スナップオン・ツールズ株式会社(東京都江東区/則武秀昭代表取締役)は、2月26日(水)に同社が展開するスキャンツール“MTG シリーズ”のOBD検査対応の最新モデル「MTG-DUAL-TAB2/MTG-DUAL-TAB2-PRO」の2機種を発表し、同日から東京ビッグサイトで開催された「第22回 国際オートアフターマーケットEXPO 2025(IAAE2025)」にて初披露。大きな注目を集めた。


今回発表となったMTG-DUAL-TAB2/MTG-DUAL-TAB2-PROは、後述する充実の機能を備え、同社がこれまで展開してきたスキャンツール“MTGシリーズ”の最上位機種として、満を持してリリースとなった。そこで今回編集部では、同社ダイアグノスティックグループ マネージャーの並木健彦氏に、今回発表した両モデルについての特徴やターゲット層に加え、同社の販売における特徴の1つである加盟店が行う顧客へのデモンストレーションを通じた今後の戦略についてお話を伺った。
自動車の進化に対応する高度なスキャンツールの必要性
並木氏は、同社のスキャンツール開発の前提について、国産車/輸入車の点検整備への幅広い対応とOBD車検への対応の2軸が基本とし、その上で昨今の自動車の進化を挙げ「車載ネットワークが今後、CAN通信からDoIP通信へと新しい規格に変わっていく中で、スキャンツールも新しい規格に対応していく必要があります。今回のMTG-DUAL-TAB2/MTG-DUAL-TAB2-PROでは、次世代通信規格のDoIPに対応したほか、対応メーカーをオートバイメーカーも含めた国内外74メーカーに拡大し、自動車事故の際の記憶装置EDRの読み取りにも対応しました。なおMTG-DUAL-TAB2-PROについては、弊社として初めてドイツ車のオフラインコーディングにも対応しました」と今回のモデルの特徴を話す。輸入車の対応メーカーの多さやドイツ車のオフラインコーディングへの対応により、国産車はもちろん、特に輸入車の整備をメインに行ってきた顧客を主なターゲットに見据えている様子がうかがえた。

また今回の両モデルの新たな機能として、故障診断の整備に便利なAI機能「Autoland AI」が初搭載されたことについても言及。「従来はDTCの呼び出しをするとDTCコードとその内容が表示されるだけで、コード内容のみではどの部分を点検すれば良いかを整備要領書で確認する必要がありましたが、Autoland AIでは点検に必要な情報までが表示されるため、より作業効率の向上が図れるようになりました」と特に整備面に関して、事業者のニーズに即した機能であることを強調した。



“幸運は加盟店のデモが引き寄せる”…100年続くスナップオンの流儀
並木氏に今後の販売戦略についても聞いてみると「販売製品がスキャンツールであってもハンドツールであっても、弊社の製品を販売する加盟店が行うデモンストレーションからお客様へ製品をご案内するという基本的な戦略は変わりません」ときっぱりと話す。
「弊社のお客様は認証工場を中心に、小規模で経営されている整備工場も少なくありません。そういったお客様に対して、どのような方法で弊社の製品の特徴などをPRしていくかを考えると、やはり弊社の製品を販売する加盟店からのデモンストレーションを中心に、その先のお客様に共に寄り添い、製品を落とし込んでいくというやり方が一番合っています。弊社のどの製品においてもそれは同じで、これはアメリカ本国でも100年続いているやり方です。なお加盟店がバンで工具を訪問販売するというスタイルは、スナップオンが世界で初めて行ったやり方です。販売メーカーとして、お客様と一緒に自動車アフターマーケットを支えていくー。今後もこの戦略を変えるつもりはありません」と並木氏。
現在、同社には同社製品を整備工場などに販売する加盟店が国内に250店ほど存在しているが、1992年に日本国内で加盟店制度を創設して以来、同社が国内で一貫して重視しているのが“加盟店から顧客へのデモンストレーション”を通じた販売だ。取材に伺った同社のショールームに“幸運は加盟店のデモが引き寄せる”というコピーのポスターが掲示されているのがその象徴とも言える。

同社では今後も並木氏が全国を回り、加盟店を集めた説明会を行い、引き続きデモンストレーションを浸透させていくとのことだ。他社とは一線を画す独自の販売戦略を取るスナップオンブランドの今後の展開に注目していきたい。