群馬県邑楽町の邑楽中央多目的広場には、毎月第1日曜日になると北関東を中心に軽スポーツカーが集まって来る。
車名の頭文字をとって「平成ABCトリオ」と呼ばれた、マツダ/オートザム『AZ-1』(A)(OEMのスズキ『キャラ』含む)、ホンダ『ビート』(B)、スズキ『カプチーノ』(C)が中心だ。いずれも平成の初めにデビュー。まだ夢にあふれていた、スポーティな軽自動車たちである。
自動車専門SNS「みんカラ」内にある「北関東茶会」の呼びかけによるオフ会。今回は諸事情で第2日曜日の1月14日に行われたが、基本的にはこの会場で第1日曜日に開催されている。午前中に近くのファミレスでランチ後、午後1時頃には指定の駐車場に集まるというものだが、いつ来てもいいし帰ってもいいという、気楽な集まりだ。
会の幹事を務める、ハンドルネーム「まっさか」さんの愛車はカプチーノ。「軽量コンパクトなオープンカーでFRターボに乗りたくて購入しましたが、思っていた通り楽しいクルマでした」。しかしながら昨年もらい事故に遭い、修復不能に。この日はもう1台所有する紺色の前期型でやって来た。事故車は知り合いから譲ってもらった赤のカプチーノとニコイチにして復活させる予定だという。300台限定のミニカーも持参するなど、カプチーノ愛が覚めることはないようだ。
鮮やかなマルボロカラーでひときわ目を引いたのはビート。オーナー氏によれば「アイルトン・セナのF1マシンのカラーをビートでできないかとデザインして、ディーラーで『これ下さい』と言ったら実現。新車で購入したクルマ」なのだそうだ。エアロや足回り、マフラー、シートクロス、ステアリングなどは「無限」パーツ。今回初参加でいきなりの大注目となっていた。
驚いたのは、新車から現在まで、なんと走行65万kmというAZ-1だ。当時ディーラーのショールームに飾ってあったがなかなか売れず、ある日特別装備のM2パーツにされたのを見て購入。「以降、通勤などでいつの間にかこんなに走ってました」というオーナー氏。1度のエンジン載せ替え、1度のオーバーホールがあるとはいえ、感服ものであった。
平成ABCトリオの他にもたくさんの軽スポーツが集まった。現在も販売されているダイハツ『コペン』やホンダ『S660』は数多く、スーパーチャージャー付4気筒エンジン搭載のスバル『ヴィヴィオ』なども参加。軽自動車以外も大歓迎ということで、トヨタ『MR2』の常連組もプチオフ会を楽しんでいた。
会場は邑楽町から許可を得て借りており、参加者は毎回10円以上の参加費を支払っている。しかし100円以上払う人が多く、使用料を超えて参加費が余るため、毎年町に寄付しているという。また今回は1月1日に起きた能登半島地震の義援金を募り、まっさかさんが所定の銀行に振り込んだ。2月はまた第1日曜日に開催予定。被災者支援の状況によっては義援金をお願いするかもしれないという。