近年、ペット愛好家をターゲットとしたマーケティングに注目する自動車関連企業が増えている。新車発表のタイミングで、一時的にドッグランをオープンした自動車メーカーがあった。犬のしつけ教室を実施する会社もある。「クリンビュー」ブランドを展開するイチネンケミカルズも昨年、ペット市場に参入した。
◆ペット分野に進出した「クリンビュー」ブランド
イチネンケミカルズは、長野県にある八ヶ岳富士見高原リゾートで開催された「アウトドアドッグフェスタ in 八ヶ岳 2023」にブースを出展した。クルマの窓ガラス用油膜取りやクリーナー、ワックスなどのケミカル製品を販売する同社は、去年からクルマとキャンプをテーマにしたブログ「クリンビューアウトドアフィールド」の運用をスタートしている。
その活動を通して、クルマでアウトドアを楽しむユーザーは愛犬と一緒に出かけるケースが多いことがわかったという。その際、いくつかの「困りごと」があることも判明。課題の解消に向けて、ケミカル製品で培ったノウハウを活かした新製品を開発した。
愛犬の涎や鼻水で汚れた窓ガラスの内側をキレイにする「だ液汚れクリーナー」、シートなどに付いたペットの抜け毛を簡単に掃除できる「毛とりスポンジ」と「ニオイ消し消臭剤」の3製品を発売。どれもペット用の工業規格認証を取得しており、動物に優しい成分で作られているという。担当者は、「クリーナー関連の製品は、自信をもっておすすめできます」と胸を張る。
同社は「クルマ以外の分野にもチャレンジしたい」として、今後もアウトドアを含め新しい市場への進出を計画している。「ペット業界では新参者です。まず、この3製品を知ってもらう活動をしています。同時に、イベントではお客さまへのアンケートを行っています。ヒントをいただいて、ペット愛好家のお客様向けの新商品を考えていきます」とのことだ。
◆活気の良さが続くペット関連業界
コロナ禍をきっかけに、犬や猫などのペットを迎えた家庭が世界的に増えた。食事やトリミング、健康管理などにコストを惜しまない飼い主も少なくない。「飼育する “動物”」から 「共に暮らす “家族”」へと、その存在は大きく変わった。
そのような世相を反映して、ペット関連業界は活気の良さが続いている印象を受ける。今年で9回目となるアウトドアドッグフェスタにも、朝9時の開場前から入り口には長蛇の列ができていた。
トレッキングやトレイルラン、迷路、キャンプ体験など盛りだくさんのコンテンツが用意され、愛犬と一緒に丸一日楽しめる。そうした来場者を見込んで、約80社がこのイベントに出店した。多くはドッグフードや犬用のアパレル製品、玩具、ネームプレートなどのペットグッズを扱う企業だったが、イチネンケミカルズやトヨタモビリティパーツなどの自動車関連企業も参入している。
今や家族の一員となった “我が子”たちが、これから自動車産業にどのような影響を与えるのか引き続き注目していきたい。