実用的でもあり同時にドレスアップの効果もあるヘッドライトバルブの交換。今回はナイトドライブを安全に楽しむためヘッドライトバルブをリニューアルする方法について紹介して行くこととした。
ヘッドライトには年式や車種によっていくつかの種類があるので、まずは愛車のヘッドライトがどのようなタイプ&型式のものなのかを確認するところからヘッドライトのリニューアルをはじめよう。クルマのヘッドライトには大きく分けてハロゲン、HID、LEDの3種類がある。歴史的に見るとヘッドライトはハロゲンからLEDへと進化してきたので最新モデルではLEDを採用する車種も増えている。
それぞれの寿命についてはハロゲン<HID<LEDの順になっている。ハロゲンを主に使っていた時代のユーザーは一度や二度はヘッドライト切れを経験したことがあり“バルブ交換”はある意味経験済みというベテランユーザーも多いだろう。しかしHIDになるとバルブ(HIDはバーナーと呼ばれる)切れは比較的頻度が低く、バーナー切れによる交換経験がないユーザーも多いだろう。さらにLEDになると交換頻度は更に延びるため、バルブ交換の概念すら持たないユーザーも登場しはじめている。
家庭用の照明器具でも同じことが言える。年末の大掃除時期に古くなった蛍光灯を交換するシーンは毎年の恒例行事のように見られたが、LED照明になると対応年数も一気に長くなり、加えて光源部分だけを交換できない(ユニットごとの交換になる)タイプも多く、交換頻度は大幅に低下している。家庭用照明でも定期的なメンテナンスへの考え方が変わってきているのは事実だ。
ではクルマのヘッドライト交換に話を戻そう。交換する際には愛車に付いているバルブの型式を確認して同タイプを取り付けるのがベーシックな交換方法だ。
ハロゲンのバルブは最初にHの文字が付いている型式になる。2灯式のヘッドライトで用いられることが多いダブルフィラメントタイプは「H4」。一方4灯式ではシングルフィラメントの「H1」などのバルブを用いるケースが多い。
HIDは交換用のパーツに頭文字としてDが振ってある。バーナーの種類には「D2S」「D2R」「D4S」「D4R」があり、点灯電圧の違いやバーナー形状の違いでそれぞれタイプが異なるので、交換時には純正のタイプを調べて同型式を選ぶと良いだろう。
ただしLEDはハロゲンやHIDが対応する交換バルブ(バーナー)が用意されているのとは異なり、光源となるLED部分のみの交換パーツが用意されていない場合も多い。理由はレンズユニットとLEDパーツが一体化している構造が多いため、交換する場合にはユニットごとの交換になってしまうからだ。ただし、近年はその傾向も徐々に変わり、トヨタなどではLEDのみを交換する形式(L1Bなど)のヘッドライトユニットも登場している。こちらも愛車のヘッドライトを見て型式を確認した上で交換を実施すると良いだろう。
ところで、バルブ(バーナー)の交換理由はバブルが切れてしまったという単純に“消耗部品の交換”というケースに加えて、実用&ドレスアップの効果を狙った目的も多い。例えば古くから実施されている手法がバルブの“色温度”の変更だろう。色温度(K=ケルビン数で表示される)を変更することで、純正ではやや黄みがかっていた発光色を純白(ケルビン数が大きくなるにしたがって黄→白→青と発光色が変化する)などに変更できるのだ。フォグやポジション球の色とヘッドライトの発光色を合わせて光の統一感を出すのもドレスアップの一環だ。ただし、あまり青白すぎると車検不適となってしまうので、純正プラスアルファ程度の安全パイでバルブ選びをしておくこともポイントだ。
同様にHIDのバーナーにも色温度や明るさを示すルーメン(全光束)の数値が高いモデルも用意される。明るくてより白い発光色を得ることもできるので、そんな観点で交換バーナーを選んでも良い。
夜間走行時の安全性を確保するヘッドライト。バルブ(バーナー)をリフレッシュして快適性をアップ、さらにはドレスアップ効果も発揮させよう。交換はある程度の知識とメンテスキルがあればDIYでも可能だが、手順などが心配な場合にはショップにお任せするのが良いだろう。交換時間も短く比較的作業としては簡単なので、気になるユーザーは今週末のメンテナンスとして実施してみてほしい。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。