日産 スカイラインGT-R BNR32 丸目2灯に憧れたあの頃の走りよ甦れ… NISMO ヘリテージパーツ  | CAR CARE PLUS

日産 スカイラインGT-R BNR32 丸目2灯に憧れたあの頃の走りよ甦れ… NISMO ヘリテージパーツ 

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日産 スカイラインGT-R BNR32 丸目2灯に憧れたあの頃の走りよ甦れ…  NISMO ヘリテージパーツ 
日産 スカイラインGT-R BNR32 丸目2灯に憧れたあの頃の走りよ甦れ… NISMO ヘリテージパーツ  全 26 枚 拡大写真
夜道で光る、丸目2灯のテールランプ。スカイラインGT-R(BNR32)に魅了され、熱狂的な憧れを抱いた人たちは数しれない。その存在感は、2020年を迎えた今日でも、特別で最強な唯一無二の名車として愛されている。





だがしかし、R32が登場したのは、31年前の1989年。R33は1993年で、R34は1998年だ。何を言いたいかというと、スカイラインGT-R第二世代(BNR32型・BCNR33型・BNR34型)は、特別で最強でありながらも「旧い車」と言わざるを得ない領域に到達していることを、認めなければならないのだ。

◆R32 GT-Rに、乗り続けるには…


R32をはじめとするスカイラインGT-R第二世代に惚れこみ、これからもより永く、大切な愛車として乗り続けたいオーナーはどれくらいいるだろうか。この名車を愛車として維持し続けるには、車体の状況を定期的にしっかり把握し、補修部品を手に入れて各所のパーツ交換を行うなど、本格的なメンテナンスが必要不可欠となる。

そして、13年以上経過したクルマに乗るオーナーの義務として、割高な自動車税、重量税を支払わなければならない…。R32のような名車でさえも、部品不足や維持費などが原因で、手放すオーナーが増えれば静かに消えていくほかない。より永く大切な愛車に乗り続けたいと願うカーオーナーたちは、この現実を受け入れるしかないのだろうか…。



◆BNR32 GT-Rオーナーに、一筋の光!?


2017年11月24日。R32オーナーにとって喜ばしい知らせが届く。なんと、R32用の復刻パーツを提供する『NISMO ヘリテージパーツ』事業が始動。R32の専用部品で、既に製造廃止となっている日産純正部品のうち、走行や車検に必要不可欠な重要部品を中心に、ハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品などの出荷が2017年12月1日から開始されるという。そして、この情報が記されたプレスリリースには、こんな言葉があった。


『「NISMO ヘリテージ」は、日産自動車、ニスモ、オーテック(ニスモ・カーズ事業部)の3者とサプライヤーとがタッグを組み、製造廃止になった部品の再供給を検討し、お客様が日産のパフォーマンスカーを少しでも長く乗り続けられるよう、可能な範囲でサポートする活動です。長年スカイラインGT-Rのお客様と接してきたニスモから発売します。今後も、R32型のアイテム追加及びR33、R34型への拡大を検討していきます』と。




その後、2018年2月28日に、ケーブルバッテリー、ドアハーネスなどの追加が発表され、2018年11月29日には、R32用だけでなく、R33とR34用への拡大を発表。本年3月25日にはシリンダーブロックなどの出荷を4月1日から開始することが公表された。これにより、本年11月25日現在で、194の部品が「NISMO ヘリテージパーツ」として、NISMOのWebサイト内で検索でき、全国の日産販売会社・部品販売会社、NISMO パフォーマンスセンター(NPC)、NISMO 大森ファクトリー及びNISMO 取扱店で購入できる。





◆横浜市鶴見区大黒町「NISMO 大森ファクトリー」へ


愛車を大切にするカーオーナーに向けて情報を届ける当編集部として、見逃すことはできない「NISMO ヘリテージパーツ」の全貌を、ぜひ読者にお届けしたい思いから、日産自動車広報部へ取材打診したところ、快く受け入れて頂けた。

取材場所となったのは、横浜市鶴見区大黒町にある「NISMO 大森ファクトリー」内の会議室。取材に協力頂けたのは、碓氷公樹氏(NISMO セールス&マーケティング部 営業グループ 課長)と、小倉康弘氏(日産自動車株式会社 グローバルアフターセールス事業本部 戦略企画部 主担)のお二人だった。


左:NISMO 碓氷公樹氏(セールス&マーケティング部 営業グループ 課長)右:日産自動車株式会社 小倉康弘氏(グローバルアフターセールス事業本部 戦略企画部 主担 )
―― 編集部   
NISMO ヘリテージパーツ事業が立ち上がったキッカケを教えてください。


―― NISMO 碓氷氏
いまから3年前(2016年)、NISMO 直営のPRO SHOP「大森ファクトリー」をご利用頂いているR32オーナー様の車両整備に必要な “ 1つの補修部品 ” が廃盤で手に入りませんでした。そこで、純正パーツを制作するしかないと考え、日産のアフターセールス部門に相談したのです。すると責任者から、1つではなく、より多くの廃盤部品を日産、NISMOとして復刻しませんか? と提案されたのがそもそもの始まりです。その後、弊社社長の片桐から「いい活動だから是非やろう」とGOサインが出て、正式に社内でキックオフがされました。


