高架化が予定されている西武鉄道の東村山駅(東京都東村山市)において一部工事が完成し、使用開始する前の6月1日に、線路およびホーム上を歩くイベントが開催された。立体交差化では最終的に東村山第1号(通称:大踏切)など5か所の踏切が解消される。
●新宿線下り線を6月29日から高架化
西武鉄道では、東京都・東村山市と進めている「西武新宿線、国分寺線及び西武園線(東村山駅付近)連続立体交差事業」のうち、6月29日初電車より新宿線下り線(所沢方面方向)を高架化する予定だ。
これに伴い「施設見学会」を6月1日に東村山駅至近の工事ヤードで開催、パネルや模型の展示、動画の上映が行なわれた。さらに見学会では「レールウォーク」も開催され、約400人(各回定員40人×全10回)が電車が来る前の東村山駅構内と約200mの線路上を歩いた。
6月29日からは新宿線下り線約2.3kmが高架に切り換えられる。東村山駅付近の立体交差事業において線路が高架化されるのは今回が初めて。切換区間にある府中街道など4か所の踏切で遮断時間が短くなることが見込まれ、交通渋滞の緩和が期待される。切換工事の日時は6月28日終電車後~29日初電車前を予定し、電車の運休はない。予定日に工事を実施できない場合の予備日は7月5日終電車後~6日初電車前。
新しいホーム番線は現行の新宿線下り線を引き継いで西側から4、5番線となる。最終的に東側にホーム1面線路2本が追加されて4つの番線になるので、その際には改番されると思われる。

●4方面の路線が分岐・合流
現在地平にある東村山駅は、新宿線・所沢方面、新宿線・西武新宿方面、国分寺線・国分寺方面、西武園線・西武園方面の、4方面の路線が分岐・合流している。駅近隣の踏切の数は多く、列車本数も多いので、各踏切の遮断時間も長い。
東村山駅付近の連続立体交差事業は、東京都が事業主体となり、東村山市と西武鉄道が連携して、西武鉄道新宿線、国分寺線および西武園線の東村山駅付近の約4.5kmについて鉄道を高架化し、道路と鉄道を連続的に立体交差化するもの。西武新宿線では初めての高架化事業となる。
この事業により、5か所の踏切を除却し、交通渋滞の解消を意図する。さらに、地域の一体化や、都市計画道路などの整備を併せて推進することにより、安全で快適なまちづくりの実現が期待される。高架完成後の高架下・駅構内の使い方については今後、東京都、東村山市、西武鉄道の3者で協議する。
記者会見には東村山市まちづくり部まちづくり推進課の長谷川誠課長、東京都建設局道路建設部連続立体交差専門課の小原広課長、西武鉄道鉄道本部建設部連続立体交差化事務所の菅原聡担当所長が出席、媒体からの質問に答えた。

●国分寺線の所沢方面直通は復活するか?
高架完成時には島式ホーム2本・線路4本となる。線路のうち外側2本を新宿線、内側2本を新宿線(待避)、国分寺線、西武園線で使用する予定だ。駅の南方で新宿線下り線と国分寺線は立体交差し、現在、東村山折り返しとなっている国分寺線の、所沢方面との直通ダイヤが作成しやすくなる。
運転本数が少なくダイヤ作成に余裕のある西武園線は、駅の北方で新宿線下り線と平面交差し、西側へ分岐する。また所沢寄りに折り返しの引き上げ線1本も設置される。ただし現時点で高架完成後の運転計画は未定。
事業期間は、鉄道部分が2013年度~28年度末(当初の2024年度末までから延長、全線高架化は2027年度末)、側道など鉄道付属街路事業は2013年度~30年度(当初の2024年度末までから延長)の予定だ。計画の遅れは用地取得の遅れの影響が大きい。事業費予算は935億円、うち東京都が840億円、西武鉄道が95億円となっている。