自動ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)の普及に伴い、自動車整備の現場には大きな変化が求められている。その中核となる「エーミング作業」において、従来の物理的なターゲットを用いる手法には「広い作業スペースの確保」と「準備時間の長さ」という2つの大きな壁があった。
明治産業株式会社(本社:東京都千代田区/竹内眞哉取締役社長)が提案する「MAHLE TechPRO® DIGITAL ADAS」は、これらの壁を劇的に解決できるソリューションとして、注目を集めている。その最大の特徴は、特許取得済みのKeyStoneTechnology(台形補正機能)である。車両との距離に応じて自動補正(台形補正・縮尺)されたデジタルターゲットが大型モニターに表示され、省スペースでの作業を可能にしたのだ。
また、レーザーによる自動計測機能により、従来の糸や下げ振りを用いたアナログな位置決め作業を省き、ターゲット高さ設定も自動昇降スタンドにより自動化されている。これらの機能により、作業時間を大幅に短縮できることも整備の現場から好評を得ているポイントだ。

有限会社松江自動車用品商会での導入事例
島根県に6ヶ所、 鳥取県に2ヶ所の営業所を持ち、松江市・出雲市・米子市の3ヶ所にサービス工場を展開する山陰地方の老舗地域部品商・有限会社松江自動車用品商会(本社:島根県松江市/池淵正浩代表取締役社長)もMAHLE TechPRO® DIGITAL ADASを導入している事業者の1社だ。

同社は地域部品商でありながら、松江市内に単独のサービス工場「松江サービスセンター」を約630坪という広大な敷地で展開。主に、大型のエアブレーキ関係の修理、ブレーキライニングの張り替えなどを行っており、今夏までにDPFの洗浄機も導入予定だ。また「米子サービスセンター」はボッシュ・ディーゼル・サービスステーション(BDS)として運営。今後も大型ディーラーや他の整備工場ではできない仕事を担っていきたいと池淵社長は話し、島根県内に残る部品商が少なくなった現在でも、部品配送に留まらず、地域の自動車アフターマーケットの黒子として安定した経営を続けている。

狭小スペースを逆手に取った「最適解」としてのMAHLEの導入
そんな松江自動車用品商会では、約2年前からエーミング事業を本格化し、同社の松江サービスセンター内の敷地をエーミングセンターとして運用している。現場でエーミングの実務を一手に担う同社の錦織泰伸氏は、MAHLE導入の決め手は“作業スピード”以上に“作業スペースの問題”であったと振り返る。
「多くの車両では、車からターゲットまで4~5mの距離が必要で、既存の工場ではそのスペースを確保するのが困難でしたが、MAHLE TechPRO® DIGITAL ADASは、モニターを車両の直前に設置するだけで作業が可能なため、新たに建物を建て直すことなく、既存の限られたスペースを最大限に活用できることが導入の決定打となりました」と、エーミングのための広い専用スペースを新設するのではなく、限られたスペースでも運用可能なデジタル機器を選択するという逆転の発想によって、既存スペースを最大限に活用している様子がうかがえた。


実際に同社がエーミングを行っているエーミングセンターのスペースは、もともとトラックの軽整備などを想定して作られたスペースであり、床に潜って作業ができるピットがあるなど、既存の整備環境をそのまま活用している。このような条件において、省スペースが利点のMAHLE TechPRO® DIGITAL ADASは強みを発揮する。
また錦織氏によると、作業効率の面においても大きな変化があり、従来の手法では準備に15~20分を要していたものの、MAHLE導入後は、問題がなければ5分から15分程度で完了するとのことで、従来比で約3分の1の時間短縮に寄与しており、1日1~2台、月間30~40台というエーミング台数を支えているという。


MAHLEの直感的な操作性についても、錦織氏の評価は高く「直感的に操作でき、誰でも使えるのはありがたいですね。操作方法を説明すれば、事務員の方でも簡単に覚えられると思います」とその操作性の高さが現場で役立っていることに言及し、加えてMAHLEは輸入車に関する豊富なデータが標準で搭載されているため、ディーラー以外では対応が難しい輸入車のエーミングを地域で引き受けられる強みにも繋がっていると話してくれた。



「黒子」としての地域貢献に欠かせないMAHLE
池淵社長は自社を「地域の自動車アフターマーケットの黒子」と位置付け、設備投資が難しい近隣の整備工場や、予約が取りづらいディーラーの受け皿としての役割の強化を目指している。特にコロナ禍に買収した自動車ガラス会社との相乗効果は大きく、ガラス交換からエーミングまでをグループ内で完結させる体制を構築している。さらに今後は、米子営業所の敷地内へガラス店の移転・新築を予定しているとのことで、部品販売とのさらなる相乗効果を目指している。錦織氏は「エーミングの認知度はまだ向上させる余地があります。地域の整備事業者が困った時に『松江さんに聞けば何とかなる』と思われる存在であり続けたい」と、将来を見据える。
“スペースがないからエーミングはできない”と諦めていた事業者にとって「MAHLE TechPRO® DIGITAL ADAS」は、既存のリソースを活かしながら次世代の整備需要を取り込むための「最適解」ではないだろうか。


