今夏、7月23・24日にスーパーオートバックスMITAKA(東京都三鷹市)で、8月20・21日にスーパーオートバックス布施高井田(大阪府東大阪市)で店舗イベントが開催された。オートバックスの店舗でイベントが開催されること自体は珍しいことではないのだが、今回のイベントに関しては着目すべき点があるので紹介したい。
イベントの内容は「愛車相談イベント」と題し、車の点検・診断や板金見積、車査定、エアコン点検、保険相談といった、車にまつわる困りごとに対してその場で無料相談を受け付けるものである。その中で着目すべき点が“板金見積”に関してだ。
この“板金見積”、相談の窓口はもちろんオートバックスの店舗スタッフが行うのだが、その裏側では地域の板金塗装事業者(東京都:杉並モータース、大阪府:ミツイオートサービス)と連携を組み、見積り作業を行なっているのだ。
なぜその様なことをするのか、その背景にあるのは急速に進む自動車の進化である。最近の自動車にはカメラやセンサーなどドライバーの安全運転を支援するための装置が多く付いている。その装置を正常に作動させるには、車の骨格に歪みがないこと、4輪が正常に接地していること、カメラやセンサー取り付け部に損傷がないことなど、様々な条件が揃う必要がある。条件が揃わず誤作動を起こすと重大な事故に繋がりかねないので、小さな傷やへこみだからと言って油断は禁物である。
このような自動車修理の高度化に対応するため2020年8月に、カー用品販売最大手オートバックスのFC本部である「株式会社オートバックスセブン」と、車体整備におけるプロ集団「BSサミット事業協同組合」は包括的業務提携を結んでいる。今回の2件の連携先もまさにBSサミット組合員工場であり、この提携の具体的な事例と言える。連携を組むことで車の損傷具合に応じて、オートバックス店舗で修理を行うのか、設備の整った地域の整備工場で修理を行うのかを振り分けることが可能だ。
“電気自動車”や“自動運転車”さらには“空飛ぶクルマ”と、まだまだ進化の余地を残す自動車だけに、その全ての修理や整備に自社だけで対応をしていくことは現実的ではない。今後の自動車アフターマーケットにおいては、“地域連携”や“パートナーシップ”がキーワードになるだろう。その先駆けとなる事例なだけに今後の進展に期待をしたい。