車齢の延伸により注目を集めているのが防錆だ。降雪地帯の方々にとってはもはや常識かもしれないが、融雪剤に含まれる塩化カルシウムにより錆が進行する。ひどい場合には新車購入後2~3年で錆が発生するケースもあるという。1台のクルマに永く乗る時代だからこそ雪国や沿岸地域に訪れるクルマに防錆は欠かせない。防錆のニーズは以前からあり、複数のメーカーが防錆メニューを提供しているが、その特長や性能は様々だ。
タフコートに代わる本格防錆システム「ラストムーン」を本格展開
そんな中、本格防錆で知られるダイノール社・タフコートの国内代理店であるスペシャルワン株式会社が、オリジナルブランド「Rust-Moon(ラストムーン)」の展開を始めた。
背景にあるのは、ダイノール社がワールドワイドでこれまで展開してきた防錆システム“タフコート”を廃止し、デニトロールに統合することを決めたことだ。タフコートとデニトロールの違いを簡単に説明すると、タフコートは防錆剤だけでなく施工方法や技術研修などのシステム販売であるのに対して、デニトロールは防錆剤の販売のみとなっている。これまで40年間「タフコートジャパン」としてタフコートの拡販に注力し、さらには日本独自に発展させてきたスペシャルワンとしては、これまでのやり方(タフコートの防錆システム)を踏襲するために“タフコート”という名前を捨て、新たにラストムーンというオリジナルブランドを立ち上げた。つまりラストムーンは、40年に渡りタフコートを扱ってきた経験が集約された防錆システムで、その特徴である「高い密着力」や「柔軟性」を持った防錆剤と、重要な箇所にしっかりと防錆剤をスプレーする為の知識と施工技術がシステム化されたものである。
ラストムーンは2020年春に立ち上がり、それ以降は新規のお客様にはタフコートではなくラストムーンを紹介、防衛省にも採用されるなど実績を徐々に積み重ねてきた。しかし一方で「タフコートというブランドが浸透しているが故に、既存のタフコート施工店の理解を得るのが難しい。今後はラストムーンの認知度を上げるためのPRを行うことで、理解を促していきたい」と同社代表の田村謙征氏は話す。自身が育て上げてきたブランドが最大のライバルという皮肉な状況ではあるが、それは言い換えれば“満足度の高いサービス”を提供していたことの表れである。
従来のタフコートにせよ、新たに展開されるラストムーンにせよ、このブランド変更によってエンドユーザーへのサービス品質の低下が起きないことを願う。