「65歳以上の高齢者を再雇用する」と言えば聞こえがいいが、実態は若者を中心に“職場離れ”が深刻化して、その人手不足を補うための窮余の一策だとしか思えない。
トヨタ自動車が、65歳以上のシニア従業員の再雇用を拡大する新制度を8月に始めると、きょうの読売が1面の準トップ記事として取り上げている。
それによると、現在トヨタの定年は60歳だが、65歳まで延長できる再雇用制度がある。だが、65歳以上の再雇用制度はなく、例外的に約20人を雇用するが、8月からは再雇用の対象を全職種に拡大する制度に改めるという。
「高度な知識や技能を持ち、職場からも継続的に働いてほしいと期待されている従業員を対象に、70歳まで雇用できるようにする」というもので、給与などの処遇は、現行の再雇用制度に準じて個別に決めるという。
また、グループ会社では認証不正や品質問題も相次いでおり、事業の基礎となる人材を育てて技能を伝える上でも、「シニアの活躍の場を増やす必要があると判断した」とも報じている。
さらに、「60歳から65歳までの再雇用者の処遇改善も図る」としており、現行制度では、部長職を続ける場合など一部を除いて賃金が現役時代の半分になるため、60歳時点で再雇用を選ばずに退職してしまう人が2割ほどいるという。10月にも制度を改定し、本人の貢献度などに応じて処遇を柔軟に設定できるようにするとも伝えている。
人手不足が続く中、自動車業界に限らず多様な人材に活躍してもらうため、定年の延長や廃止、再雇用者の処遇改善などの動きが出ていることも事実だが、つまるところ、定年を迎える従業員からみれば、再雇用後も働きやすく、居心地の良い職場環境なのかどうかも延長の決め手になるだろう。
2024年5月8日付
●トヨタ65歳以上再雇用、8月から全職種に拡大(読売・1面)
●ダイハツ本社工場再開、国内4工場、4か月半ぶり稼働 (読売・8面)
●豊田織機に「親子上場解消を」「低い子会社株価 統治に問題」英ファンド株主呼びかけへ (朝日・6面)
●東京ディズニーシー新エリア公開、開園以来最大の拡張、混雑緩和策で新料金 (産経・10面)
●GW鉄道と航空利用増、延伸の北陸新幹線好調 (産経・20面)
●5類移行1年なお「命落とす感染症」コロナ死者1万6000人、昨年5~11月 (東京・1面)
●トラックの名札佐川急便が廃止、SNS拡散の恐れで (日経・6面)
●ホンダ、無人タクシー支援、遠隔監視分業モデル前進、26年開始へ、規制緩和要請(日経・1面)
●日本製鋼所装甲車を受注、自衛隊向け防衛装備で供給網維持(日経・1面)
●仏ミシュランが首位、欧州・車部品の競争力分析、本社調査 (日経・15面)