カーフィルム施工のプロたちが「正しい施工」について理解を深める…JCAA総会 | CAR CARE PLUS

カーフィルム施工のプロたちが「正しい施工」について理解を深める…JCAA総会

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カーフィルム施工のプロたちが「正しい施工」について理解を深める…JCAA総会
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プロとして、カーフィルム施工を行う事業者の施工能力や技術向上、カーフィルムの健全な発展を目指して活動する日本自動車用フィルム施工協会(JCAA)は、5月25日に都内にて2023年度の「代議員総会」を開催し、JCAA加盟メンバー向けに講演会を行った。

「フロント3面の正しい施工とは? 可視光線透過率測定に関する専門知識とは?」と題した講演が行われ、JCAA濱田浩光会長(貼りアップ株式会社・代表者取締役)、JCAA測定実行委員長の井上和也氏(株式会社ビーパックス・代表取締役)、フィルムメーカーである株式会社ブレインテックの宮地聖代表取締役の3名が登壇した。

冒頭で濱田会長は、今年1月13日に国土交通省 自動車局整備課から、各地方運輸局および沖縄総合事務局に向けて、指定自動車整備事業における着色フィルム装着車の指導内容に関する通知が行われたことに触れ、事業者によって情報の受け取り方に違いがあるなど混乱している現状に対し、正しい施工や可視光線透過率測定について理解を深めたい思いから、今回の講演を企画したことを述べた。

濱田会長は、これまで自社が行ってきたフロント3面施工に関する取り組みを紹介。店舗内にカーフィルムのサンプル展示や遮熱性能体感器を設置し、太陽光と体感器では感じ方が異なることをユーザーに事前説明し、施工前に車検入庫先(指定工場か認証工場)の確認や、可視光線透過率測定器(簡易測定器と、光明理化学工業株式会社「PT-50」で計測)で測定を行い、施工後に保証書(自社の施工証明書とJCAAの可視光線透過率測定証明書)を発行していることを伝えた。

JCAA測定実行委員長の井上氏は、可視光線透過率測定についてJCAAで長年取り組んできたことを触れた上で、今年1月13日に国土交通省 自動車局整備課から通知された内容を受けてJCAAの見解として作成した「国交省通達文書の読み解き方ガイド」について説明を行った。

また井上氏は1月13日の通知で、自動車整備事業者やカーフィルム施工事業者の間で混乱が起きた件について「国土交通省の言い分として私が聞き及んだところでは “ 従来から何も変わっていない ” ということです。我々JCAAの理事は2016年に各運輸支局から、測定器のメーカー、機種、仕様等の指定はないとの言質を引き出しています」と発言。その上で1月13日の通知には、可視光線透過率測定器を用いて判定する場合における “ 参考品 ” として、光明理化学工業株式会社の「PT-50」「PT-500」が記載されたことを改めて説明していた。

株式会社ブレインテックの宮地社長は、光明理化学工業株式会社の「PT-500」の販売元の立場として登壇。宮地社長は、以前にカーフィルム施工店を経営し、数多くの施工を行っていた経験があることを紹介したのち、海外のカーフィルム市場について触れた。海外では8~9割のクルマがフィルムを貼っており、ドレスアップやプライバシー保護の目隠しよりも機能性を求めており、暑さ対策の快適性のために施工しているケースが多い状況があるが、日本では車検で落ちてしまう場合もあり普及が進んでいないことを指摘。

その上で宮地社長は「一番被害を受けているのは、快適で安全で健康のためのフィルムを貼れない日本のユーザー」と断言。さらに宮地社長は「施工店が合法だと思って非合法の車両を納車していたり、合法だと思って従業員に違法作業を行わせていないか、それが一番怖い。昔は “ だいたい透明だったらいいよ ” で済んでいたかもしれないが、今の時代はコンプライアンスが厳しいので成り立たない」と注意喚起し、きちんと法律に則って正しい施工を行えばカーフィルムの潜在需要はある、と考えを述べた。

日本でのカーフィルム施工のルール

フロントガラスと前方ガラス(フロントドア、フロントコーナーなど)へのカーフィルム施工は、道路運送車両法の第三章 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第117条第4項第6号の中に「装着され、貼り付けられ、又は塗装された状態において、透明であるもの。この場合において、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては可視光線透過率が70%以上であることが確保できるもの」と義務付けられている。

法律に則ってカーフィルム装着車の車検合否判定を行うのは運輸支局等や軽自動車検査協会、指定自動車整備事業者であり、フィルムメーカーやカーフィルム施工店ではない。また、たとえフロントガラスと前方ガラスへの施工時に70%の可視光線透過率を保っていたとしても、施工から数年後の車検時には経年劣化で可視光線透過率が70%以下になっている可能性もあるということを、カーフィルムを使うカーオーナーは覚えていてほしい。

また編集部として強く伝えたいことがある。自動ブレーキや急発進防止といったADAS(先進運転支援システム)が搭載された電子制御装置整備対象車両にカーフィルム施工を行う場合は、フロントガラス交換やカメラの脱着が問題となる。フロントガラスの脱着を行うと特定整備に該当するため、カーフィルム施工事業者は必ず特定整備(電子)事業の認証を取得して作業する必要がある。取得できない場合は、認証を取得する事業者と連携するなど、規則に則って合法な作業を行う必要がある。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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