バーチャルドライバーはリアルでも速い…?マツダのチャレンジプログラムが筑波で開催 | CAR CARE PLUS

バーチャルドライバーはリアルでも速い…?マツダのチャレンジプログラムが筑波で開催

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倶楽部MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム2024
倶楽部MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム2024 全 55 枚 拡大写真

マツダは3月13日、14日に筑波サーキットにて『倶楽部MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム2024』を開催した。

倶楽部MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラムは、マツダが「共に挑む」というスローガンのもと、参加型モータースポーツの一層の盛り上げを図るために実施。「バーチャルからリアルへの道」で、バーチャルのeSPORTSの世界からリアルモータースポーツを体験する機会を提供することを目指すべく、2023年から始動したプログラムだ。

◆驚いたのは、バーチャルとリアルに共通点が多くあること

筑波サーキットに集ったのは「MAZADA SPIRIT RACING GT CUP 2023」の上位入賞者10名。約7,500名から戦いを勝ち抜いた、ドライビングゲーム「グランツーリスモ」で日本屈指のプレイヤー達だ。

ただしモータースポーツ経験を持つ人から、マニュアル車の運転にまだ慣れない人まで、実車におけるレベル感は様々。そんな彼らが今回ドライブするのは、バーチャルの世界ではなく、リアルな世界のマツダロードスター』だ。プログラムは2日間に分かれており、1日目はコース1000/2日目はコース2000で開催。1日目は自動車の基礎的な運転の仕方やサーキット走行に応用する方法などを学び、2日目はいわゆる本コースでの実践編。

自動車の運転は走り込んで覚えるもの、と言ったイメージがあるかもしれないが、今回印象的だったのは座学の時間が大切にされていること。講師はTCRジャパン代表で、今回のプログラムのチーフインストラクターを務める加藤 彰彬氏。

ニュルブルクリンク24時間耐久への出場経験もあり、経験豊富な加藤氏によるコース説明は、感覚的な部分が多いように思えるドライビングを、徹底的に論理的な視点から捉えて言語化していたため、モータースポーツ経験の浅い筆者でも理解できそうな程に素晴らしい内容であった。

中でも特に印象的だったのが、バーチャル世界でのドライバーである参加者に向けて、バーチャル世界とリアル世界での走らせ方がどのように違うのか、どれくらい同じなのか、ということを3次元的に丁寧に説明していたことだ。その説明を聞く中で、バーチャルとリアルの車の走らせ方には、共通する部分が非常に多くあることに驚いた。

◆バーチャルでの経験は、確実にリアルでも生きてくる

だが本当の驚きはこの後に待っていた。徹底的なレクチャーを受け、バーチャル世界に慣れ親しんだプログラム参加者たちが実車による走行に移ると、少々の慣らし走行を行った後、レーシングスピードでのドライビングが始まったのだ。

その走りに恐怖心は見えず、1周走るごとに自分の走りを冷静に分析し、速さを求めて様々な挑戦を行っているように見えた。そしてその挑戦は、確実に良いドライビング方向へと繋がっていることが多かった。

筆者はこの光景を目にして、周回数を重ねる中で走行を改善していくという技術は、バーチャル世界での経験が生きているのではないだろうかと感じた。走行後、プログラム参加者の1人に話を聞いた。彼は実車でのモータースポーツ経験もあるとのことだが、バーチャルでの経験がリアルの世界でも、確実に生きているとのことだった。ただしその上でより上のレベルを目指そうとするならば、リアルの世界での経験を豊富に積む必要性は感じるとのこと。

◆バーチャルの世界からプロの選手層を発掘したい

「バーチャルからリアルへの道」は、確実に整備されつつあるように感じた。このチャレンジプログラムのスポンサーであるBBSの担当者に話を伺うと、自動車業界においてバーチャルの世界への理解は決して深くないとのこと。

その上で今回のようなプログラムを通してバーチャル世界に対する理解が深まり、将来的にはバーチャルの世界から当たり前のようにプロの選手層が生まれてくる時代を作っていきたい、という話も印象的だった。

モータースポーツというスポーツは他のスポーツと比較して、草の根層を育てるコンテンツが少ない。そのようなモータースポーツにとって、バーチャルの世界は最適解とも言える存在である。

しかし今日において、バーチャルの世界からリアルの世界へと飛び出していくチャンスは数少ないのも現実である。今回開催された倶楽部MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラムは、そのようなチャンスを増やしていく分岐点となり得るのではないだろうか。

《神林崇亮》

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