洗車は顧客育成ビジネス、解約率5%の洗車機サブスク成功の秘訣…洗い放題事業部に聞くWeb戦略 | CAR CARE PLUS

洗車は顧客育成ビジネス、解約率5%の洗車機サブスク成功の秘訣…洗い放題事業部に聞くWeb戦略

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洗車は顧客育成ビジネス、解約率5%の洗車機サブスク成功の秘訣…洗い放題事業部に聞くWeb戦略
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コロナ禍をキッカケに、手洗い洗車用品や出張洗車サービスが好調な一方で、洗車場の減少が止まらない。そんな厳しい背景の中、デジタルマーケティングを多用したWeb集客を行い、洗車場ビジネスで成果を上げている事業者がいる。

洗車場経営は、天候に左右される不安定なビジネスで、週末や連休にユーザーが集中し、手洗い洗車エリアは回転率が低い。安定した利益が見込みづらく、老朽化した古い洗車機器や設備、色褪せた看板が目立つ洗車場が多く、今後も閉鎖が増えていくと思われる。

そんな中で、月額制で洗車機が使い放題になるサブスクリプションサービス「洗い放題.com」を展開する株式会社京南(東京都昭島市/田澤孝雄代表)は、低い解約率を維持しながら利用ユーザーを伸ばしている。そのノウハウを活かし2022年7月にオープンした初のFC店舗でも好調だという。どのような経緯で洗車ビジネスに注力し、Web集客手法を確立したのか、代表の田澤孝雄氏と、洗い放題事業部の伊藤亮氏に話を聞いた。

「洗車ビジネス」に勝機をみるも惨敗

株式会社京南は、田澤氏の父が創業社長として1963(昭和38)年に設立し、不動産やガソリンスタンド(GS)事業などで成長。現社長の田澤氏は2004年に29歳で入社し、2007年に二代目社長へ就任。この頃すでにGS事業が斜陽産業となり強い危機感のもと、福祉介護事業や、M&Aで自動車販売・鈑金塗装事業を展開するようになる。

「初代プリウスが発売され、急速に売れ行きが伸びていました。今後クルマが進化し続ける中で、ボディは当分なくならない。整備や車検、鈑金塗装事業に将来性はあるが、自分の能力でいまから整備士になるよりも、洗車ならできると思いました」と田澤氏は当時を振り返る。洗車ビジネスに勝機をみて、創業社長から事業承継したGSの隣に400坪の敷地があり、手洗い洗車と機械洗車サービスを行える洗車専門ショップ「ふるーる洗車」八王子本店を2007年にオープンしたのだが、現実は厳しかった。

大きな課題として、稼働日の少なさがあった。1か月のうち平均5日は雨で、その前日も洗車ニーズはなく実稼働は20日間程度で利用ユーザーが集中するのは土日の昼間のみ。スタッフを雇っている状況で、1日の売上が1万円未満という赤字の日々が続いたという。

ユーザーの利便性と売上安定化の両立

「お客様は“洗車後に雨が降ったらもったいない”と思われていて、その真理に応えるために“いつでも洗えるようにしよう”と考えました」と話す田澤氏は、ユーザー目線による利便性向上と同時に、回転率を上げて安定的な利益を得られる仕組みを模索。当時はまだ普及していなかったサブスクリプション(定期購読、継続購入)モデルにたどり着き、2013年2月から洗い放題サービスを開始する。先見性がある大きなスタートを切ったのだが、これが苦難の始まりだった。

「やり方が間違っており、決定的なミスがありました。それはプッシュ型のオススメです」と田澤氏は敗因を口にする。来店客にひたすら洗車をオススメするプッシュ型集客として、宣伝やポスティング、10万枚ほどの折り込みチラシなど広告費や人件費をかけるも費用対効果は得られなかった。

さらにもう1つ、キャッシュレス決済という大きな壁があった。当時はスマートフォン利用率が低く、PC画面でユーザー登録する手間に加えて、入会までの導線が複雑。極めつけとなるのがキャッシュレス決済登録で、セキュリティ面の不信感から登録が伸びなかった。追い風が吹いたのは、サービス開始から3年半後の2016年。スマートフォンの普及と同時に、キャッシュレス決済の一般化も進んだことで、希望がみえてきた。

