寒い冬場だからこそ気をつけたい日常的な点検&メンテナンスポイント。厳しい寒さと降雪や凍結を防ぐ塩化カルシウムの散布などクルマには厳しい条件がいっぱいなのだ。
◆エンジンオイルが乳化していないか点検
寒い冬場は気温が低いので、エンジン冷却水の温度が上がりすぎるオーバーヒートは起きにくい。しかし、温度が上がりにくいがゆえに起きる問題もある。それがエンジンオイルの乳化だ。
エンジンオイルは90~110度くらいが適温で、それ以下ならば良いのかというとそうでもない。エンジン内部は始動中は温まり、止めると温度が下がる。その繰り返して内部が結露することがある。その水分はエンジンオイルに垂れてしまう。エンジンオイルには水分が混ざってしまうのだ。
しかし、エンジンオイルが100度近い温度になれば、気化するので一旦オイルの中から水分はなくなる。また、水分が結露から混入しても、走るたびに水分を気化させていれば問題ない。だが、気温が低い冬場はエンジンオイルの温度が上がりにくい。とくに普段乗りで短い距離しか走っていないと、全然温度が上がらないまま日時が経過してしまう。そうすると徐々に撹拌され、オイルと水が乳化して混ざってしまうのだ。
ときにコーヒー牛乳のようなオイルが出てくることがあるのは、この乳化が原因なのだ。そのため自動車メーカーの説明書では、短時間を繰り返し乗る場合はシビアコンディションに指定されている。オイル交換が通常距離の半分に指定されていたりするのも、それだけオイルが痛みやすいからだ。
乳化してしまうときちんとエンジン内部を潤滑できず、エンジンに多大なるダメージを与えてしまう可能性がある。乳化を防ぐためにできることは、ときどき30分以上は走って、しっかりとエンジンオイルの温度を上げるしかない。まず冬場に短時間しか乗っていないようなら、こまめにオイルが乳化していないか確認してもらいたい。
◆ボディは下回りにしっかりと水を掛ける
冬場は路面が凍結しないように塩化カルシウムが散布されていることがある。水に塩を混ぜると凍る温度が下がるのと同じで、道路に塩化カルシウムを散布しておくと凍結する温度が下がるので、路面が凍ってしまいにくくなる。そのために凍結防止や融雪目的で散布されるのだが、塩化物なので鉄を錆びさせる効果がある。これによって降雪地域のクルマは錆びやすいのだ。
降雪地域だけでなく、降雪しそうな地域でも高速道路や料金所付近などには散布されることがある。自動車整備のプロによると「雪が降ったり降らないくらいの地域の方が、路面に直接塩化カルシウムが撒かれた状態で踏んでしまうのでクルマへの影響がある」という。なので、降雪しない地域でも注意が必要である。
対策としてはできるだけ下回りを水で流すことに尽きる。とくに足まわりのサスペンションやアーム類は固着しやすくなるので、水で塩化カルシウムを流す。ボディ下面もできるだけ流しておく。水道のホースがあればそれで十分だし、洗車場で高圧洗浄機で流せるならベストだ。
◆バッテリーは早めの交換が無難
寒い時期はバッテリーが突然死することがある。さっきスーパーまで走ってきて、帰りにエンジンが掛からないなんてことも珍しくない。交換から4~5年経過しているなら、早めに交換したい。補充電などをしていても、急速に電圧が低下することがあるのだ。
一度バッテリーが上がっていたり、それまでに電圧が低下していることがあると内部が劣化していて、より突然死しやすくなっている。冬場に寒い中、数時間も救援を待つことになることもある。早めに対処しておきたい。
◆タイヤの空気圧低下にも注意
気温が下がるとその分タイヤの空気圧も下がる。普段よりも空気圧が下がりやすく、その状態で高速道路を走って、そこからスタンディングウェーブを起こし、タイヤがバーストすることもある。普段の徐々に空気が抜けることに加えて、気温の分、空気が収縮するのでより空気圧が下がりやすいのだ。
◆内窓はとくに綺麗にしておく
冬場は窓を閉め切り暖房を入れるので窓が曇りやすい。とくに汚れていると窓は曇りやすいので綺麗にしておくこと。専用クリーナーや精製水で拭いてから乾拭きがオススメ。下手に洗剤などを付けるとそれが原因でまた曇ることもある。しっかりと乾拭きがオススメでとくにマイクロファイバークロスなどで拭くと綺麗に仕上がる。そうしたちょっとしたメンテナンスで、突然一気に曇ることを防ぐことができる。