―― 日産 小倉氏
自動車メーカーとして、日産がかつて製造し、いまでも多くの方に愛されている車を『絶やしてはいけない』という、強い使命感が私たちにはあります。当社専務執行役員のKent O'Hara(ケント オハラ)は、NISMO ヘリテージパーツ事業を日産の “ 社会的使命 ” と考えており、オハラ専務とNISMO・オーテックジャパンの片桐社長の強い後押しのもと、日産とNISMO、オーテックの3者協同事業として「NISMO ヘリテージパーツ」事業が動き始めました。

◆NISMO ヘリテージパーツのラインナップ


ーー 編集部
第1弾として発売されたNISMO ヘリテージパーツは、R32用のハーネスやエンブレムなどで、第2弾(2018年11月)、第3弾(2019年3月)も外装部品などを発売されていますが、なぜ、そのようなラインナップになったのでしょうか?





ーー NISMO 碓氷氏
R32用の製造廃止パーツをすべて復刻し、新車としてイチからR32を組み上げることができれば最高なのですが…。R32が発売された1989年当時から30年の時が経ち、需要のない部品は金型、製造設備、製造ラインが残っていないことも多く、事業者によってはすでに撤退・廃業されたケースもあります。

またR32は1989年当時、最高のハイテク技術(電子部品)が詰め込まれていましたが、30年たったいま当時と現代の環境変化が大きく、電子部品の基準変更も行われているため、オリジナルの図面や金型、部品素材などの詳細情報が揃っていたとしても、完全な復刻は不可能なのです。そういった理由から、走行や車検に必要不可欠な重要部品を中心に、ハーネスやホース/チューブ、エンブレム、外装部品などから手を付け、現在は194部品を復刻販売しています。


ーー 日産 小倉氏
R32GT-Rに適用する部品の中で、すでに製造廃止済みとなっている部品をリストアップし、プライオリティをつけてサプライヤー様に相談。自社工場の生産設備、ジグ、金型の有無、金型の状態、1点1点をすべて確認して頂き、部品の再生産が可能かどうか調査頂いた上で、比較的早くリリースできるものから着手しはじめました。サプライヤー様のご協力がなければ、1点も復刻することはできないのです。


ーー NISMO 碓氷氏
残念ながら世に出すことができない部品もあります。金型がないものは、型を作ればいいと思われるかもしれませんが、1から作ると数千万、場合によっては数億のコストがかかります。物理的には作れても、R32オーナー様が購入できない価格帯では意味がありませんからね。

ハードル回避として「NISMO ヘリテージパーツ」では対応出来ない部品を「修理」プログラムで対応しています。対象は、スカイラインR32用E-TS油圧ユニット(トルクスプリットアクチュエーターアッセンブリー/日産純正部品番号41610-05U00)です。部品の供給だけでなく、修理を請け負う、ということです。こういった部分もチャレンジしながら、お客様をしっかりサポートできるように事業を発展させていきたいです。


ーー NISMO 碓氷氏
現在、NISMO ヘリテージパーツの対象車両はR32、R33、R34のみです。日産が世に送り出した車は数多くありますが、その中でもスカイラインGT-R二世代は日産を象徴する車です。オーナー様の思いが見えやすく、日本仕様の車両のためパーツを復刻しやすい点もあります。

◆『純正復刻品』と『NISMOリプレイス品』の2つ存在


ーー 編集部
NISMO ヘリテージパーツは『純正復刻品』と『NISMO リプレイス品』の2つがあるようですが、詳しく教えていただけますか?


ーー NISMO 碓氷氏
『純正復刻品』は、1989年当時とまったく同じ方法で製作したものです。日産のサプライヤー様のご協力のもと、当時の部品を再生産していますので「品質」も純正部品と同じです。

『NISMO リプレイス品』は、日産から図面等の提供を受け、NISMOで開発したもので、素材が異なる場合もありますが、限りなくオリジナルに近い部品と思って頂ければよいかと。この30年の間に、素材や製造工程が改善されているため、NISMO リプレイス品は当時のものよりも、強度などが高くなっています。

NISMO ヘリテージパーツをご購入頂くと、部品の箱にNISMOのラベルが貼られた状態でご購入者様にお届けするのですが、過去に「これは、日産の部品番号ラベルを、NISMOのラベルに貼り替えただけなのでは?」と言われた方がいらっしゃいました。誤解されやすいのですが、そうではありません。

細かい話ですが、『純正復刻品』は純正部品の復刻再生産ですから、サプライヤー様にご依頼する場合、日産の純正番号でなければならない規定があるのです。それゆえに、完全なオリジナルの復刻パーツは、日産の純正部品番号で仕上がってきます。そのままですと、NISMO ヘリテージパーツかどうか、識別できなくなってしまうので、NISMOの品番に置き換えて販売しているのです。

ーー 編集部
なるほど…。そういった理由があるのですね。すこし話が戻りますが、金型がなく、製造できない部品も多いとおっしゃられていましたが、たとえば、樹脂部品などは製作できないものでしょうか? 


