ヒョンデ傘下のキアは、INNOCEANヨーロッパと共同で、風景を交響曲に変換する芸術的実験「KIA Soundscapes」を開発した。このプロジェクトにより、視覚障害者が画期的な方法でロードトリップの美しさを体験できるようになったという。
実験の科学的根拠として、音楽が視覚障害者の視覚野を活性化させることが研究で示されている。この知見に着想を得て、KIA Soundscapesは先進的なAI技術を用いて、車のセンサーやカメラからの視覚的入力を音楽に変換する。

KIAヨーロッパのマーケティングディレクター、デイビッド・ヒルバート氏は、「KIAでは、動きがアイデアを生み出すと考えている。そこで、視覚障害のある乗員に世界を異なる方法で体験する機会を提供したいと考えた。KIA Soundscapesを通じて、技術がいかにバリアを取り除き、よりインクルーシブでアクセシブルな世界を創造できるかを探求している」と語る。
チリのサンティアゴ郊外で実施されたこの実験では、車の先進運転支援システム(ADAS)を使用して風景の画像を捉え、木々や山、速度などの視覚的要素を対応する音楽要素と組み合わせた。AIは変化する風景に合わせてダイナミックなサウンドトラックを作成した。例えば、木々や低木は柔らかい木管楽器に、山は深く共鳴する音に、車の速度は曲のテンポやトーンに変換された。

この実験は今後公開される2本の短編ドキュメンタリー映画として結実する。KIAはウェブサイトでオリジナル楽曲も公開する予定だ。KIA Soundscapesは芸術的実験であり商業的機能ではないが、同社がこの種のプロジェクトでAIを初めて使用したことを示している。