「SR400」の塗装をテーブルに…バイク部品で「家具」制作、ヤマハのモノづくり精神で「共創」活性化へ | CAR CARE PLUS

「SR400」の塗装をテーブルに…バイク部品で「家具」制作、ヤマハのモノづくり精神で「共創」活性化へ

ニュース ビジネス
塗装テーブル(SRシリーズモデル)とSR400
塗装テーブル(SRシリーズモデル)とSR400 全 47 枚 拡大写真

ヤマハ発動機が横浜みなとみらいに構える共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」に、バイクの部品を使ったファニチャー(家具)が新たに加わった。17日、企画デザイン・制作を手掛けた“空間づくり”企業の船場(せんば)とともに、4アイテムを公開した。

「リジェラボ」は、ヤマハが自然・人間性・コミュニティをより良い状態へ再生(Regenerative)することを目指し、2024年10月に横浜みなとみらいに開設した共創拠点。採用活動や学生を招いたイベントとして活用するほか、外部企業によるワークショップの場としても活用されており、開設以来およそ1万人が利用し、さまざまな“共創”が生まれたという。

この空間を手掛けたのが、「空間プロデュース企業」の船場だ。約80年の歴史を持つ企業で、ビジネス空間、公共交通空間、商業施設、病院、宿泊施設などさまざまなシーンの空間づくりを国内外でおこなっている。リジェラボでは、使用する家具の企画デザイン・設計・施工から、アートワークの企画・展示、 ロゴデザイン、サイン制作までトータルプロデュースを担当した。

FRPプールの廃材からできたテーブルの天板

名前に掲げる“再生”を具現化するため、船場はヤマハ製品の製造・輸送過程で発生した廃棄物や廃材をアップサイクル(廃材などを利用し別の製品としてアップグレードさせること)し、什器や家具を制作。来訪者にこれらのストーリーを説明することで再生について考えてもらうきっかけとすることをめざした。

スペースには、ヤマハが製造していたFRP製プールの廃材でできたテーブルやベンチのほか、ボート運搬用の台車やボートのハンドル、輸送時の梱包材などでできた什器や家具が並ぶ。これらを第一弾として、今回公開された第二弾では「バイク」をテーマに、実際の部品を使った家具を制作。ヤマハのバイクがもたらす“感動”や“遊び”、それを支えるモノづくり職人の技術を新たなカタチで蘇らせた。

◆バイク部品と職人芸が生んだ特別な「家具」

鍛造部品が封入された鍛造テーブル

公開された家具は、鍛造部品を盛り込んだ「鍛造テーブル」、ヤマハの名車『SR400』やスポーツバイク『YZF-R25』の塗装を再現した「塗装テーブル」、そしてエンジンのシリンダーやピストンを用いた「ギアチェーン照明」だ。

鍛造テーブルは、ヤマハのモノづくりを支える鍛造技術をデザインの核とし、金属の力強さと美しさを可視化。鍛造部品をレジンに封入し、5層構造とすることで立体的に表現。50mmの 厚みの中で部材を配置する位置や高さを変えることで、見る角度によって表情が変わる。

塗装テーブル(SRシリーズモデル)とSR400

塗装テーブルの「SRシリーズモデル」は、SR400の7周年モデル、40周年モデル、ファイナルエディションで象徴的だった「サンバースト塗装」を再現。ヤマハの中にも2人しかいないという職人が手作業で仕上げる塗装をテーブルに施し、SR400の歴史的価値や職人への敬意を表現した。また、デザインにはSR400を象徴する「黄金比」も取り入れられているという。

「R25モデル」は、YZF-R25のスケッチから着想を得て、“風を切って走るスピード感”を塗装で表現。さらにテーブルの脚部には実際にYZF-R25に使用されているフロントフォーク4本を採用した。

塗装テーブル(R25モデル)とYZF-R25

ギアチェーン照明は「エンジンの機能美に触れて学べる照明」だとし、8mm厚のアルミ一体成型で作られた土台に本物の4ストロークエンジンの機構を搭載。ハンドルを手で回すとギアが噛み合い、実際のエンジン内と同じようにピストンが上下。圧縮・爆発のタイミングに合わせてLEDが点灯するギミックを組み込んだ。

光を拡散するシェード部分には、塗装工程で使われた「ハンガー(吊り具)」を骨組みにし、タンク用デカールの端材をパッチワークのように配置。「廃材の隙間から漏れる不規則な光が、エンジンの鼓動をドラマチックに演出する」とした。

本物の4ストロークエンジンの機構を搭載した「ギアチェーン照明」

これらは現在、リジェラボでしか見て触れることはできないが、今後イベント等でお披露目となる可能性もゼロではない。公式発表はないものの、バイクファン、ヤマハファンはリジェラボの動きにも注目だ。

◆もうひとつのリジェネレーション=再生のカタチ

第一弾が廃材のアップサイクルをテーマにしたのに対し、第二弾で扱ったのはバイクの部品やヤマハの技術そのもので、廃材の再生とは異なる。

今回のねらいについて、デザインを手掛けた船場 EAST事業本部 Design Direction Divisionの田口裕都さんは、 「モーターサイクル事業部では、工場内でのリサイクルや資源管理が徹底されており、いわゆる廃材はほとんどなかった。そこで、単なる廃材活用やアップサイクルにとどまらず、長年培ってきた技術やヤマハ発動機のクラフトマンシップをどう活性化し、次世代へ受け継いでいくか。それも1つのリジェネレーションの重要な形だと捉えてテーマに据えた」と説明した。

「サンバースト塗装」が施されたヤマハ SR400のタンク

また、ヤマハ側で企画を進めたヤマハ発動機 MC企画ソリューション部 企画管理グループの鈴木美宥さんは、「バイクの魅力は、デザインや性能といった部分から感じていただくことが多いかと思う。しかしその裏側では、感動創造を届けるために品質や見た目にこだわった職人さんの技術や思いが製品に込められている。このような当社のものづくりの姿勢を、今回のファニチャーを通じて感じていただければ」と話した。

ひとつの枠に囚われない、新たな空間を生み出そうとしているリジェラボは、まだまだ進化の余地を残しているようだ。ヤマハ発動機 技術・デザイン統合戦略部 共創推進グループの東山大地さんは展望を語る。

「リジェラボは完成された空間ではなく、これからも様々な方とご一緒し共創しながら、その都度カタチを変えて成長していくスペース。出会いや対話、ディスカッションを重ねることで、新しい視点、価値観、ものの見方が加わっていくことで、ここで生まれる取り組みもアップデートしていきたい。リジェラボとそこから生み出される共創プロジェクトに今後もご期待いただければ」

船場の共創家具がならぶヤマハ発動機の共創スペース「リジェラボ」

《宮崎壮人》

この記事の写真

/

特集