ーー NISMO 碓氷氏
フードトップモールやバンパーフィニッシャー、サイドスカート、リアスポイラーといった樹脂部品は、当時とは違う素材を使用し、リプレイス品として製作しています。特にスポイラーは当時ウレタンで製作しているのですが、現在国内でウレタンを入手できなくなってしまったので、製法を変えたリプレイス品として製作しています。


ーー 日産 小倉氏
今年10月2日に、日産自動車の技術広報リリースとして「対向式ダイレス成形」を発表しました。金型を用いることなくボディパネルを成形する、対向式ダイレス成形技術で、NISMO ヘリテージパーツの商品化ができるよう、現在テストを行っている最中です。



ーー 編集部
商品化されれば、NISMO ヘリテージパーツ事業にとって大きな躍進になりそうですね。期待しています。ちなみに、GT-Rオーナーから直接のオーダーメイドは受け付けられているのでしょうか。


ーー NISMO 碓氷氏
実際に、「大森ファクトリー」や「NISMOパフォーマンスセンター」に届くお客様のご要望も参考にして復刻部品を選定しております。ですが、NISMO ヘリテージパーツ事業として、お客様からのオーダーメイドは受け付けておりません。

横浜市鶴見区大黒町「NISMO 大森ファクトリー」
横浜市鶴見区大黒町「NISMO 大森ファクトリー」ショールーム内

◆旧車の「復刻パーツ」事業を行う他のメーカーとの関わり



ーー 編集部
他の自動車メーカーも、旧車の復刻パーツ事業を展開されていますが、メーカー間で情報交換などは行われているのでしょうか。


―― NISMO 碓氷氏
ヘリテージパーツ事業を立ち上げる前に、ホンダ社、マツダ社の担当者に、どのような展開を行っているのか尋ねました。両社と当社の違いとして見えたのは、NISMOに「大森ファクトリー」があることで、実際に車両を所有されているオーナー様の、プライベートな声が届きやすい環境があることに気づきました。それがNISMOヘリテージパーツ最大の強みだと感じています。


◆NISMOヘリテージパーツ事業が目指す「頂き」


ーー 編集部
NISMOヘリテージパーツ事業として、「ゴール」設定はあるのでしょうか?


ーー NISMO 碓氷氏
レースで培った技術をチューニングパーツのカタチでオーナー様にフィードバックすることが主目的だったNISMOにとって、「ヘリテージパーツ」はモータースポーツとは違う領域になります。しかし、大きな共通点がある。それは「日産ファン、NISMOファン」のための事業だということです。


ーー 日産 小倉氏
日産として、NISMOとして、第二世代GT-Rのオーナー様にこれからも永く乗り続けて頂くためのベース(部品環境)を作っていくという点において、お客様をどれだけサポートできたかが重要。そこを追い求め続けています。日産ファンに対するサポートが目的ですので、そういった意味でゴールはありません。


ーー 編集部
スカイラインGT-R第二世代(R32・R33・R34)の復刻パーツは、海外での需要もあると思うのですが、海外での発売は検討されているのでしょうか?


ーー 日産 小倉氏
海外ニーズはあると思いますが、NISMO ヘリテージパーツは国内のお客様向けに開発した商品ですので、海外での販売計画はありません。現状のNISMO ヘリテージ事業は、国内のスカイラインGT-R第二世代を愛するオーナー様の期待値に応えきれていませんので、まずは日本のR32、R33、R34を愛車としてお持ちのオーナー様に満足頂けることが最優先です。


ーー NISMO 碓氷氏
事業を開始して、復刻を断念している部品も多くあり、車の走行に大きく関わる部品で、復刻できていない部品もあります。オーナー様から求めらている部品は把握しているのですが、作れていないのです。たとえば、ガソリンタンクやボディなどは作れていません。当時の製法で復刻するだけでなく、新しい生産技法もチャレンジして、復刻できていないパーツ、断念してしまったパーツを作れるようにならないと、私たちが目指しているところにいけない。そう思っています。

ーー 編集部
NISMO ヘリテージパーツ事業の今後に注目しています。ありがとうございました。

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<NISMO ヘリテージパーツ Webサイト>
NISMOヘリテージパーツに関する情報のほか、車種名ごとの絞り込み検索が可能。
https://www.nismo.co.jp/heritage_parts/


<NISMO ヘリテージパーツ 取扱について>
全国の日産部品販売会社、NISMOパフォーマンスセンター、NISMO大森ファクトリー、NISMO代理店(NISMOパーツ取扱店/NISMO代理店((株)タカマコンペテイションプロダクト、(株)東名パワード〕による、選定14店舗で取扱中。

<NISMOイベント情報>
2019年12月8日(日)に、NISMO ファン感謝デー「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2019」が、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催される。詳細はNISMO公式ページにて。(https://www.nismo.co.jp/event/festa2019/)

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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