『TS-1000RSシリーズ』に用いられた技術が多々注入されていて、『Cシリーズ』と『Fシリーズ』では、「オープン&スムース」コンセプトが継承されて各部が仕上げられている。
なお『Cシリーズ』と『Fシリーズ』にはそれぞれ、“コアキシャルタイプ”(ミッドウーファーの同軸上にツィーターが取り付けられたタイプ)も用意されている。こちらを選択すると取り付けをさらに簡略化できるので、手軽さが一層アップする。
また『Cシリーズ』には17cmタイプと16cmタイプとが、『Fシリーズ』では17cmタイプ、16cmタイプ、さらには10cmタイプとが用意され、また『Cシリーズ』の17cmセパレート2ウェイスピーカーでは、ツィーターのタイプ違いもラインナップされている。バリエーション面でもニーズへの細やかな対応が図られている、というわけだ。
これからカーオーディオを始めようと思っている方、そして今付けているスピーカーをグレードアップさせたいと思っている方は、“カロッツェリア”スピーカーを要チェック。
フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第11回「カロッツェリア研究」
《太田祥三》
この記事の写真
/