近年、自動車は目覚ましい進化を遂げ、高度な電子制御システムを搭載した精密機器へと変貌した。特に、先進運転支援システム(ADAS)の普及により、とりわけホイールアライメントの重要性が飛躍的に高まっている。
2025年10月4日・5日に福岡市博多区で開催された自動車アフターマーケット事業者向けのビジネス展示会『オートアフターマーケット九州 2025(AA九州2025)』においても、様々なホイールアライメント測定器が展示され、関心を寄せる来場者たちの姿を多く目にした。
電子制御の進化とホイールアライメント
衝突被害軽減ブレーキ、車線維持支援、アダプティブクルーズコントロールといったADASの機能は、ミリ波レーダーや高精度カメラといったセンサーが、車両の進行方向や路面状況を正確に把握することで初めて成立する。これらのセンサーは、車両の「走行姿勢」を基準にして調整されている。その走行姿勢を決定するのが、タイヤの取り付け角度であるホイールアライメント(トー、キャンバー、キャスター)である。アライメントがわずかでも狂っていると、車はまっすぐ走ろうとしても微妙に傾いたり、ハンドルがセンターからズレたりするのだが、この僅かなズレが電子制御システムには致命的となる。
アライメントが狂うことで、正しく車線や前方車両の位置を認識できなくなると「車線から逸脱していないのに警告が出る」「必要な時にブレーキが作動しない」といった機能の低下や誤作動のリスクが高まる。

従来の自動車整備において、アライメント調整は「タイヤの偏摩耗を防ぐ」「燃費を良くする」といった役割が主だった。しかし、電子制御化が進んだ現代においては「ADASを含む安全システムを正常に作動させるための必須の整備」である。センサーやカメラを調整する「エーミング」を実施しても、その土台となるアライメントが狂っていては、正確な機能は期待できない。
整備のプロが集う展示会からも見える「アライメントの重要性」
AA九州では、5種類のホイールアライメント測定器が展示され、それぞれ異なる特徴について訴求された。高額な機械につき、まだまだ普及率は高くないが、その必要性から会場内で大きな存在感を放っていた。定番の「Hunter」や「John Bean」の他、小型軽量化を実現する製品やアライメントだけでなくエーミングまで行える製品など、最新の機器にも注目が集まった。





「ハンドルセンターがズレている気がする」「縁石にタイヤをぶつけてしまった」といった際にはもちろんだが、タイヤ交換時、足回り部品の交換時、車検時などにも、これら専門機器を用いた事業者による精密なホイールアライメント測定・調整をおすすめしたい。