【独自取材】NTTドコモ「自動車保険」に新展開…イエローハットとのパートナー展開が示す“選ばれる”ための戦略 | CAR CARE PLUS

【独自取材】NTTドコモ「自動車保険」に新展開…イエローハットとのパートナー展開が示す“選ばれる”ための戦略

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右側から、株式会社NTTドコモ保険企画担当課長 香田由里子氏(コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室)と、保険企画担当  菅原拓朗氏 (コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室)
右側から、株式会社NTTドコモ保険企画担当課長 香田由里子氏(コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室)と、保険企画担当 菅原拓朗氏 (コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室) 全 3 枚 拡大写真

新車・中古車を問わず車両価格は上昇傾向にあり、燃料費の高騰も続く。2026年4月1日からは車検の法定手数料改定による値上げもあり、カーオーナーが車両を所有・維持するコストは上昇し続けている。

こうした状況下で固定費を抑える選択肢として「自動車保険(任意保険)」の見直しは必然の流れといえ、代理店型に比べて割安なダイレクト型(通販型)への切り替えニーズは今後も高まる可能性がある。一般社団法人日本損害保険協会の統計(2025年7月発表)で保険代理店数が前年比7%減となっている点からも、その潮流が見える。

このような背景の中で、株式会社NTTドコモ(ドコモ)が東京海上ダイレクト損害保険株式会社(東京海上ダイレクト)と共同展開する「ドコモの自動車保険」が、サービス開始から約2年で累計販売件数3万件(2026年2月時点)を突破した。

この実績を基盤に、ドコモは同事業を外部事業者へ提供する「パートナー企業ブランド展開」を2026年3月13日に発表。パートナー企業は、カー用品の全国チェーンである株式会社イエローハットとなった。

この動きが、自動車アフターマーケット業界とカーオーナーに何をもたらすのか? ドコモの保険事業担当者に話を聞いた。

右側から、株式会社NTTドコモ保険企画担当課長 香田由里子氏(コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室)と、保険企画担当 菅原拓朗氏 (コンシューマサービスカンパニー ウォレットサービス部 金融サービス推進室)

ドコモが描く「生活の安心」への一貫性

ドコモは現在、生命保険を含めた幅広い保険・金融事業に注力している。背景にあるのは、通信を軸とした生活基盤のトータルサポートだ。

保険企画担当課長の香田由里子氏は、「通信という日常的なインフラを支える企業として、お客様に安心安全をお届けしたいという思いが根底にある。ひいては日常の安心をお届けしたいという思いから保険事業を展開しており、自動車走行時のリスクにも寄り添い、金融・決済とシームレスにつながる安心を提供したい」と語る。2026年7月には金融事業を統括する持株会社の株式会社NTTドコモ・フィナンシャルグループ設立も予定されており、生活の安心を多角的にプロデュースする体制が整いつつある。

契約急増を支える「特典」

約2年で累計販売件数3万件を突破した背景には、ドコモならではの強みをパッケージ化した“成功の仕組み”があった。

「カーオーナーであるご契約者様にとっての大きな魅力は、自動車保険料の最大3%(※)のdポイントがたまり、d払いによる決済も可能な点にあります。また、ダイレクト型で不安視されがちな事故対応についても、東京海上グループの東京海上ダイレクトが引受保険会社となることでサポート体制を担保しています」と保険企画担当の菅原拓朗氏は、その強みを分析する。

保険企画担当課長の香田氏は、「単なる特典(dポイント進呈)やダイレクトならではのリーズナブルな保険料だけでなく、東京海上グループの事故対応という確かな信頼をセットで提供することが、ご契約者様への誠実な回答だと考えています」と述べた。

「パートナー展開」の仕組み

ドコモの自動車保険の成功スキームを、外部事業者がそのまま享受できるようにしたのが、2026年3月13日に発表されたパートナー企業ブランド展開だ。第一弾となる「イエローハットのダイレクト型自動車保険 Powered by ドコモの自動車保険」はその象徴的な事例といえる。

菅原氏は、「パートナー企業が抱える『保険事業参入へのハードル』に対し、ドコモのノウハウと資産をパッケージ化して提供できる点が最大の強み」と述べる。本来、自社ブランドの保険立ち上げには膨大なコストと歳月を要するが、ドコモの自動車保険の既存基盤を活用することで、パートナーとなる事業者は独自のブランド性を保ちつつ、極めて短期間での事業化が可能となる。

パートナー事業者が参画する意義

ドコモは今後、パートナー企業をさらに拡大していきたい考えだ。パートナー対象となる事業者にとっては、既存の顧客接点に自社ブランドの自動車保険を組み込むことで、顧客の固定化を図れるだけでなく、収益構造の多角化を低リスクで実現できるメリットがあると言えるだろう。

ドコモの香田氏と菅原氏は、「ドコモの自動車保険パートナー企業ブランド展開に興味がある事業者からの相談は、随時受け付けている」と述べていた。

カーオーナーのメリット

契約者となるカーオーナーのメリットも明確だ。ドコモの通信回線契約の有無にかかわらず、ドコモが提供する無料の共通ID「dアカウント」さえあれば加入が可能とのこと。また、ドコモの決済システム(d払い・dカード)と組み合わせることで保険料の最大3%(※)のdポイントがたまる仕組みになっている。

「自動車保険」市場になかった新しいスキーム

今回、ドコモの保険企画担当者への取材を通じて、「ドコモの自動車保険」によるパートナー企業ブランド展開がもたらすことを整理すると、信頼性と経済性や特典を求めるカーオーナーと、事業の多角化を目指す自動車アフターマーケット事業者の双方を結びつける、これまでなかった新しいスキームであると言えるのではないだろうか。

車両の維持コストが今後も増え続ける可能性がある現代において、自動車保険料を抑えつつ特典(dポイント付与・進呈)を受けられることは、カーオーナーにとって有力な選択肢だろう。同時に事業者にとっては、ドコモの信頼性とシステム基盤を自社ブランドとして活用できることは、次世代のビジネスモデルを構築する上でさまざまな価値があるのではないだろうか。今後どのような事業者がパートナーとして参画するのか、その動向に注目したい。

(※)保険加入に伴うポイント付与率(2%)およびdカードご利用時のポイント進呈率(1%)の合計となる。保険加入に伴うdポイントの付与は、募集経費の削減効果などをdアカウントユーザーに還元する制度であり、東京海上ダイレクトが付与する。詳細はdポイント付与・使用に関する規約に記載されている。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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