東京消防庁は日産自動車と共同で、国産消防ポンプ自動車第一号の「ニッサン180型消防ポンプ自動車」をレストア。「東京国際消防防災展2023」にて展示すると共に、実走デモを行った。
ニッサン180型消防ポンプ自動車は、1941年に東京大田区の蒲田消防署に配置され、戦時中に空襲火災の消火活動なども経験した車両。東京オリンピックの開催された1964年まで稼働した後、広報車両として保管されてきた。
今回、そんな80年前の“働くクルマ”をまた再び動くようにしたいと、東京消防庁が日産自動車に相談したところ、歴代日産車の再生に取り組む「日産名車再生クラブ」に所属する4名のエンジニア(日産自動車所属3名、ジヤトコ所属1名)がボランティアで集結。まったく動かなかった車両を2年間かけて、ついに動くところまでレストアに成功した。
さらに当初目標としていた動く、曲がる、止まるだけでなく、ウインカーやワイパー、赤色灯など電気系統も復旧。
会場では実際に動く様子を披露しただけでなく、最後の仕上げとして、会場でホーンの取り付けも行われた。
報道陣に修理でどこが一番大変だったか尋ねられると、エンジニアのリーダーである河合俊明氏は「ブレーキの固着が特にひどかった」と回答。最初はエンジンが壊れてしまったので動かすのを止めたとだけ聞いていたそうで、全体のレストアに取り組むとは思っていなかったようだ。
今後この車両は東京国際消防防災展2023の会期中展示されるほか、会期後は東京消防庁が実施する様々なイベントで活用していく予定とのこと。
東京消防庁の広報課・松村龍也氏は「多くの方々に愛される車両になるように活用していきたい」と締めくくった。