ディーラーから頼りにされる「フロントガラス修理・交換プロショップ」の存在…TUVガラスリペアショップ認証
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軽度のキズであれば修理(補修/リペア)可能な場合もあるが、あくまで一時しのぎ。何もせず放置するとキズは広がっていく。キズの場所が運転席側だったり、破損が大きければ、車検も通らない。フロントガラスにキズやヒビ割れを見つけたら、すぐに修理か交換を検討してほしい。
◆ フロントガラスの修理・交換を行なっているのは…
愛車に何らかのトラブルがあった場合、趣味性が高いクルマや旧車であれば、特定のプロショップに相談するカーオーナーもいると思うが、一般的にはクルマを購入したディーラーを頼る人が多いだろう。
クルマの販売、車検、整備、修理(鈑金塗装)、コーティング、フロントガラスの修理や交換、レッカー(ロードサービス)、自動車保険に至るまで、すべてを自社内で対応できるディーラーは確かにある。
だが、全国的に見てその数はあまり多くない。特に、フロントガラスの修理や交換は特殊でデリケートな作業のため、ディーラーまたは整備工場は、外部の協力店として、自動車ガラスの修理・交換・販売を専門とするプロショップに依頼している場合が多いのだ。協力店の多くは、ディーラーや整備工場などに出向いて出張施工を行なったり、積載車で自社に車両を運んで作業する場合もある。
◆ カメラ付きのフロントガラスは要注意!
自動ブレーキやふらつき警報といった、安全運転をサポートする高機能が搭載された最近のクルマを、先進安全自動車(ASV)と呼ぶ。軽自動車のASVも登場しており、全国各地でASVの普及が加速している。
ASVの特徴として重要なのは、高度な機能を正常に稼働させるために、フロントガラスに単眼カメラやステレオカメラなどが装着されている点だ。さらに、バンパーにはレーダーセンサー(コーナーセンサー)、エンブレムにはミリ波レーダーなども組み込まれている。
要するに、ASVのフロントガラス修理や交換、バンパーやエンブレム部分を取り外す(脱着)作業を行うことで、高度な安全運転支援機能に不具合が生じ、必要なときに正しく動作しない可能性が出てくるわけだ。このため、作業後にはカメラやレーダーセンサーを調整する「エーミング」作業が必要になる。この作業を行うには、専門知識のほか設備、環境など様々な条件を整えなければならず、万全な状態でエーミング作業を行える専門店はまだまだ少ない。
◆「特定整備」がスタート
2020年4月1日より、国土交通省は「自動車特定整備制度」を開始。これに伴い、カメラやレーダーセンサーなどが取り付けられた特定車種のフロントガラスやバンパー、エンブレムなどを専門事業者が脱着する際、国の許可(自動車特定整備事業の認証)のもと、脱着後にエーミングを行うことが義務付けられた。
特定整備認証は、専門事業者(自動車分解整備事業者、指定自動車整備事業者、自動車車体整備事業者・自動車電装品整備事業者、自動車ガラス修理事業者)ごとに様々な条件がある。「経過措置」期間である2024年までに、全国各地の専門事業者が認証取得に向けて動き出し、早くも取得したプロショップもある。特定整備制度の詳細は、国土交通省のWebサイト(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000016.html)でチェックできる。
◆ TUV「ガラスリペアショップ認証」取得店とは?
ディーラーに、フロントガラス修理・交換を依頼する人は多いと思うが、ディーラーの協力店として作業を行なっている専門店に直接問い合わせする方法もある。
「フロントガラス 修理 交換」などのキーワードでネット検索すれば、数多くの専門店がヒットするだろう。このとき、ショップ選びの選択肢のひとつとして、TUV「ガラスリペアショップ認証」取得店がある。
同認証は、公平かつ中立的な第三者検査機関として展開しているテュフ ラインランド ジャパン(TUV)が、フロントガラスの修理・交換サービスで年間50,000件以上の施工実績を持つダックス株式会社の知見や、日本の市場をふまえながら、修理・交換後のエーミング作業もしっかり行える「安心・安全な自動車ガラスリペアショップ」の要件を明確にして策定したもので、100以上の監査項目がある。
ダックスの直営5店舗(米子店本社・大田店東京本社・岡山西店・横浜北店・相模原店)が、国内で初めてTUV「ガラスリペアショップ認証」を取得したことをきっかけに、九州、中国、中部、東北エリアでも専門店の取得が続いた。
そしてこのたび、株式会社 光 くるまのガラス屋さん 仙台店(仙台市泉区・佐藤光男代表取締役社長)が、宮城県で初取得。ガラスリペアショップ認証店は、全国に12拠点となった。
同社は、創業から40年以上にわたり、地元ディーラーや整備工場の協力店として、自動車ガラス修理・交換と純正ガラスの指定販売はじめ、撥水コーティングやボディーコーティングの専門店として信頼と実績を積み重ねている老舗。エーミング作業は、2017年から行なっており、専門知識、設備、環境が整っている。
また、同社の佐藤社長は2020年7月上旬現在、JAGU(日本自動車ガラス販売施工事業協同組合)の理事長も務めている。その立場において、自動車ガラス業界における技術のレベルアップと地位の向上、業界の認知度を上げるための基準を模索していたところ、TUVのガラスリペアショップ認証を知り、取得に至ったという。なお、株式会社 光 くるまのガラス屋さん 仙台店は、2024年までに特定整備認証を取得する予定で、準備を進めている。
愛車のフロントガラス修理・交換が必要になったときは、まず近隣エリアにTUVガラスリペアショップ認証取得店がないか、探してみてほしい。ASVオーナーの場合は、依頼する専門店に「エーミングはできますか? 特定整備認証の取得は考えていますか?」と尋ねてみるのも手だろう。安心・安全で楽しいカーライフを過ごすためには、受け身ではなく、カーオーナー自らが知識を持ってプロショップを選ぶことも大切だ。
《カーケアプラス編集部@金武あずみ》
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