自動車部品卸商社の明治産業株式会社(本社:東京都港区/竹内眞哉取締役社長)は、3月5日(火)~7日(木)に東京ビッグサイトで開催された自動車アフターマーケットの活性化を目的とした商談型展示会「第21回国際オートアフターマーケットEXPO2024(IAAE2024)」に出展。
エーミング作業の手順をVRで確認できる、いわゆる“エーミングVR”をブースの目玉として訴求。専用ゴーグルと大型モニターを使用し、その場でVR体験ができる企画を用意し、来場者の注目を集めた。
自動車部品供給に留まらない明治産業の取り組み
明治産業は創業90年以上の歴史がある老舗の自動車部品卸商社だが、昨今のクルマの高度化・特定整備時代に対応する確かな整備技術・診断技術を有する先進整備工場ネットワーク「Seiken Sevice Shop」を2023年より展開している。 従来の部品販売に留まらず、整備工場の作業効率や品質向上への寄与を目的に2017年に設立した 「Seiken e-Garageトレーニングセンター」が同ネットワークのトレーニングと整備機器・テスター類をパッケージ化して提供し、クルマのトータルサポートができる整備工場ネットワークの構築を目指している。
そんな同社が今回のIAAE2024で目玉としたのが、前述した“エーミングVR”である。正確には、車両とターゲットを自動正対させる「台形補正」機能を有するMAHLE DIGITAL ADAS TECH PRO2.0のキャリブレーション作業のVR体験とのことで、専用のゴーグルを付け、仮想現実(VR)の中で、VCIの設置からホイールアライメントなどを含めた作業の手順が10分ほど確認できるという企画だ。
同社によると、当初IAAE2024でのVR体験の予定はなかったものの、今後のトレーニングの可能性の広がりや様々なものがVRで普及していくことを見据え、このタイミングで初披露することを決め、年明けから急ピッチで準備を進めてきたという。VR機器によるトレーニングについては、既に医療関係などで導入が進んでいるそうだが、自動車整備の分野では前例がない。
同社では遠隔操作が可能なVRは実車や整備機器などが不要なため、場所を問わずトレーニングの機会を提供できる点や国内に留まらず、海外でのトレーニングにも活用できることなど様々なメリットがあると見ている。会期中は、来場者が大型のモニターを眺めながら、VRの様子を興味深そうに見たり、実際にゴーグルを付け、VR体験をしながら、操作感を確かめたりする姿が多く見られた。また今回、同社は一部のオイル関係の商品以外は、部品やパーツなどの製品をブース内に出しておらず、このVR体験をメインに訴求していたことからも、力の入れ具合が伝わってきた。実際にVR体験をした来場者も「ゲーム感覚で面白かった」「意外に正確で驚いた」など好意的な声が多く聞かれた。
今後は各地の展示会などでVRの関連機器(ゴーグル、モニターなど)を出展し、事業者のフィードバックを集めた上で、正式なメニュー化を検討していくという。自動車業界が100年に1度の大変革期の中で、部品供給はもちろんのこと、それに付随する技術研修やトレーニングを重要視していくという同社の姿勢と新たな付加価値の提供に注目していきたい。