Web集客は費用対効果が高い

「スマホ決済が増えた2016年の9月から本格的にデジタルマーケティングをスタートし、プル型のWeb広告集客を行いました。プル型は、Web広告経由によるお客様ご自身の判断でサービスを理解し登録購入いただくもので、ここに真理があります。我々は、Web上に表現したことの100%以上を店舗でやりきる。それにつきます。これを徹底的に行ったことで解約率が劇的に下がり、売上2.5倍を達成しました」と田澤氏は成功の秘訣を語った。

具体的にどのようなWeb集客を行ったのか。洗い放題事業部の伊藤氏は「キーワード検索で上位表示されるようにランディングページのSEO対策を行い、リスティング広告やSNS広告などWeb広告を行いました。以前行っていたチラシ配布の手間やコストと比べて、Web広告はより安価に多くの方にリーチでき、高い費用対効果がありました。開始当初はじわじわと伸び、長期で振り返ると大きく伸びているのがわかりました。Web集客で一番驚いたのは、一度も来店されたことがない方がランディングページを見てクレジットカード情報を登録し、月額課金サービスを利用いただけるようになったことです」と話す。

Web広告が魅力的でも、誘導先のランディングページがわかりづらければ、一瞬で離脱してしまう。洗い放題事業部では“洗車場に訪れたかのような表現”に注力。サービス内容や利用登録の流れをわかりやすく伝えるために、漫画での説明を取り入れたり、女性ユーザーを意識した明るくポップで見やすいデザインにこだわっている。

その結果、登録ユーザー数は1,800(2023年1月上旬時点)となり、解約率は5%以下。例として月間100人中5人しか解約しない、解約率の低さを維持しているという。

1ユーザーの月平均利用は2~3回で、ユーザー層は30~50代男性が8割で、女性は2割。車種はN-BOX、アルファード、ヴェルファイア、ボクシーが多く、手洗いで天井を洗うのが難しい全高が高い(背が高い)車種が多い傾向とのこと。月額料金プランは5コース(ノーマル1,980円/プレミアム2,980円/ゴールド3,980円/ゴールドシェア4,980円/ゴールドシェアプラス7,470円)あり、プレミアムの利用率が高いという。

直営店での成功をきっかけにノウハウを溜め、2018年に直営2号店を昭島市拝島にオープン。その後はFC展開の実現に向け、サブスクシステムを4年かけて開発し、2022年7月に初のFC店を埼玉県草加市にオープン。同店は300坪弱の広大な敷地に、インドアゴルフ場やコインランドリーを有する複合施設「We BOX」内にあり、FC店オーナー企業は洗車場運営未経験ながら、オープン初月に70名の会員を獲得。LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)換算で700万円を達成したという。

大きなポイントは、洗い放題事業本部によるWeb集客代行で、10年弱試行錯誤して確立したデジタルマーケティングを多用。ローカル検索での地域ナンバー1上位表示のSEO、リスティング広告、SNS広告戦略、Google露出対策などのデジタルプロモーション対策で成果を上げている。

洗車は、需要を作る

「費用と手間がかかり、雨が降って損する可能性も考えて、洗車を後回しにする傾向がありますが、その負の部分を洗い放題サービスで解消しました。ためらいなく気軽に洗車できる環境があり、綺麗なクルマを目にする回数が増えると、ちょっとの汚れでも気になって、また洗車したくなりクルマを好きになっていく。人とは面白いもので、洗車に限らず、美容や食事も同じで、良い状況を体感すると維持やより上質なものを求めるようになっていきます。洗車は、限られた需要を取り合うのではなく、需要を作る顧客育成ビジネスだと思っています」と田澤氏は、洗車事業の魅力を述べた。

洗車場の閉鎖が増えている実情はあるものの、安全運転支援システム搭載車(ASV)こそ、センサー部分が汚れていない状態を維持する必要があり、洗車は必須だ。今回の事例からわかる通りWeb集客には自動車アフターマーケット事業者が抱える課題解決のヒントがある。自動車業界に精通し、Web戦略実績があるパートナーとの連携などで、事業の立て直しや拡大につなげていく方法があることを覚えておいてほしい。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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