モノを言えない出席者から「異議なし」という言葉が飛び交ったのかどうかはわからないが、近頃はめっきり少なくなった “シャンシャン総会”を彷彿とさせるような議事進行ぶりである。
中古車販売大手のビッグモーターによる自動車の保険金不正請求問題で、損害保険ジャパンが、ビッグモーターによる不正を十分に検証せず、わずか30分の会議で取引再開を決めていたことが明らかになったそうだ。
◆懸念や焦りから「視野に乏しい対抗心」
親会社のSOMPOホールディングスが社外弁護士による調査委員会の中間報告書を公表したもので、きょうの各紙にも「損保ジャパン、不正隠蔽」や「わずか議論30分取引再開決定」、「精査ずさん、大口先、失う危機感」などと、きびしい見出しで取り上げている。
それによると、外部調査委員会の中間報告書には、取引停止中にビッグモーター側から損保ジャパンの役員に「他の損保が早期幕引きを希望している」などの報告が入り、メインのポジションを奪われのではないかという懸念や焦りから「視野に乏しい対抗心」が取引再開の背景にあったと指摘している。
◆ビッグモーターとの間に「しこりを残す」と
また、取引再開を判断した2022年7月の役員会議のプロセスについては「相当に粗雑」だったと問題視。事前の打ち合わせでは、ビッグモーターへの追加調査を要請する方向だったが、その後の会議で白川儀一社長が、改ざんされた報告内容を覆すことは困難と判断、追加調査によってビッグモーターとの間に「しこりを残す」などと発言していたという。役員ミーテングの進行は極めて形式的で、わずか30分の会議の結果、追加調査はせずに取引再開を決定。出席者からも異論は出なかったという。
経営トップの社長が決めれば異論を唱えない「他責思考」の表れであり、顧客目線の考え方が欠落しており「経営陣として主体性に欠けていた」ともきびしく非難した。調査委は年内にも最終報告を取りまとめる予定で、櫻田謙悟氏が会長を務める親会社の経営責任についてどこまで踏み込むかが注目される。
2023年10月11日付
●損保ジャパン、取引再開30分で決定、ビッグモーター不正中間報告(読売・2面)
●「バス運転手を追加」国交相特定技能の外国人(読売・6面)
●NY原油大幅続伸、中東情勢緊迫、供給を懸念(産経・10面)
●トヨタ・ホンダ、中国販売4カ月ぶり増(産経・10面)
●都、上野動物園モノレール廃止へ、“弧高”あだに「空飛ぶ電車」存続断念(産経・21面)
●パワー半導体素材1500億円、デンソーと三菱電機、米事業に出資(日経・19面)
●日産、アウトドア向けEV出展へ(日経・3面)
●電動ボード安全走行半ば、8月の摘発、都内で600件超(日経・39面)